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183.ハイエルフさん達だけが使える弓

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「しょれ、もどっちぇくりゅ? おにいちゃのは、しゃちたら、もどりゃない」

 黒い物の攻撃がなくなって、それは良かったんだけど。でも黒い攻撃以上に問題の、ディアブナスが復活しちゃって。結局はさっきよりもみんなが忙しく動いている中。僕達はアーティストさんの弓に興味深々です。だって飛ばしたはずの弓が戻ってきたんだよ。しかも僕達のハリセンを持ってきてくれて。

 魔法で弓が戻ってくるようにしたとか? それにしたって、ハリセンには傷ひとつ付いていなくて、どうやって矢がハリセンを? もう聞きたいことがいっぱいだよ。ルリとアリスとブローは、アーティストさんの足にくっ付いたり、頭の上でぴょんぴょんジャンプしたり。肩の上に乗って、ほっぺたをペシペシ叩いたり。

 そんな事しちゃダメだよ。そんな事を思ってる僕も、気づかないうちにソファーから下りてアーティストさんの所に来て、洋服を引っ張っていました。ドラちゃんは矢をじっと見てるよ。

「あにょ、まほ? やにまほちて、はりしぇんとっちゃ?」

 僕の方を見て、何とも言えない表情をしたアーティストさん。僕の言ってる事分かるかな? その顔だとやっぱり分かってないよね? ルリ、みんな、いつもみたいに僕が言った事を伝えて。そう思っていたら、バンッ!!てドアが開いてエイデンお兄ちゃんが戻ってきました。ローレンスさんとケビンさん、セバスチャンさんも一緒です。

 エイデンお兄ちゃんが、アーティストさんに群がる僕達を見てどうしたの?ってきいてきました。それとほぼ同時に結界を張り終わって、街の様子を見ていたスノーラ達も僕達の方に来て、それでひょいひょいって僕達を抱っこしたよ。

『何をしているんだ。静かにソファーに座っていないか。全くお前達は』

「アーティスト、なんだその顔は? どうかしたのか?」

「あにょね、あーてぃしゅとしゃんが、しゅっ!!って。しょれからひょいっ!!って。しょれで、はりしぇんなの!」

『凄いの!! 戻ってきたんだよ!』

『ハリセン取ってくれたなの!!』

『僕初めてだよ。戻ってくる矢を見たの』

『お前達は何の話しをしているんだ? と、それよりもローレンス、エイデンから話しは聞いたな』

「ああ。ディアブナスが復活したと。それで今はどんな感じだ?」

『我等の結界があるからな。今も新しく何重にも結界を張り直したから、少しは時間稼ぎができると思うが』

 スノーラは僕達をソファーに乗せて、ローレンスさんとまた窓の方に。

「お前は何か問題が?」

「い、いえ。どうにもまだ人に慣れていないもので」

「ああ、そう言う事か。そのうち慣れる。レン、この者は私の1番身近な人物だ。そうだな、お前達に説明するなら、お前とアイスのような関係だ。人は友達?家族と言ったか?」

 アーティストさん、ユイゴさんと家族みたいなお友達。僕達と一緒だって。今まで人とあんまり関係を持っていなかったから、人と話すのにまだ慣れていないんだって。だから困ってさっき変な顔をしてたみたい。そのうち慣れるから気にするなっていって、それからアーティストさんには、そのまま僕達を守ってろって言って、ユイゴさん自身はスノーラ達の所に行きました。

 僕達がアーティストさんの方を振り向いたら、またちょっと変な顔をするアーティストさん。僕達の矢に対する興味がなくなったわけじゃないからね。僕達はすぐにアーティストさんの方へ行こうとして、でもエイデンお兄ちゃんに止められました。

「ほら、動いちゃダメだよ。それに何があったか知らないけど、アーティストさんを困らせちゃダメだ。みんな大人しく座ってて」

「あにょね、しゅごいにょ! やが、ひゅん!!って」

 僕は何とかお兄ちゃんに矢の話しをします。それで僕が話している途中で、ルリ達が話に入ってきて。いつも僕がゆっくりお話しすると、ゆっくりなら全部じゃないけど分かってくれるお兄ちゃん。でも今回は僕もルリ達もちょっと興奮してたからね、流石に分からなかったみたいで。お兄ちゃんまで変な顔になっちゃったよ。

 そなん僕達を見ていて、ドラちゃんが説明しようとしてくれました。でもね。その前にアーティストさんが僕達に近づいて、

「先程の話としと今の話し。先程のものは『それ戻ってくる? お兄ちゃんのは刺したら戻ってこない』で、あっていますか? そして後半は『私がシュッと矢を放って、ヒョイとそれを戻し、ハリセンを取った』であっていますか?」

 おお、おおおおお!! あってるよ! 全部正解!! 

「じぇんぶ、しぇかい!!」

『レンのお話し分かるの?』

『僕達は分かるなの。でもお兄ちゃん達も他の人も、時々分からないなの!』

 僕達はアーティストさんに向かって拍手をします。急な拍手と話しに、エイデンお兄ちゃんは何々?ってついていけてなくて、それから向こうにいるスノーラは静かにしろって、表情で言ってきました。
 僕達静かにしてるよ。アーティストさんが凄かったから拍手しただけ。ソファーから下りてなし。

『まったくレン達は、何を騒いでいるんだ』

「俺達が使ってい矢が気になるのだろう」

『まぁ、怖がられるよりは良いが。それに少しでもそれで落ち着いていられるのなら良いのだが。しかし、もう少し静かにだな』

 じとっと僕達を見て来るスノーラ。大丈夫僕達はこのまま静かにしてるよ。

「これは私達の里で使っている特別な矢です。私達にしか使う事ができません」

 アーティストさんが矢を見せてくれました。僕達が余計なことをしないように、お兄ちゃんが先に持って、僕達にそっと触るだけだからねって注意してから、僕の手に矢を乗っけてくれたよ。

 う~ん、ハイエルフさん達だけが使える矢、僕には普通の矢に見えるんだけどな。ルリ達もじっくり矢を見ます。でも途中でドラちゃんが。

『やっぱり魔力の感じがするね』

 そう言いました。
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