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後話 まだまだ、受難体質大河勝流
閑話 疑う余地のない告白
しおりを挟む──えっ、はぁっ?
突然ひざまずいてなにしてんの?
──魔王様に、手伝ってもらったの?
でもお前、魔王様は気に食わないって、いつも畏れ多いこと言ってたじゃない……。
──本気だってわかってもらうために? こういうのしか思いつかなかったから?
っ、な、なに、バカじゃんっ。
──え、だ、黙って聞けって?
う、あ、ぁ……ぅう。
──っ!? っ……ん……っ……、そう……。……あ……、……! ぇ、あ……、う……っ!
……うん…。……っ、うん……、うん……。
──っバカじゃない、の……っ!
あぁ、もう、もうっ、……いいよっ。
──そ、そんなことまでされたら、頷くしかないでしょ! ……泣いてないよっ、バカっ! 後で嫌になっても知らないんだからね!
──……ふんっ、僕は一途なんだよ! お前みたいに他の子にデレデレしないもん、バカ、バーカ。
──べ、別に、好みのタイプなんて、それほど重要じゃないんだよ。それを、バカ、そんな格好までしちゃって。恥ずかしいやつ……。
──嫌だとは言ってないよ。
まぁその……か、かっこいいと、思う。デレとかじゃないからっ!
──んん…………ちょっと。そのまま、ひざまずいたまま、目、瞑って。
ふぅ……、よし。
──……さっきは、ごめんね。僕の知らない間に、お前に仲のいい女の子がいたのかと思って、その、……嫌だった、だけ、だから。
──そんなモヤモヤする自分を見られたくなくて、八つ当たりして、追い出しちゃったけど、本当はもう怒ってないよ。
──それでね、……ほんとは、デートの下見してくれたのは、その、嬉しかった、から……、……ほんとだよ。
──……僕、お前と、行ってもいいよ。
──っだめ、絶対目を開けちゃだめ! 動いたらなしだからね!
え? 今すぐ押し倒したい? この変態勇者、なにバカなこと言ってんのっ。
──調子に乗らないでよね。
お前はまず僕になんでも報告すること、お前の全部を僕に教えること。
……そしたら僕のことも、なんでも教えてあげる。……カモ。
──ん? まだだめだよ。ちゃんと目をつぶったまま。……ン、うわっ!
──ちょ、ちょっとお前僕の言うことが聞けないのっ?
動くなって言ったじゃん、なにキスくらいで抱きしめてるのっ!
──言葉はムリ! 言えないの! 言えないから、言えるまでちゃんと待っててよっ! も、っん、ん……っ!
──っ、バカ……っ! あの言葉、ちゃんと本気だって僕に信じさせてよね!
『わ、っ私、篝 雄緒は、ユーリセッツ・ケトマゴを、心の底から愛していますっ』
『あなたの空色の髪も、柔らかな耳も、アーモンドの様な瞳も、桜色の唇も、触れたら折れてしまいそうな繊細な手足も、気まぐれに揺れる尻尾も、私はひと目で魅了され、ました』
『だけど、だけどあなたを知るほど、ッ私は、つれない表情がジャムクッキーで綻ぶ時の笑顔も、半端に希望を持たせないようキツく拒絶する優しさも、心を許せば決して見捨てない慈愛も、もっとたくさん、言い切れないくらい、わっ私はあなた自身に、惹かれてやまない……わけ、で……』
『っ……ッだから! 冷たくしたって、構わない、全然……構わねェ。傷つけたなんて悩むことねェ、俺は頑丈でバカだから、お前の真っ直ぐな言葉くらいがちょうどいい』
『自分を押しつけることは、もうしねぇ。お前の気持ちに寄り添うから、お前の速度で歩くから、俺の好きを信じられるまで、お前が素直に愛されてくれるまで……俺はずっと、待っているから』
『───ぉ……俺のお姫、様に、……な、なって、くれません、か……っ』
閑話 了
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