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268.何故お前がここに!?(ディアブナス視点)
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早く、早くしなければ。このままでは封印されてしまう。この子供はどうして私に触れられる? いや触ることは出来るだろう。だが何故その触られた時に、私はこの子供を取り込む事ができない?
いや、今の私の状態ならば、取り込めない可能性も。しかし子供はこれだけ私に触れているのだぞ、力を奪う事くらいできるはずだ。それなのに力を奪うどころか、子供が私をはたく度に、私の集めた悪の力が消えていく。何故だ!?
コレイションの様子を確認する事はできないが、気配を感じればもう立てる状態でない事が分かり。そのせいで向こうからの攻撃も相手にせねばならなくなり、子供のはたくスピードが上がってしまった。
早く、少しで良い。この魔法陣から離れ、そして更にここから離れるために、この辺に残っている悪を吸収しなければ。こうなったら逃げるだけの力で良い。まずはこの者達に邪魔をされぬ場所に逃げ、そこで新たにまた力を溜めれば。
早く、早く隙を見つけろ。時々子供が私の様子を確認するためか、動きが止まる時がある。その時に逃げられないだろうか。
『………』
!? 何だ? あまりにも力を奪われすぎて、また私に変化が起きたのか? いや、私の本体が消える以上の変化は起きない筈だ。気のせいか?
パシッ!! パシッ!! 私がここから離れる事を考えている間も、子供のはたく行為は続いている。他の事に気を取られている場合ではない。
パシッ!! 子供の動きが止まった! 今だ!!
『………そんな事はさせないぜ』
!? 誰だ!? 誰の声だ!! その声は私の周りから聞こえたのではなかった。私の体の中から聞こえたのか? いや気のせいだ。体が消える以外の変化は起きないと言ったが幻聴が? くそっ! 私はこんなにも脆かったのか?
まったく子供が動き出す前に、ここから離れなければならないと言うのに。私は再び動こうとした。その時再びあの声が。
『…もう少し、もう少しだ。あの時念のために力を残して良かった』
幻聴? 誰だ!? まだ私の邪魔をする者が現れたのか!! しかしどう確認をしても、この声は私の中から聞こえてくる。一体どう言う事なのか。
『お前も忘れっぽい奴だな。それとも力を奪われすぎて、混乱していてこっちまで気が回らずに分かんないのか? まぁ、思い出したところで、これから封印されるお前にはとっては関係ない事だけどな』
忘れっぽい? 混乱している? この私が混乱など。
『あれだけ相手をしてやったろう? 2回もお前を封印してやったんだぜ』
2回も封印? その時私の頭の中にあの時の光景が。何だ、この声の言う通り、私は本当に混乱しているのか?
まさかそんなはずはない。あの頃の者達が今、ここに居るはずがないのだ。あの忌々しい魔獣共は居るが。それは人間達と生きる長さが違うからであって、決してあの頃の人間が生きているわけがないのだ。
『何だ? 思い出したのか? いやぁ、久しぶりだな』
『お前がここにいるわけがない。お前はあの時死んだはずだ!』
『そう言うなよ、久しぶりの再会なんだから、そうだ抱き合うか? まぁ、今はお互い自由にできる体がない状態だからな、それも出来ないか。じゃあ再開を祝ってお互い喜びの挨拶でも』
『何故お前が! 何処だ! 何処にいる!!』
『いや、何処にいるって言われても、お前の側としか言いようがないんだけどな。それよりも、そうだな。まだお前みたいに姿を見せられていないが、あと少しで形としてお前の前に出て来れると思うぜ。ほら良いのか? 俺の相手をしていて。かなりお前の本体を削られてるけど』
『何処だ! 何処に居る!! ええい! 煩いぞ!!』
私は子供に向かって攻撃をした。だが私の攻撃は全てあの魔獣達と、小さな者達に止められてしまい。
今はお前達の相手などしている状況ではなくなった。私の邪魔をするな、お前達を相手にするよりも、面倒な事が起きてしまったのだ。
『さてと、やっとお前の力がここまで弱まって、外の声が聞こえて来たけど、あの子、レンって言うのか? 外へ出る事ができたら、あの子の手伝いをしても良いんだけど、お前の封印に完全に力を残しておきたいんだよな。まぁ、今の感じなら、手伝わなくても良さそうだけど』
何処だ、何処に居る! 本当に早くここから離れなければ!
『まぁ、落ち着けよ。…お前は世界の悪からできた奴で、確かに原因を作った俺達に責任はある。だけどな、それでも俺達は俺達の幸せのために、みんな精一杯、毎日を生きているんだ。それの邪魔はさせないぜ』
『煩いぞ! 私は私の世界を、今度こそ作るのだ!』
『そんな事させるとでも。ここには俺の子孫や、大切な家族がまだ生きているんだ、諦めろよ。それにしても、まさか同じ世界の人間がお前に関わるなんてな。でも…。あいつが新しい家族と出逢えて良かったよ。俺が居なくなる時、あいつをかなり傷つけたからな。心配してたんだ』
煩い! 煩いぞ!! 私はここから離れ力を戻し、再びこの世界を闇に変えるのだ。そのためにも絶対にここから逃げて。
『ハハハッ、ごちゃごちゃと煩いのも昔のままだな。もうすぐしっかり会える。そうだな、それまでもう少し話しをしないか?』
煩い!! 私は再び子供を攻撃する。そしてその攻撃と共に、少しだけ体を動かした。動かせたように感じた。しかし実際には少しも体は動いておらず。その時コレイションが私に触れ。
『ディアブナス様、私の最後の力を、もう少々しかありませんが!!』
そうコレイションの声が聞こえ、その瞬間コレイションの気配が一気に小さくなり。今だ!! 私は思い切り体を動かした。だが…。
「うごくにょ、めっ!!」
『ハハッ、『めっ!』か。確かに動いちゃダメだよな』
いや、今の私の状態ならば、取り込めない可能性も。しかし子供はこれだけ私に触れているのだぞ、力を奪う事くらいできるはずだ。それなのに力を奪うどころか、子供が私をはたく度に、私の集めた悪の力が消えていく。何故だ!?
コレイションの様子を確認する事はできないが、気配を感じればもう立てる状態でない事が分かり。そのせいで向こうからの攻撃も相手にせねばならなくなり、子供のはたくスピードが上がってしまった。
早く、少しで良い。この魔法陣から離れ、そして更にここから離れるために、この辺に残っている悪を吸収しなければ。こうなったら逃げるだけの力で良い。まずはこの者達に邪魔をされぬ場所に逃げ、そこで新たにまた力を溜めれば。
早く、早く隙を見つけろ。時々子供が私の様子を確認するためか、動きが止まる時がある。その時に逃げられないだろうか。
『………』
!? 何だ? あまりにも力を奪われすぎて、また私に変化が起きたのか? いや、私の本体が消える以上の変化は起きない筈だ。気のせいか?
パシッ!! パシッ!! 私がここから離れる事を考えている間も、子供のはたく行為は続いている。他の事に気を取られている場合ではない。
パシッ!! 子供の動きが止まった! 今だ!!
『………そんな事はさせないぜ』
!? 誰だ!? 誰の声だ!! その声は私の周りから聞こえたのではなかった。私の体の中から聞こえたのか? いや気のせいだ。体が消える以外の変化は起きないと言ったが幻聴が? くそっ! 私はこんなにも脆かったのか?
まったく子供が動き出す前に、ここから離れなければならないと言うのに。私は再び動こうとした。その時再びあの声が。
『…もう少し、もう少しだ。あの時念のために力を残して良かった』
幻聴? 誰だ!? まだ私の邪魔をする者が現れたのか!! しかしどう確認をしても、この声は私の中から聞こえてくる。一体どう言う事なのか。
『お前も忘れっぽい奴だな。それとも力を奪われすぎて、混乱していてこっちまで気が回らずに分かんないのか? まぁ、思い出したところで、これから封印されるお前にはとっては関係ない事だけどな』
忘れっぽい? 混乱している? この私が混乱など。
『あれだけ相手をしてやったろう? 2回もお前を封印してやったんだぜ』
2回も封印? その時私の頭の中にあの時の光景が。何だ、この声の言う通り、私は本当に混乱しているのか?
まさかそんなはずはない。あの頃の者達が今、ここに居るはずがないのだ。あの忌々しい魔獣共は居るが。それは人間達と生きる長さが違うからであって、決してあの頃の人間が生きているわけがないのだ。
『何だ? 思い出したのか? いやぁ、久しぶりだな』
『お前がここにいるわけがない。お前はあの時死んだはずだ!』
『そう言うなよ、久しぶりの再会なんだから、そうだ抱き合うか? まぁ、今はお互い自由にできる体がない状態だからな、それも出来ないか。じゃあ再開を祝ってお互い喜びの挨拶でも』
『何故お前が! 何処だ! 何処にいる!!』
『いや、何処にいるって言われても、お前の側としか言いようがないんだけどな。それよりも、そうだな。まだお前みたいに姿を見せられていないが、あと少しで形としてお前の前に出て来れると思うぜ。ほら良いのか? 俺の相手をしていて。かなりお前の本体を削られてるけど』
『何処だ! 何処に居る!! ええい! 煩いぞ!!』
私は子供に向かって攻撃をした。だが私の攻撃は全てあの魔獣達と、小さな者達に止められてしまい。
今はお前達の相手などしている状況ではなくなった。私の邪魔をするな、お前達を相手にするよりも、面倒な事が起きてしまったのだ。
『さてと、やっとお前の力がここまで弱まって、外の声が聞こえて来たけど、あの子、レンって言うのか? 外へ出る事ができたら、あの子の手伝いをしても良いんだけど、お前の封印に完全に力を残しておきたいんだよな。まぁ、今の感じなら、手伝わなくても良さそうだけど』
何処だ、何処に居る! 本当に早くここから離れなければ!
『まぁ、落ち着けよ。…お前は世界の悪からできた奴で、確かに原因を作った俺達に責任はある。だけどな、それでも俺達は俺達の幸せのために、みんな精一杯、毎日を生きているんだ。それの邪魔はさせないぜ』
『煩いぞ! 私は私の世界を、今度こそ作るのだ!』
『そんな事させるとでも。ここには俺の子孫や、大切な家族がまだ生きているんだ、諦めろよ。それにしても、まさか同じ世界の人間がお前に関わるなんてな。でも…。あいつが新しい家族と出逢えて良かったよ。俺が居なくなる時、あいつをかなり傷つけたからな。心配してたんだ』
煩い! 煩いぞ!! 私はここから離れ力を戻し、再びこの世界を闇に変えるのだ。そのためにも絶対にここから逃げて。
『ハハハッ、ごちゃごちゃと煩いのも昔のままだな。もうすぐしっかり会える。そうだな、それまでもう少し話しをしないか?』
煩い!! 私は再び子供を攻撃する。そしてその攻撃と共に、少しだけ体を動かした。動かせたように感じた。しかし実際には少しも体は動いておらず。その時コレイションが私に触れ。
『ディアブナス様、私の最後の力を、もう少々しかありませんが!!』
そうコレイションの声が聞こえ、その瞬間コレイションの気配が一気に小さくなり。今だ!! 私は思い切り体を動かした。だが…。
「うごくにょ、めっ!!」
『ハハッ、『めっ!』か。確かに動いちゃダメだよな』
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