今日もきみがいる奇跡を、時刻表に書き足して
①登場人物の紹介
悠晴は、列車の来ない月見浜駅を毎朝八時三分に開け、古い時刻表を整え続ける青年。十年前に町を出た将大のことを、平気な顔で待ち続けている。将大は大げさな言葉で格好をつけるが、自分の字さえ読めないほど不器用な男。帰郷した彼の鞄には、悠晴へ出せなかった寒中見舞いが眠っていた。
七海は、町役場で観光案内を担当する女性。困っている人を見ると、相手が言い終える前に必要な物をそろえてしまう。真奈衣は、旅ライターの夢に一度つまずき、それでも失敗ノートに改善策を書き足しながら歩き続ける女性。二人は、月見浜町をひとりで歩きたくなる手帖を作るため、廃線跡、農道、港、古い商店街を巡っていく。
②あらすじ
八月末、廃線になった月見浜駅の郵便受けから、今年一月の消印が押された寒中見舞いが見つかる。宛名は「月見浜駅 青春敗者復活戦係」。文面は「次は君とどこで出会えるかな?」だけ。差出人のない葉書と、待合室の裁縫箱に残されたピンクッション、そこに刺さっていた色あせた短冊をきっかけに、悠晴、将大、七海、真奈衣は十年前の願いの持ち主を探し始める。
古い帽子を捨てられない人、亡き祖父へ葉書を出せなかった人、一度でいいから名前を呼ばれたかった人。四人は時速八キロのトラクターで農道を回り、熱帯夜の港を歩き、雨に濡れながら短冊を拾う。やがて、取り壊し候補の月見浜駅を、ただ残すのではなく、思い出に感謝してから次へ進む場所として息を入れ直そうと動き出す。
九月下旬の月見の夜、雨の駅舎で、将大は読めない字のノートを声で読み、悠晴は十年前の短冊に書いた本音を読み上げる。言えなかった好き、感謝、嫉妬、後悔が、月見浜駅の待合室でようやく言葉になる。
悠晴は、列車の来ない月見浜駅を毎朝八時三分に開け、古い時刻表を整え続ける青年。十年前に町を出た将大のことを、平気な顔で待ち続けている。将大は大げさな言葉で格好をつけるが、自分の字さえ読めないほど不器用な男。帰郷した彼の鞄には、悠晴へ出せなかった寒中見舞いが眠っていた。
七海は、町役場で観光案内を担当する女性。困っている人を見ると、相手が言い終える前に必要な物をそろえてしまう。真奈衣は、旅ライターの夢に一度つまずき、それでも失敗ノートに改善策を書き足しながら歩き続ける女性。二人は、月見浜町をひとりで歩きたくなる手帖を作るため、廃線跡、農道、港、古い商店街を巡っていく。
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九月下旬の月見の夜、雨の駅舎で、将大は読めない字のノートを声で読み、悠晴は十年前の短冊に書いた本音を読み上げる。言えなかった好き、感謝、嫉妬、後悔が、月見浜駅の待合室でようやく言葉になる。
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