上 下
14 / 409
第一部 嫉妬と情愛の狭間

第14話 湯殿 其の二★

しおりを挟む
 

「……んっ……ぁ」


 より挿入しやすいように、無意識に足を広げて膝を立てて。
 かり、と媚肉なかを引っ掻くようにして刺激すれば、それだけで卑猥な音を立てて溢れ出すのは、竜紅人りゅこうとの熱だ。


「んんっ……」


 掻き出す仕草だけをしているというのに。
 蕾の中の柔らかな媚肉は、指をやんわりと締めて味わい、舐め回すように収縮を繰り返し、奥へ奥へと誘い込む。


(……足り……ない) 


 すっかり慣らされた秘処は、香彩の細い指の一本を貪欲に食らい尽くし、もっと寄越せとばかりにひくついては蠕動する。
 二本目を呑み込ませても、それでも物足りないのだと身体が啼いて堪らない。疼く身体を啼き止ませる為にはどうすればいいのか、香彩自身とても良く分かっている。

 指を三本に増やす。
 ゆっくり、ゆっくりと。
 三本の指を後蕾に呑み込ませる様子に、熱い視線を感じた。

 ああ、竜紅人りゅこうとが見ている。
 そう思うだけで後孔の蕾の、一番締まる部分が、きゅうきゅうと三本の指を食い締める。


「は、ぁ……」 


 指が届く一番奥までそれを入れて、ぐうるりと掻き回せば、ぐちゅ、と厭らしい水音が湯処に響く。
 香彩かさい竜紅人りゅこうとの方へ、少し顔を傾けた。
 聲の腹いせとばかりに、目の前にある彼の首筋へ、熱い息と言葉をぶつける。


「んっ……りゅ……う…」
「気持ち、良さそうだな……」
「ん……きもち……りゅ、うぅ……」


 愛しい名前を呼びながら手淫に耽けようと、自身の陽物へと向かっていた手を、竜紅人りゅこうとに取られる。
 そのまま押し止められてしまって、気付けば形の良い長い竜紅人りゅこうとの指が、香彩かさいの薄桃色をした陽物を絡め取っていた。

 そして。


「──っ、んあっ……だめ……っ、む……り」
「……大丈夫……無理じゃねぇよ……」


 竜紅人りゅこうとのもう片方の手は、後蕾にある香彩かさいの手の甲を包み込む。そして後孔の媚肉なかへと挿入はいっている香彩の指を、ゆっくりとなぞるようにして媚肉なかへと潜り込む。


「あっ……!」
「さっきまでここ、もっと太いもの……咥えてただろう?」
「ん、む……り……、っ」
「……大丈夫だ。ほら……」
「やぁ……っ!」


 香彩かさいよりも長い竜紅人りゅこうとの指の二本が、香彩かさいの指を入れたまま、届かなかった場所を刺激する。
 引っ掻くようなその動きに、香彩かさいの身体がびくりと跳ねた。


 同じ動きをしているというのに、竜紅人りゅこうとの指が媚肉なかで動いていると思うだけで、身体は彼から与えられる快感を逃すまいと、敏感に拾うかのようだ。
 自分の指を抜こうにも、抜くなとばかりに竜紅人りゅこうとの手に包まれている。

 素直に快感を追いながらも竜紅人りゅこうとを見れば、ぎらついた光を宿しながらも、優しげな瞳の伽羅色とぶつかった。
 りゅう……と、喘ぐ声の合間に彼の名前を呼べば、啄むような接吻くちづけが幾度も唇に落ちてくる。

 長い指で絡め取られた陽物を緩く扱かれれば、先端から溢れて出した蜜が彼の指に絡まって、いやらしい音を湯殿に響かせた。 
 その露骨な水音は何度聞いてもやはり慣れなくて、いたたまれなくて、恥ずかしさで全身が熱くなる。


「や、ぁ……」


 そんな香彩かさいの様子を楽しむ、竜紅人りゅこうとの気配が伝わってきた。
 くすりと笑いながら竜紅人りゅこうとが蜜を塗り込めるようにして、ぷっくりとした胸の突起を弄る。その淫らな様子に香彩かさいは、深く色付いた声を上げた。

 ぬるりとしたその感触。

 滑りを利用して、まるで弾くようにして弄られ、そして摘ままれれば、胸の頂きは濃桃に色付き、先走りの蜜でてらてらと妖しく照る。
 背を反らし腰を突き出すようにして身じろげば、ちょうど尾ていの辺りに竜紅人りゅこうとの雄を感じて、香彩かさいは息を呑んだ。

 びくりと身体を揺らして反応した香彩かさいに何を思ったのか、竜紅人りゅこうとは後蕾から指を抜いた。そしてゆっくりと香彩かさいの指も後蕾から引き抜く。
 香彩かさいが倒れないことを確認して、竜紅人りゅこうと香彩かさいの横に立った。
 何をしようとしているのだろうと、香彩かさいは思った。だが竜紅人りゅこうとが、自身の男根の根元を持った時点で分かってしまって、ぞくぞくとする。


 香彩かさいはその猛りに手を伸ばした。


「りゅう……」


 蕩けた瞳の香彩かさいが、細い指を男根に滑らせる。


「……っはっ……」


 気持ち良さそうに息を吐く竜紅人りゅこうとに、香彩かさいは胸がいっぱいになった。もっと感じてほしくて香彩かさいは手淫に耽る。
 狂暴なほど赤黒く勃ち上がった男根から、先走りのものが出て、香彩かさいの細い指に絡む。
 ぬちゃりという音と共に、息を詰める竜紅人りゅこうとの息遣いが聞こえ、まるで耳まで犯されているようで堪らなかった。


「……次は口で、してくれるか……?」

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

カイルとシャーリー

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

悪役令息になんかなりません!僕は兄様と幸せになります!

BL / 連載中 24h.ポイント:4,757pt お気に入り:10,288

子供を産めない妻はいらないようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:9,059pt お気に入り:276

男ふたなりな嫁は二人の夫に愛されています

BL / 連載中 24h.ポイント:1,732pt お気に入り:137

次期社長と訳アリ偽装恋愛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:276pt お気に入り:56

狼と人間、そして半獣の

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:114

【R-18】幼馴染Domと偽りのSub【完結】

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:42

処理中です...