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216.ついにここまで登って来たよ

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 あれから順調に穴を登ってきた僕達。だんだんと外が分かるようになってきました。と言っても外も暗いから、出てきた! もうすぐ!って感じじゃないけど。それでも穴の中にいるよりは明るく見える外。お屋敷のガラクタになっちゃった物ももっと増えてきて。そしてさらに登っていくと。

『ん?』

 ドラちゃんが目を細めて上を見上げて、アーティストさんとブローもじっと上を見上げました。何々?と思いながら釣られて見る僕達。上の所、何かの黒い塊が見えて。さっきまで見えていなかったよね?

 アーティストさんが少しスピードを落としながら、そして警戒しながら、さらに上へと登っていきます。その間僕達はその黒い塊から目を離さないまま。途中で黒い塊が2つになった時は、僕思わず体がビクッとなっちゃったよ。でもブローが大丈夫だって言ってきました。

『ディアブナスじゃないよ、コレイションでもない。多分…』

 多分で止まっちゃったブロー。多分誰なの? そう思いながらも僕達は約束通り静かにしたままさらに上に登ったら。やっと服装がはっきりして、あっ!っと思ってるうちにさらに近づいて、その黒い塊が誰なのか分かりました。

「りょれんしゅしゃん!!」

『セバスチャンも居る!』

『お~いなの!!』

『と、待ってみんな、手を振らないで! それから大きな声も出しちゃダメ!』

 ドラちゃんにそう言われて、急いで振ろうとしていた手を引っ込めて、その手で今度は口を押さえます。

『みんな、僕達は今見つからないようにしてるんだよ。大きな声を出したらバレちゃうかも。だからまだ静かにだよ』

 そうだった。今はブローの魔法で、僕達の気配が周りに分からないようになってるんだった。そうだよね、大きな声出したら、向こうにいるディアブナスかコレイション、残ってるかもしれない黒ローブに聞かれちゃうかも。

『ねぇねぇ、アーティスト。ローレンス達にも僕たちの事黙っててもらおうよ』

『せっかくここまで、しっかりと見つからずに来れたもんね。今ローレンス達が動いたら、ディアブナスが気づいてすぐにここに来ちゃうかも。外から聞こえてくる音、あれって絶対スノーラ達が戦ってる音でしょう?』

 そう、上に登ってくるにつれて、段々と爆発音とか、何かの音がとっても大きくなってきてて、さっきはその大きな爆発音のせいで、少し穴が震えたんだよ。

『今ディアブナスがここへ来ちゃったら、僕達すぐに捕まっちゃうよ。そうしたらまた大変な事になっちゃう。今だって大変だけどさ。今は少しでも僕達の事を気づかれずに、隠れてた方が良いよ、僕の魔法が続くまで。後の事はまた後で考えよう!』

「確かにその方が良いかもしれませんね。では次登ったら伝えてみましょうか」

 そう言ってササッ!と登るアーティストさん。どうやって伝えるの?って思ったら簡単でした。ジェスチャーで伝えただけだったよ。
 登っている最中ずっと僕達を見ていたローレンスさん。しっかりと顔が見えると、ローレンスさんもセバスチャンさんも、とっても安心した顔をして。でもアーティストさんのジェスチャーに、すぐに顔がキリッ!となって。

 ブローもアーティストさんと一緒にジェスチャーで首を振ったり、手でバツ印をしたり。色々とやってたら、ローレンスさんが一瞬だけ僕にニッコリ笑ってくれた後、すぐにその場からいなくなりました。

 今のジェスチャーだけで分かってくれたのかな? 本当はブローが飛んでいって、話そうと思ったみたいなんだけど、僕達から離れて魔法の効きが弱くなると困るからって、飛んで行くのを止めました。

『大丈夫みたい?』

『まぁ、登った後、こっちに来ようとしたら、またジェスチャーで伝えれば良いよね。アーティスト、最後ちゃちゃっと登っちゃおう!』

「上がどうなっているか…」

 ボソッとそう言ったアーティストさん。残りを今までのスピードで、しっかりと登って行きます。そして穴の出口付近まで登ってきた時、ちょうどアーティストさんの肩から上が地上に出るくらいだったんだけど。アーティストさんはあまり顔を出さないで、覗くように周りを確認。

 僕達が隠れられそうな場所を確認してくれたの。それから出るタイミングとかも大事。やっぱりずっと聞こえていた音はスノーラ達が戦っている音で、みんな無事みたいです。怪我をしてる感じもないって、アーティストさんが教えてくれました。ふぅ、良かった、僕ドキドキだったよ。

「お屋敷は全部が全部、崩壊してはいません。何箇所か隠れられる場所があります。私が外の状況に合わせて移動しますから、そのまま静かにしていてくださいね。ブロー、貴方も今度はしっかりとレンにくっ付いていてください。かなりスピードを出しますから」

『分かった!!』

 ブローがルリとアイスの真ん中に入って来て、しっかりと僕に掴まって来ます。ドラちゃんもしっかりとアーティストさんの肩を掴み直して。

「良いですか、急に動きますからね、そのまましっかりとくっ付いたままですよ」

 その後、またギリギリの所から外を確認するアーティストさん。僕はいつアーティストさんが動いても良いように、しっかりとアーティストさんにくっ付いたまま動きません。そして…。

 それは一瞬でした。大きな爆発音がしたと思ったら、いきなり周りの景色が変わって。そうスノーラの背中に乗せてもらって移動している時みたいに、周りの景色がビュンッ!!てなったと思ったら。次の瞬間には、僕達の横に大きなベッドがありました。
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