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しおりを挟む何て言ったのか聞いてみようかな。
そう思っていたら、私を優しく抱きしめながら頭を撫でているお兄ちゃんがまた言葉を発した。
「……てもいい?」
いつもはハキハキと良く通る声で話すのに、今はお兄ちゃんの声、やけに小さい。
今度はなんて聞かれたんだろう……でも、お兄ちゃんが私の嫌がる事を聞くはずないよね。
「いいよ」
返事をした瞬間、抱きしめていた私からガバッと上半身を離したお兄ちゃん。
仰向けになった私を間に挟み、ベッドで腕立てをするような感じに。
でも、そう感じた直後。
お兄ちゃんの整った顔が近づいてきたなと思ったら。
ちゅ、と唇に柔らかいものが触れて、すぐに離れた。
二秒ほど遅れて脳に情報が流れてくる。
今の、キス? え……??
「な、んで……?」
「夫婦になったから」
幸せそうな笑みを浮かべるお兄ちゃん。
カッコイイのに、可愛い。
だけど……。
夫婦になったっていうか、契約結婚で家族になっただけだよね、私たち。
「か、家族はキスなんて、しない、よ……?」
「小さい頃は琴莉の方からたくさんしてくれたよ」
確かあれは、私が幼稚園くらいの頃。
お兄ちゃんの頬とかおでこにたくさんチュッチュしていたのは憶えている。
もしかして今お兄ちゃんがキスしたのって、それと同じ感覚!?
それとも私の事をからかっているだけ??
それに、あの頃だって……。
「口には、してない……」
小さい頃、一度だけふざけて口にキスしようとしたら、お兄ちゃんが少し困ったような顔をしたから口にはしちゃいけないんだなって思ってしていない。
「わかった。琴莉が嫌なら口にはもうしない。安心して」
……嫌……?
嫌、じゃなかった。
お兄ちゃんとキスなんて、おかしいのに。
私、変なのかな。
……変、だよね。
お兄ちゃんとのキスが嫌じゃなかったなんて、言えない。
言っちゃいけない気がする。
腕で私の頭を囲うようにして、お兄ちゃんはベッドに肘をついていた。
いくら私がイケメンのお兄ちゃんに慣れているとはいえ、こんなに近すぎるとさすがにドキドキしてしまう。
でもお兄ちゃんの身体が私に覆い被さっているから、逃れようとしても身動きができなくて。
「ひゃ!?」
レロ……と首を舐められた。
お兄ちゃんっっ!?
口にはしないって、首にはするって事!?
生温かくてしっとりとした舌の感触が。
つぅーッと首から耳の裏まで這っていく。
そのまま耳の裏を、ねっとりと舐めた。
なんだかお腹の奥の方がゾクゾクする。
「ャ、ぁッ、んン、ムんッんん」
妙に艶っぽい声が出そうになって、咄嗟に指を噛んで言葉を飲み込んだ。
こんな自分の声、初めて聞く。
自分じゃないみたいで、怖い。
「琴莉、ダメだよ噛んじゃ。痛いだろ?」
優しく諭すようなお兄ちゃんの声。
そっと私の手を口から離すと、自分の指を絡めてギュッとつないだ。
「で、でも、なんか変な声、出ちゃう、ヤダ」
「それなら声が出ないようにする? その方がいいかな、琴莉? 自分で選んで」
「で、出ない方が、いい」
ブンブンブンと首を縦に振る。
声が出ないように、もう何もしないで。
恥ずかし過ぎるから。
私のことからかっているなら、もう止めてよぅ……
――――ぇ……――――?
「ㇺ……んン……ッ」
お兄ちゃんに、口を塞がれた。
さっきのキスよりも強く、唇を重ねられて。
驚いて声をあげようと唇を動かしたら。
薄く開いた唇の隙間に、お兄ちゃんの舌が差し込まれた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【お知らせ】
読者様、いつもお気に入り登録に感想の投稿等、本当にありがとうございます。
ざまぁネタが降ってきたため、以下のショートショートの投稿を開始させていただきました。
他に亀更新の連載作品があるなか大変恐縮です……。
『迷いの森へ溺愛を運ぶユニコーン~孤独な魔女は、王の奴隷となった隣国騎士団長への恋心をそっと隠したまま帰してあげたい~』
連載中の小説も完結まで更新していきますので、亀作者ですがこれからもお付き合いいただけますと幸いに存じます。
応援ありがとうございます!
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