俺の名前は今日からポチです

あさからひるまで、さん

唾液が半開きの口から勝手に零れて雪風の首筋を汚していく。布団に落ちてシミを作る。

「はっ……ぁう、ふぅうっ……雪風、雪風ぇ……射精したいぃっ……」

亀頭を雪風の性器の裏筋に擦り付けて、増していく快感に耐えるため雪風を抱き締めた腕に力を入れる。

「……ぁ、真尋、真尋ぉっ！　俺、またイくっ……かも……」

雪風の腕が俺の背に回り、ぎゅっと引き寄せる。互いに互いを抱き締めて、胸も腹もぴったりと引っ付けて、快感を求めて腰を揺らす。

「ぁ、はぁんっ……真尋ぉ、そこっ、もっと……」

そこと言われてもどこか分からない。俺も絶頂が近いのだ。頭では射精できないと分かっていても俺の愚息は聞く耳を持たずに射精する気でいる。

「ぁんっ！　んっ……ぁ、はぁっ……ふぅぅ……」

腰振りが勝手に激しくなってしまい、雪風の陰茎の根元を思い切り突いてしまった。雪風はその刺激で再び絶頂し、密着した身体の間に熱い液体を流し込んだ。

「はぁっ、はぁっ……真尋……っ！？　ぁ、やっ、真尋ぉっ！　んぁっ……！　真尋、俺もうイった……」

「俺はっ、まだなんだよ！」

「お前リングつけられたんだろ！？」

「でも出したいっ、出したいっ……出そうなんだよ、出る気がするんだよぉっ！」

ただの感覚だ。予感ですらない。コックリングは精液を絶対に通さない。

「ぁ、あっ、あ、ぁっ、あっ、ぁあっ……！　まっ、ひ……ろぉっ！　ずっと、擦り付けられ、る……のぉっ、キツいっ！」

「ごめんっ……もうちょっと、もうちょっとで俺もイくから……」

雪風の性器は硬さを取り戻し始めていた。二度放たれた精液のぬるぬるにちゃにちゃとした感覚は自分が射精した後にすら思えて、俺の愚息は「もう一度」なんて言い出す。

「はぁっ、ぁあ……雪風っ、俺も……！　イっ……た。けどぉっ、出ないっ、出ない……出したいぃっ！」

「ひっ……！？　ぁ、あぁっ！　ぁっ、んぁあっ！　や……俺っ、俺無理、無理だってぇっ……！」

亀頭で根元を小突いて強い刺激を求めて、裏筋同士を擦り合わせてひたすらに快楽を求めて、事実四肢が震えるほどの快感の中にいたけれど、射精は出来ない。射精だけが果たされない。

「まひろっ、真尋ぉっ、まひろっ……また、イっ……くぅっ！　ふっ、ぅ……イった、のにぃっ！　俺もう無理ぃ！」

俺の腕の中で全身を震わせて絶頂する雪風が羨ましくて、愛おしくて、首筋に唾液を塗りつけるのをやめて唇を塞いだ。
互いに互いの口内を犯す。歯の本数を数えるような執拗で深いキスを交わす。それでも射精は果たされず、ただ精液を放てないもどかしさと、そのもどかしいままの絶頂の快感が溜まっていく。

「イった……のにっ、イってない、イけてないぃっ！　雪風、雪風ぇ……ごめん、もうちょっと付き合って……」

「ひっ……イっ、くぅ…………ぅ、もう、好きにしろよぉっ！」

濡れそぼった穴に挿入して腰を振っている時とほとんど同じ水音が鳴っている。肉のぶつかる音もよく似ている。

「雪風、雪風っ……俺、今抱いてる？　抱かれてる？」

「どっちでもねぇよっ、ばかまひろぉ……！」

しがみつくように俺を抱き締めて途切れない絶頂に震える雪風に俺は容赦なく快感を与え続けてしまう。

「はぁっ、ぁあっ……もぉっ、むりぃ…………ひっ、ィ……くぅぅんっ！　んぁあっ、まひろぉ……」

雪風の方から唇が重ねられて、数秒して離れると虚ろな赤い瞳が嬉しそうに細められた。

「俺っ、今……真尋に好きにされてるっ……！　まひろ、まひろっ、まひろぉっ……好きぃ……！」

首の後ろに腕を回され、再び唇が重なる。
そんなことを言われて、そんな仕草をされては、俺の腰は更に激しく揺れてしまう。