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第一部 嫉妬と情愛の狭間

第15話 湯殿 其の三★

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 少し余裕の消えた声に、感じ入りながらも、香彩かさいはこくりと頷いた。

 竜紅人りゅこうとの昂りを口に含む。
 口の奥から鼻へと抜ける、森の木々のような香りに、香彩かさいはうっとりとしてその竿を舐め上げた。
 そしてもう一度、口いっぱいに頬張り吸い上げながら、舌で円を描くように亀頭を舐める。
 彼の息が荒くなるのを聞いて、どこか征服感に似たものを感じた。
 手で根元を扱きながら口をすぼめて舌で先端を突き、鈴口に舌を這わせて吸えば、先走りの蜜が口の中に広がる。

 ああ、甘い。

 甘く感じるようになったのだと、雁首の括れた部分を、括れに沿って舐めながら香彩かさいは思った。

 竜紅人りゅこうとの唾液が、糖を溶かし込んだような甘水かんすいだとしたら、先走りは花の蜜にも似た自然な甘さだった。
 森の木々のような、爽やかな香りがする神気と、花の蜜のような先走り。
 では精は、どんな香りや味がするのだろう。
 先走りのものよりも、もっと甘いのだろうか。
 

 そんなことを思いながら、雁首を軽く口に含んで吸えば、もどかしげに竜紅人りゅこうとの上半身が動く。
 再び奥まで含めば、つんと先端が喉を突いた。
 苦しいながらも、口腔を愛撫されているようで堪らない。下生えが鼻に付くほど咥え込んで、その熱さと味を堪能してから、口を離した。


「……っ、はっ……」
「……はぁ……」

 
 男根の先端と唇の間に、卑猥な糸が引くのも構わず、香彩は重たげなふぐりにも舌を這わせねぶる。口に含んで軽く吸えば、竜紅人りゅこうとの腰がひくりと動いた。
 ああこれが好きなんだ、そう思いながらも、先程自分がされたように、ふぐりをまるで飴玉を舐めるようにして口の中で転がせば、頭上から熱い息遣いが聞こえてきた。
 竜紅人りゅこうとが自分の口淫で感じてくれていると思うだけで、身体はどうしても熱くなり刺激が欲しくなる。
 香彩かさいはぷっくりと立ち上がった胸の頂きに、赤黒い亀頭を擦り付けた。


「……あっ……ん」


 じんとした甘い痺れが広がる。
 執拗な愛撫で濃桃色へと色付いた頂きを押し潰すようにして、その猛りでゆっくりと円を描いて乳輪を擦っていると、いつの間にか自身の肉棒の根元を持つ竜紅人りゅこうとの指があった。
 彼が何をしたいのか理解して、香彩かさいは胸を突き出すような格好をとる。



「……んっ……ぁ……」


 赤黒い亀頭が、香彩かさいがしていたのと同じような動きをする。
 下から上へ、胸の頂きを押し潰すようにしてゆっくりと擦られれば、先程とは全く違った感覚に香彩かさいは思わず艶めいた声を上げた。


「ぁ………ん」


 想い人の、竜紅人りゅこうとの手によって、彼の猛りが胸に擦り付けられているのだと思うだけで、堪らない。
 溢れた先走りの滑りが糸を引きながら、もう片方の頂きも責める。


「あ……」


 刺激がなくなった頂きに切なさを感じて、無意識の内に胸を突き出すような動作をすれば、それを読んだ竜紅人りゅこうとが、もう片方の指で頂きを責め立てた。
 頂きの片方を彼の肉棒で、もう片方を彼の指で摘まむように刺激されるその光景だけで、軽く達してしまいそうになって香彩かさいは身を震わせる。



 もう疼いて堪らない。
 その肉棒でさっきのように、奥の奥まで貫いて掻き回してほしい。
 そんなことを思いながら竜紅人りゅこうとを上目遣いで見つめながら、中途半端に扱かれた自身の陽物を慰めようとした時だった。


「んんっ……し、……っぽ……」


 手をやんわりと再び押し退けたのは、先程からこれ見よがしに香彩かさいの視界に入っていた、竜の尾だった。


「や……! しっぽ……や……だ……っ」
「嘘付きだな……かさいは」 


 しゅるしゅると音を立てて竜の尾の先端が、香彩かさいの陽物に巻き付く。
 胸の頂きを責めていた竜紅人りゅこうとの男根と指が離れると、香彩かさいはその場にぺたんと座り込んだ。
 

「……んっ……しっぽ……ぉ」


 刺激が集中している為か、嫌でも見てしまうし感じてしまう。
 陽物を絡め取った尾の先端は、上下に擦りながらも柔くぎゅっと締め付ける。そしてとろとろと流れている先走りを塗り付けるようにして、鈴口に擦り付けられれば、びくりと香彩かさいの身体が震えた。


「さっき……きそうになってただろう? だからちゃんと……蓋、しなきゃな」
「あ……」


 甘く、そして優しく諭すような口調で竜紅人りゅこうとは言うが、内容は卑猥で酷だ。
 見せ付けるように、竜の尾の先端が鈴口の割れ目に、ゆっくりゆっくりと入り込む。




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