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219.薄いモヤモヤ

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『今のはどっちの攻撃?』

『みんな見えない攻撃、だから分かんないなの』

 うん、そうなんだよね。みんな凄い速さで動いて攻撃するから、誰の攻撃か分かりません。分かる時もあるけど、例えばスノーラが噛み付き攻撃した時とか、ドラゴンお父さんさんの噛み付き攻撃、それから爪で引っ掻く攻撃でしょう。あとはユイゴさんハイエルフさん達の刺さった後の矢とか。
 でも、他の魔法の攻撃、剣の攻撃は早すぎて分かりません。あんなに早く動いて、よくみんな間違って魔法を当てちゃったり、攻撃する時にぶつかったりしないよね。

 あっ、それからね。スノーラとドラゴンお父さんは他にも凄い事が。魔獣姿に変身したり、人間に変身したり、その時々によって攻撃する姿を変えるんだよ。しかもそれをしながらの攻撃だからね。
 それからドラゴンお父さんはドラゴンに変身すると、僕が初めて会ったドラゴンお父さんの大きさじゃなくて、ちょっと小さいドラゴンに変身します。
 さっきドラちゃんと交代した時に教えてもらったんだけど、戦うのに今の大きさがちょうど良いんじゃないかな?って言ってました。

 みんなの凄い攻撃に、僕が見た中で、ディアブナスは今が1番ボロボロです。もちろんコレイションも。
 コレイションは何度も、足や腕を吹き飛ばされたり切られたり。でもすぐにディアブナスに治してもらうんだけど、さっき僕が感じた違和感は気のせいじゃなくて。やっぱり元の腕や足じゃありませんでした。今のコレイションの腕や足は、とっても細くて。最初はちょっとした違和感、でも今は確実。

『回復が間に合ってないんじゃない?』

 交代で今向こうを見ているブローが言いました。

『あいつの回復だからね、治せないはずないんだよ。でもあの回復って事は、スノーラ達が頑張ってくれてるから、しっかり治す時間がないか。それともそっちまで力を使っている暇がないか。なにしろ自分も攻撃してるからね』

『あいつが弱くなってる、って言うなら嬉しいのにね』

『それは今のところないかな。さっきから一定って感じ? 今あいつらがボロボロなのはあいつらが弱くなったんじゃなくて、スノーラ達が頑張って攻撃しててくれてるからだよ。でも…』

「でみょ?」

 しっかりと周りを監視しながら聞き返す僕。

『あいつ、これ以上強くならないのかな? それなら良いんだけど。あれだけさっきまで力を高めてたのに。それに少しとはいえ、僕とレンの魔力を吸い取ったんだよ。もっと強くなってもおかしくないのに』

 そう言えばスノーラもどんどん強くなってるって言ってたよね。だから結界の修復も間に合わなくなって、お屋敷もボロボロ、僕達は穴に落ちちゃって。
 でもこれ以上力が強くならないならそれで良いよ。スノーラ達が頑張って止めてくれてるのに、お兄ちゃん達も頑張って魔法陣を描いてくれてるのに。それが無駄になるのはダメ。

『そろそろ交代しようか?』

 またみんなんで場所の交換です。僕達の方っていうか、ローレンスさん達が相手をしている魔獣達は今、最初の半分くらいの数に。ビシバシッ!!ローレンスさん達が倒してくれてるからね。それから壊れちゃった外の結界は、ハイエルフさんが2人駆けつけてくれて、そのハイエルフさんが直してくれました。だから何とか魔獣達の侵入は止められたんだ。

『あっ! スノーラの噛み付き攻撃!』

『肩に噛み付いたなの!!』

 僕達は静かに拍手をしました。すぐに見えないスピードで移動したスノーラ。あれ? 僕は目をごしごし擦って、今ディアブナスが噛まれた肩の部分を見てみます。僕の見間違い? でも…。
 あっ! ああ、もう!! じっくり見ようと思ったのに、ディアブナスが噛みつかれた所回復しちゃった。スノーラ、もう1回噛みつき攻撃してくれないかな?

 そう思っていたら、またすぐにドラゴンお父さんの噛みつき攻撃。残念失敗です。でもその後すぐにスノーラの噛みつき攻撃が決まって、今度は腰を噛みつかれたディアブナス。

「うしゅい、もにゃもにゃ」

『レン? どうしたの?』

『薄いモヤモヤ?なの?』

 うん、そう。薄いモヤモヤ。ディアブナスの噛まれた場所から、薄い黒いモヤモヤがちょっとだけ出ていました。さっきも噛み跡からモヤモヤが出ていて、でも見間違いかなって見直そうと思ったら回復されちゃったんだよ。でも今確認したら、やっぱり噛み跡から薄い黒いモヤモヤが出ていました。

「みにゃ、わかりゅ?」

『う~ん、ルリ分かんない』

『ボクも分かんないなの』

 と、話しているうちに、また回復しちゃったディアブナス。そうしたらやっぱりそのモヤモヤも消えて。そう言えば今の薄い黒いモヤモヤ。前にもディアブナスから出てなかった? 最初の頃、ディアブナス達が攻めて来た頃に。

『何々? 薄い黒いモヤモヤ? ルリ、アイス、どっちか僕と交代して』

 ルリがすぐに交代してくれた、僕の頭の上にブローが乗って来て向こうを見ます。

『どこからモヤモヤが出てるの? 僕だったらそれが何か分かるかも』

 ちょっと待ってね。またスノーラ達が噛み付いてくれないと見れないかも。それかたまたま傷跡から見えただけかも。本当は噛まれないくても出てたとかね。

 すぐに見られるかな?って思ったけど、少しの間魔法と剣の攻撃が続いて、ブローが早く早くって僕の頭の上で騒いでたよ。そしてやっとスノーラの噛みつき攻撃が決まったら。

「うしゅい、くりょ、もにゃもにゃみえりゅ?」

『ちょっと待ってね…』

 ブローがじっと見つめました。
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