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第15章 四度目の夏、時は停まってくれない
第417話 そこでわたしをダシに使いますか……
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ハンデルスハーフェンに戻って来たわたしは、ハイジさん、ヤスミンちゃんと共に領主の館を訪れたの。
マルクさんには、一旦彼の仲間達のところへ戻ってもらったよ。
領主館でハイジさんが身分を明かしたら、対応に出たお役人さんが泡を食っていた。
そのお役人さんが慌てて領主を呼びに走り、わたし達は貴賓用の応接に通されたの。
そして、待つことしばし、廊下からなにやら声が聞こえてきた。
「皇女殿下がここにお越しになられる訳がないであろう。
殿下は王国へ留学中と聞いている、王都とここがどれだけ離れているか分かっているのか。
おおかた、皇女殿下の名を騙る詐欺師か何かに違いあるまい。
儂がひっ捕らえて手柄にしてやろう。少しは皇太子殿下の覚えが良くなるだろうしな。」
領主が息巻いている、偽皇女を捕まえたと言ってケントニスさんに媚を売ろうってか。
相変わらずの小者ぶりだ…、本物を目の前にしたら腰を抜かすんじゃない。
本物の皇女が来ているとは露程も信じていない領主はノックもせずに勢いよく扉を開いた。
そして、応接の中を見回して…、凍りついた……。
「伯爵、久しいですね。最後に会ったのは六年前の新年の祝賀の時ですか。
もう私の顔は忘れてしまったかしら。
それとも、私が大人になっているので、あの頃と容姿が違いすぎて分からないのかしら。」
ハイジさんが嫌味たっぷりに言うと、小心者の領主は顔を真っ青にして……。
「皇女殿下、お久しゅうございます。
私奴が皇族の方のご尊顔を忘れる訳がないでございましょうが。
しかし、お美しくなられて、帝国一の才媛と言われた皇后様のお若い頃そっくりでございます。
皇女殿下をお待たせする訳には参らぬと思い、急いだため無作法をしてしまいました。」
態度を豹変させて、あからさまなおべっかを使った。
この領主、一事が万事この調子で世渡りしてきたんだろうね……。
しかし、伯爵だったんだ、まあ、これだけ大きな町の領主なんだから当然か。
**********
領主は、何とかその場を取り繕って、そのでっぷりとした体をソファーに落ち着けると尋ねてきた。
「皇女殿下は王国へ留学中と伺っております。
本日は何故、このような遠方までお越しいただいたのでしょうか。」
「ええ、丁度留学している学園が夏休みに入ったので一時的に帰国しているのです。
今日は折り入って伯爵にお願いが有って参りました。
単刀直入に申します、ここハンデルスハーフェンの東側に広がる荒野となっている領地を帝国に返上して頂けませんか。」
領主はポカンっとしている。
それはそうだ、藪から棒に領地を返上しろと言うのだから、何の落ち度もないのに。
「いきなり何をおっしゃいます。
儂が何をしたと言うのですか。
貴族が領地を取り上げられる、これ以上不名誉なことはありませんぞ。」
それが普通の反応だよね、領地を差し出せといわれてハイそうですかと従う貴族がいる訳ない。
「いえ、領地を取り上げようと言うのではありません。
何もしていない土地なので自発的に返上されてはと勧めているのです。
領主貴族が帝国に納める税は、領民の数、領地から上がる収益、領地の広さが其々勘案されて課される形になっているのはご存知の通りです。
収益の上がらない広い領地を抱えているのは税を納める上で損なのではないですか。
もちろん、先祖代々の領地であれば手放すのは抵抗もあるでしょう。
しかし、伯爵は先代がここにあった小国を併合する際の戦功でここを下賜された家柄です。
何の益にもならない土地を手放したところで痛くも痒くもないのでは。」
「皇女殿下、お言葉ですが、広さのみで収益の上がらない土地に課される税など微々たるもの。
貴族は、領地の広さも誇るものの一つなのですよ。
察するに、今回の話し、皇女殿下の独断のようですが、何かこちらにも利があるようなら相談に乗らんこともないですが。」
領主は、下卑た笑みを浮かべるとハイジさんにそう返事をしたの。
この領主、小者だけど利には聡いんだよね、損得勘定で動くから分かりやすい。
「ええ、実は私、ここ数年帝国の国土の復興を手掛けていまして。
こちらの方をお招きして、力を貸していただいているのです。
聞いたことがありませんか、東部地区で噂になっている『白い聖女』様です。
東部地方の復興の目途が付いたので、今後は西部地区に活動の場を移そうと思います。」
ハイジさんは、いきなりわたしを領主の紹介したの。
なので、わたしは……。
「こんにちは、領主さん。また会ったね。」
と言ってみた。
領主は、目を凝らしてわたしを見て、ハッとした顔をした。そして、……。
「お、おまえ、この間の疫病神!」
疫病神は酷いな、勝ち馬に乗せてあげたのに。
『黒の使徒』なんかと縁を切って正解だよ、賄賂という形の当面の収入は減ったかもしれないけど。
あと、一、二年もすれば絶対感謝するから。
「まあ、伯爵ったら、私がお招きした方を疫病神だなんて酷いですわ。
この方のおかげで、東部地区は食料自給率は向上し、飢餓状態はほぼ解消したのですわよ。
でも、伯爵がこの方に他意を持っているように、この方も伯爵を良く思っていませんの。」
えええ、そこでわたしを持ち出すの?
ハイジさんは、前回わたしがここを訪れたとき、初日から『黒の使徒』と縁を切るように領主に勧めたにも拘らず『黒の使徒』に組したことを指摘した。
結果的には民衆の圧力に屈して『黒の使徒』を切り捨てたけど、最後まで『黒の使徒』に未練を持っていた領主にわたしが不信感を抱いていると言ったの。
そして、領主に資するようなことに手は貸せないとわたしが言っているとしたの。
言ってないよ、そんなこと……。
「西部地区の荒地を再び穀倉地帯に戻すためには、この方のお力添えがないと不可能です。
一方で伯爵の領地にままでは、この方は手を貸したくないとおっしゃります。
伯爵があの領地を保持する限りあの領地からの収入はゼロで年間何がしかの税が掛かります。
伯爵があの土地を手放せばあの土地は豊穣の大地に戻ります。
これは、伯爵にも大きな利があるのですよ。
あの一帯が穀倉地帯になれば、その穀物は何処で取引されますか?
そう、この町は穀物の一大集積地になるのです。
どうです、国に納める無駄な税金は無くなり、一方で商取引から上がる税収は増加します。
悪い話ではないでしょう。」
うわぁ、ハイジさんったら、わたしをダシに使ったよ。
別に伯爵の領地のままでも手を貸したよ、それ以前に伯爵のことなんて忘れていたし。
でも、ハイジさんの言葉は意外と伯爵には効いたみたいだった。
伯爵はわたしをジッと見て、ため息をついた。
伯爵としては自分の領地のままで、わたしが手を貸すのが一番得だと思っているのだろう。
わたしの顔を見ながら、前回のわたしとのやり取りを思い出していたのだと思う。
そして、どう考えてもわたしが伯爵に手を貸す訳がないと判断したみたい。
伯爵ではわたしの助力は得られないと考えたら決断は早かった、次善は何か分かったみたい。
「おまえが、『黒の使徒』が目の敵にしていた『白い聖女』だと気付かなかったのが儂のミスだったのだな。
あの頃、『黒の使徒』がおまえに出し抜かれたと何度も愚痴を零していたのを聞いていたのだ。
『白い聖女』なんて言われているものだから、てっきり妙齢の女性かと思っていた。
まさか、おまえのような小娘だとは思いもしなかった。
本当に失敗した、あの時真っ先におまえに乗換えておけばこんな儲け話を逃さずに済んだのに。
分かりました、皇女殿下、ハンデルスハーフェンから東に広がる旧穀倉地帯の領地は放棄します。
その代わり、再び穀倉地帯となった暁には、必ずこの町を取引の場として使ってくださいよ。」
この人、引き際は良いな、もう少しゴネるかと思っていた。これも処世術か……。
ハイジさんは満足そうに微笑んで伯爵に言った。
「ご理解頂けたようでなりよりです。
今回復興する穀倉地帯の収穫物の引受け先は、この町で王国からの輸入穀物を扱うデニスという商人に決まっています。
この町は輸入穀物、国産穀物が集積する一大市場になります。
安心して大丈夫ですよ、伯爵も大儲けですわ。」
まさか、すんなりとハイジさんの考えた通りになるとは思わなかった。
ハイジさんは、ハンデルスハーフェンの町の外、東側の領地を帝国に返上する旨の書類を作成し伯爵にサインさせてしまった。手際が良いね……。
これで、懸案事項の一つは片付いたね。じゃあ、もう一つ、早速行ってみようか。
**********
伯爵に領地返上の書状を書かせたハイジさんはすぐさまマルクさんを迎えに行き、わたし達は再びハンデルスハーフェンを出て東へ向かった。
そして日も暮れかかった頃、わたし達はヤスミンちゃんの村に降り立ったの。
ひなびた農村には不釣合いの立派な屋敷の玄関口、ヤスミンちゃんが呼びかけた。
家の奥から双子ちゃんを連れて出てきたハルクさんがヤスミンちゃんを見て。
「随分と早く帰ってきたな、やっぱり山出しの田舎娘には皇室侍女は務まらなかったか。」
のっけからとんでもないことを言った。
「お父さん何を軽口言っているの。姫様が一緒にいるのよ。
姫様がお父さんに用があるのですって。」
「皇女殿下が俺に?」
すると、ハイジさんがハルクさんの前に進み出て言ったの。
「はい、今日はあなたに領主になってもらおうかと思いやってきました。
中に入ってもよろしいですか?」
ハイジさんの言葉にハルクさんはポカンとしている。
まっ、そうだね、いきなり領主になれといわれても何のことか分からないよね。
マルクさんには、一旦彼の仲間達のところへ戻ってもらったよ。
領主館でハイジさんが身分を明かしたら、対応に出たお役人さんが泡を食っていた。
そのお役人さんが慌てて領主を呼びに走り、わたし達は貴賓用の応接に通されたの。
そして、待つことしばし、廊下からなにやら声が聞こえてきた。
「皇女殿下がここにお越しになられる訳がないであろう。
殿下は王国へ留学中と聞いている、王都とここがどれだけ離れているか分かっているのか。
おおかた、皇女殿下の名を騙る詐欺師か何かに違いあるまい。
儂がひっ捕らえて手柄にしてやろう。少しは皇太子殿下の覚えが良くなるだろうしな。」
領主が息巻いている、偽皇女を捕まえたと言ってケントニスさんに媚を売ろうってか。
相変わらずの小者ぶりだ…、本物を目の前にしたら腰を抜かすんじゃない。
本物の皇女が来ているとは露程も信じていない領主はノックもせずに勢いよく扉を開いた。
そして、応接の中を見回して…、凍りついた……。
「伯爵、久しいですね。最後に会ったのは六年前の新年の祝賀の時ですか。
もう私の顔は忘れてしまったかしら。
それとも、私が大人になっているので、あの頃と容姿が違いすぎて分からないのかしら。」
ハイジさんが嫌味たっぷりに言うと、小心者の領主は顔を真っ青にして……。
「皇女殿下、お久しゅうございます。
私奴が皇族の方のご尊顔を忘れる訳がないでございましょうが。
しかし、お美しくなられて、帝国一の才媛と言われた皇后様のお若い頃そっくりでございます。
皇女殿下をお待たせする訳には参らぬと思い、急いだため無作法をしてしまいました。」
態度を豹変させて、あからさまなおべっかを使った。
この領主、一事が万事この調子で世渡りしてきたんだろうね……。
しかし、伯爵だったんだ、まあ、これだけ大きな町の領主なんだから当然か。
**********
領主は、何とかその場を取り繕って、そのでっぷりとした体をソファーに落ち着けると尋ねてきた。
「皇女殿下は王国へ留学中と伺っております。
本日は何故、このような遠方までお越しいただいたのでしょうか。」
「ええ、丁度留学している学園が夏休みに入ったので一時的に帰国しているのです。
今日は折り入って伯爵にお願いが有って参りました。
単刀直入に申します、ここハンデルスハーフェンの東側に広がる荒野となっている領地を帝国に返上して頂けませんか。」
領主はポカンっとしている。
それはそうだ、藪から棒に領地を返上しろと言うのだから、何の落ち度もないのに。
「いきなり何をおっしゃいます。
儂が何をしたと言うのですか。
貴族が領地を取り上げられる、これ以上不名誉なことはありませんぞ。」
それが普通の反応だよね、領地を差し出せといわれてハイそうですかと従う貴族がいる訳ない。
「いえ、領地を取り上げようと言うのではありません。
何もしていない土地なので自発的に返上されてはと勧めているのです。
領主貴族が帝国に納める税は、領民の数、領地から上がる収益、領地の広さが其々勘案されて課される形になっているのはご存知の通りです。
収益の上がらない広い領地を抱えているのは税を納める上で損なのではないですか。
もちろん、先祖代々の領地であれば手放すのは抵抗もあるでしょう。
しかし、伯爵は先代がここにあった小国を併合する際の戦功でここを下賜された家柄です。
何の益にもならない土地を手放したところで痛くも痒くもないのでは。」
「皇女殿下、お言葉ですが、広さのみで収益の上がらない土地に課される税など微々たるもの。
貴族は、領地の広さも誇るものの一つなのですよ。
察するに、今回の話し、皇女殿下の独断のようですが、何かこちらにも利があるようなら相談に乗らんこともないですが。」
領主は、下卑た笑みを浮かべるとハイジさんにそう返事をしたの。
この領主、小者だけど利には聡いんだよね、損得勘定で動くから分かりやすい。
「ええ、実は私、ここ数年帝国の国土の復興を手掛けていまして。
こちらの方をお招きして、力を貸していただいているのです。
聞いたことがありませんか、東部地区で噂になっている『白い聖女』様です。
東部地方の復興の目途が付いたので、今後は西部地区に活動の場を移そうと思います。」
ハイジさんは、いきなりわたしを領主の紹介したの。
なので、わたしは……。
「こんにちは、領主さん。また会ったね。」
と言ってみた。
領主は、目を凝らしてわたしを見て、ハッとした顔をした。そして、……。
「お、おまえ、この間の疫病神!」
疫病神は酷いな、勝ち馬に乗せてあげたのに。
『黒の使徒』なんかと縁を切って正解だよ、賄賂という形の当面の収入は減ったかもしれないけど。
あと、一、二年もすれば絶対感謝するから。
「まあ、伯爵ったら、私がお招きした方を疫病神だなんて酷いですわ。
この方のおかげで、東部地区は食料自給率は向上し、飢餓状態はほぼ解消したのですわよ。
でも、伯爵がこの方に他意を持っているように、この方も伯爵を良く思っていませんの。」
えええ、そこでわたしを持ち出すの?
ハイジさんは、前回わたしがここを訪れたとき、初日から『黒の使徒』と縁を切るように領主に勧めたにも拘らず『黒の使徒』に組したことを指摘した。
結果的には民衆の圧力に屈して『黒の使徒』を切り捨てたけど、最後まで『黒の使徒』に未練を持っていた領主にわたしが不信感を抱いていると言ったの。
そして、領主に資するようなことに手は貸せないとわたしが言っているとしたの。
言ってないよ、そんなこと……。
「西部地区の荒地を再び穀倉地帯に戻すためには、この方のお力添えがないと不可能です。
一方で伯爵の領地にままでは、この方は手を貸したくないとおっしゃります。
伯爵があの領地を保持する限りあの領地からの収入はゼロで年間何がしかの税が掛かります。
伯爵があの土地を手放せばあの土地は豊穣の大地に戻ります。
これは、伯爵にも大きな利があるのですよ。
あの一帯が穀倉地帯になれば、その穀物は何処で取引されますか?
そう、この町は穀物の一大集積地になるのです。
どうです、国に納める無駄な税金は無くなり、一方で商取引から上がる税収は増加します。
悪い話ではないでしょう。」
うわぁ、ハイジさんったら、わたしをダシに使ったよ。
別に伯爵の領地のままでも手を貸したよ、それ以前に伯爵のことなんて忘れていたし。
でも、ハイジさんの言葉は意外と伯爵には効いたみたいだった。
伯爵はわたしをジッと見て、ため息をついた。
伯爵としては自分の領地のままで、わたしが手を貸すのが一番得だと思っているのだろう。
わたしの顔を見ながら、前回のわたしとのやり取りを思い出していたのだと思う。
そして、どう考えてもわたしが伯爵に手を貸す訳がないと判断したみたい。
伯爵ではわたしの助力は得られないと考えたら決断は早かった、次善は何か分かったみたい。
「おまえが、『黒の使徒』が目の敵にしていた『白い聖女』だと気付かなかったのが儂のミスだったのだな。
あの頃、『黒の使徒』がおまえに出し抜かれたと何度も愚痴を零していたのを聞いていたのだ。
『白い聖女』なんて言われているものだから、てっきり妙齢の女性かと思っていた。
まさか、おまえのような小娘だとは思いもしなかった。
本当に失敗した、あの時真っ先におまえに乗換えておけばこんな儲け話を逃さずに済んだのに。
分かりました、皇女殿下、ハンデルスハーフェンから東に広がる旧穀倉地帯の領地は放棄します。
その代わり、再び穀倉地帯となった暁には、必ずこの町を取引の場として使ってくださいよ。」
この人、引き際は良いな、もう少しゴネるかと思っていた。これも処世術か……。
ハイジさんは満足そうに微笑んで伯爵に言った。
「ご理解頂けたようでなりよりです。
今回復興する穀倉地帯の収穫物の引受け先は、この町で王国からの輸入穀物を扱うデニスという商人に決まっています。
この町は輸入穀物、国産穀物が集積する一大市場になります。
安心して大丈夫ですよ、伯爵も大儲けですわ。」
まさか、すんなりとハイジさんの考えた通りになるとは思わなかった。
ハイジさんは、ハンデルスハーフェンの町の外、東側の領地を帝国に返上する旨の書類を作成し伯爵にサインさせてしまった。手際が良いね……。
これで、懸案事項の一つは片付いたね。じゃあ、もう一つ、早速行ってみようか。
**********
伯爵に領地返上の書状を書かせたハイジさんはすぐさまマルクさんを迎えに行き、わたし達は再びハンデルスハーフェンを出て東へ向かった。
そして日も暮れかかった頃、わたし達はヤスミンちゃんの村に降り立ったの。
ひなびた農村には不釣合いの立派な屋敷の玄関口、ヤスミンちゃんが呼びかけた。
家の奥から双子ちゃんを連れて出てきたハルクさんがヤスミンちゃんを見て。
「随分と早く帰ってきたな、やっぱり山出しの田舎娘には皇室侍女は務まらなかったか。」
のっけからとんでもないことを言った。
「お父さん何を軽口言っているの。姫様が一緒にいるのよ。
姫様がお父さんに用があるのですって。」
「皇女殿下が俺に?」
すると、ハイジさんがハルクさんの前に進み出て言ったの。
「はい、今日はあなたに領主になってもらおうかと思いやってきました。
中に入ってもよろしいですか?」
ハイジさんの言葉にハルクさんはポカンとしている。
まっ、そうだね、いきなり領主になれといわれても何のことか分からないよね。
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