再びあなたに会えて…

はなおくら

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 心臓がどくどくと脈打つのが抑えられない。

 かつて凛々しく立派だったジョセフ様が、今では消え入りそうな面影を残している。

 何も言えずに、ただ見つめていると世話係がベッドの横の机に飲み物を置いた。

 その横に布切れが何枚が置いてあったのだが、世話係の手が少し掠めた瞬間、ぼーっとしていたジョセフ様が、すごい剣幕で、世話係を跳ね飛ばした。

「触るなっ!出ていけ!」

 世話係は頭を下げて、部屋から出ていった。

 またジョセフ様に目を向けると、手の中の布を大切そうに抱きしめていた。

「見ての通りだ。お前が出ていってから、徐々におかしくなっていった。」

「……私は何をしたら…。」

「そばにいてやってほしい。」

 私を目を見開いた。あんなに2人の中を反対していた男からそんな事を言われるとは思わなかった。

 でも彼の側にいたいのは、本心だった。

「わかりました。誠心誠意お仕えします。」

「お前と子供の部屋は用意してある。好きにするといい。」

 すると男は部屋を出ていった。

 ドアが閉まり、ジョセフを見た瞬間、我慢できなくなり彼に駆け寄った。

「ジョセフ様…。」

 布切れを抱きしめている彼のベッドの端に座り彼に声をかけた。

 彼は顔を上げて私を見ると、嬉しそうに声を出した。

「ジェーン…。」

「ジョセフ様!」

 思わず彼の体を抱きしめた。彼の肌に触れて自分がどれだけ寂しかったのか実感していた。

 しかし、彼は私をわかっていてもどこか違う瞳をしていた。

 それからジョセフ様と過ごす日々が始まった、その合間に息子のジョナサンに会いに行く。

 私がいない時は乳母が診てくれるので安心した。

 最初は見知っていたジョナサンも乳母に懐いたようだった。

 ジョセフ様にもあって欲しいと思ってはいるがまだ合わせるには日がいると判断している。

 ジョセフ様と過ごすうちにわかったことがある。

 彼は私と離れる前の記憶を彷徨っているのだとわかった。

 私が来ると、優しく抱きしめてくれる。

 膝の上に乗せられて、たくさんのキスをくれる。

 私自身彼が恋しくてたまらずついつい甘えてしまう。

 彼の顔を見つめる。

 綺麗な金髪に、それに合わせるような黄金色の瞳、そして少し筋肉質な肌、どれも懐かしく愛おしい。

「ジョセフ様、お慕いしています。」

「ジェーン…愛してるよ。」

 つい昔のように抱きしめ合い長い時間お互いの体温を確かめ合った。

 次第にジョセフ様も元気になられて、庭を散歩したり、領地の仕事も少しずつ行うようになっていた。

 時系列はあまり気にならないようで、問題なく済ませている。

 そんな彼に、嬉しくなりお茶を差し入れたりと、彼との幸せを噛み締めていた。

 
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