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番外編
SS×3本
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<とある詩人の日常>※スターベル視点
「また詩を書いているのかい?」
「わー!」
相棒に声を掛けられた詩人は、根を止めて振り仰ぐ。せっかくなので何も書いていない白い紙をそっと差し出した。
「え? 僕も書けって?」
「わー!」
なにせ彼と彼の奥方の恋は、帝国だけでなく世界中を虜にした大恋愛なのだ。小説だけでなく絵本や舞台、歌や絵画にもなっている。きっと最高の詩を書くはずだと期待は高まる。
「うーん。ローズに捧げる詩かあ。文才はないんだよねえ」
「わー……」
詩人はこの脳筋めと、残念そうに相棒の顔を見上げた。
◇
<とある風呂屋の日常>※マグレーン視点
「マーちゃん、今日はオーロチの銘水風呂にしてみたんだけど、気に入って貰えたかな?」
「わー!」
マーちゃんは嬉しそうに葉を揺らす。
「本当はマーちゃんが作ってくれた魔力回復薬は、僕だけが使いたいんだけど」
「わー……」
ちょっと不機嫌そうな声が返ってきた。
「ごめんごめん。困っている人にあげないとね」
「わー!」
嬉しそうに葉を揺らすマーちゃんを見て、それ以上頑張らなくていいんだよとは言えないマグレーンだった。
◇
<とある結婚の御挨拶>※マグレーン視点
「お義母様! マーちゃんとの結婚を許してください!」
「わー」
マーちゃんのお母様が暮らすヒイヅル国を訪ねた俺は、頭を下げる。
ちなみにマーちゃんのお母様は、樹人と呼ばれる木の姿をした少女だ。
「マグレーンさんとマーちゃんが幸せなら、私は構いませんけれども?」
「ありがとうございます!」
「わー!」
お義母様は快く承諾してくれた。
一方、お義母様のお義父様は信じられないといった顔をして俺を見ている。ちなみに彼はかつて魔王と呼ばれた人間だ。
「は? お前、正気か? マンドラゴラだぞ?」
「分かっています、お義爺様。それでもマーちゃんのことが好きなのです」
「お爺さま!? それはつまり……」
「おとーさん? 正気に戻りましょうね? それより、私はマグレーンさんのお義母さんになるのですか? 私、マグレーンさんより若いのですけれども……」
お義爺様の弱点はよく知っている。彼は娘を極端に溺愛しているため、二人の親子関係を明確な言葉にすれば、大抵のことは受け入れてくれる。
「許してもらえてよかったね、マーちゃん」
「わー!」
大陸ではまだ異種族との婚姻は認められていない。ヒイヅル国の女王の好意で、結婚式まで挙げさせてもらった。
白無垢と呼ばれる花嫁衣装を身に付けたマーちゃんはとても可愛いくて、俺は幸せを噛みしめる。
更に歳月は流れ……。
「お義母様! 私をマンドラゴラにしてください!」
「正気かっ!?」
お義母様に頭を下げたら、反応したのはお義爺様だった。
「私に反対できる資格はないのですけれど、人間がマンドラゴラになれるのでしょうか? ……あ、なれるみたいですね。ではマンドラゴラ王の所に行きましょうか」
「ありがとうございます」
「わー!」
こうして俺はマンドラゴラとなり、末永くマーちゃんと幸せに暮らした。
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マーちゃんのお母さんとお爺様のお話、「『種族:樹人』を選んでみたら」発売中です。
マグレーンは登場していません。マーちゃんっぽい子は表紙にも出てます。
「また詩を書いているのかい?」
「わー!」
相棒に声を掛けられた詩人は、根を止めて振り仰ぐ。せっかくなので何も書いていない白い紙をそっと差し出した。
「え? 僕も書けって?」
「わー!」
なにせ彼と彼の奥方の恋は、帝国だけでなく世界中を虜にした大恋愛なのだ。小説だけでなく絵本や舞台、歌や絵画にもなっている。きっと最高の詩を書くはずだと期待は高まる。
「うーん。ローズに捧げる詩かあ。文才はないんだよねえ」
「わー……」
詩人はこの脳筋めと、残念そうに相棒の顔を見上げた。
◇
<とある風呂屋の日常>※マグレーン視点
「マーちゃん、今日はオーロチの銘水風呂にしてみたんだけど、気に入って貰えたかな?」
「わー!」
マーちゃんは嬉しそうに葉を揺らす。
「本当はマーちゃんが作ってくれた魔力回復薬は、僕だけが使いたいんだけど」
「わー……」
ちょっと不機嫌そうな声が返ってきた。
「ごめんごめん。困っている人にあげないとね」
「わー!」
嬉しそうに葉を揺らすマーちゃんを見て、それ以上頑張らなくていいんだよとは言えないマグレーンだった。
◇
<とある結婚の御挨拶>※マグレーン視点
「お義母様! マーちゃんとの結婚を許してください!」
「わー」
マーちゃんのお母様が暮らすヒイヅル国を訪ねた俺は、頭を下げる。
ちなみにマーちゃんのお母様は、樹人と呼ばれる木の姿をした少女だ。
「マグレーンさんとマーちゃんが幸せなら、私は構いませんけれども?」
「ありがとうございます!」
「わー!」
お義母様は快く承諾してくれた。
一方、お義母様のお義父様は信じられないといった顔をして俺を見ている。ちなみに彼はかつて魔王と呼ばれた人間だ。
「は? お前、正気か? マンドラゴラだぞ?」
「分かっています、お義爺様。それでもマーちゃんのことが好きなのです」
「お爺さま!? それはつまり……」
「おとーさん? 正気に戻りましょうね? それより、私はマグレーンさんのお義母さんになるのですか? 私、マグレーンさんより若いのですけれども……」
お義爺様の弱点はよく知っている。彼は娘を極端に溺愛しているため、二人の親子関係を明確な言葉にすれば、大抵のことは受け入れてくれる。
「許してもらえてよかったね、マーちゃん」
「わー!」
大陸ではまだ異種族との婚姻は認められていない。ヒイヅル国の女王の好意で、結婚式まで挙げさせてもらった。
白無垢と呼ばれる花嫁衣装を身に付けたマーちゃんはとても可愛いくて、俺は幸せを噛みしめる。
更に歳月は流れ……。
「お義母様! 私をマンドラゴラにしてください!」
「正気かっ!?」
お義母様に頭を下げたら、反応したのはお義爺様だった。
「私に反対できる資格はないのですけれど、人間がマンドラゴラになれるのでしょうか? ……あ、なれるみたいですね。ではマンドラゴラ王の所に行きましょうか」
「ありがとうございます」
「わー!」
こうして俺はマンドラゴラとなり、末永くマーちゃんと幸せに暮らした。
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マグレーンは登場していません。マーちゃんっぽい子は表紙にも出てます。
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みんなの感想(13件)
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雪乃ちゃんやっぱり1番大好きです( ´,,•ω•,,`)♡
マグレーン&マーちゃんお幸せにヽ(*´∀`)ノオメデト─ッ♪
感想ありがとうございます。
ありがとうございます。雪乃も花を咲かせて喜んでいることでしょう。
末長く幸せに暮らすと思います。ありがとうございます。
おめでとうございます。
姫の回りの回りなにげに怖い。
皆さん、一途な魔法使いばかりですね。
本来なら、王は精霊を生むのに、、、何の因果か植物とわ、、、
魔法使いは、精霊とわ愛称がよいと思うので、、、ひかれるのでしょうか?
ところで、赤い人、戻ってお子さんを儲けていませんか?
辺境にそれらしき方々がいらっしゃるのですが?
お話にきく、、赤い人のご両親は、赤い人の体験を、ご自分で味わいと思われ移住しそうですが?
勘繰りしぎかな(笑)
感想ありがとうございます。
ありがとうございます。
変人揃いです。
魔力が一途にさせるのか、一途だから魔力を高められるのか……謎ですな。
よっぽどマンドラゴラの体が心地いいのでしょうね。
魔法使いだからという部分はあるでしょうね。
普通の人間よりは、マンドラゴラを近い存在と感じているはずなので。
赤い人の体は使い回されていますからねえ……。
ただ、体に癖とかは残っていたかもしれません。
赤い人のご両親は、楽しそうだと思いはしても、移住は望まないと思います。
ははははは
そこまでイっちゃったかww
まあ、それで幸せなら良いかと。
なるほど、スターベルはキャラ作りすぎか。素のままの方が良いんだろうね。ま、キャラを作っていても時々は素が出る事もあるし、元から嫌われている訳ではないので諦めなければ良いかと。
自分の気持ち優先ではなく、相手の為に何が出来るのかを考えましょう。
……さらっとポポテプのルーツが明らかに……
なるほど、善意のサービスの結果でしたか。
感想ありがとうございます。
行っちゃいました。
嘘っぽいのがマンドラゴラ的に駄目みたいです。
元々は仲がよいコンビですから、その内に二世は誕生すると思います。
王はどこかずれた方が多いですから、傑作だと自画自賛していました。