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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

149★最近もなにかと物騒です

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 車から降りた和輝は、輝虎と真奈に礼を言う。

 「サンキュー…輝虎…真奈
  流石に、借り物の車だからな
  何かあったら困る」

 そんな和輝に、真奈は肩を竦め、おとなびた口調で言う。

 「面倒だけどしょうがないね
  最近は、この辺もかなり
  物騒になったし………

  外から来た人達のセイかな?
  人間も、何か妙にさもしく
  なった感じだからねぇ………

  ほんのちょっとした油断で
  車やバイク、自転車だって
  盗まれちゃうんだもん

  自衛しなきゃね

  ああ…そうそう…和兄ぃ…
  知ってたぁ?

  3軒隣りのおじいちゃんの
  ところなんだけどね

  1週間前、門の上に飾ってた
  左右一対で丹精込めて作った
  盆栽を盗まれたって話し

  去年、親父が何を思ってだか
  知らないけれどさぁ………

  それまで、出入り自由だった
  駐車場に門を作ってくれて

  ほんとぉ~に良かったって
  思うよ、しみじみとね
  特に、今はね………

  しかも、簡易なのじゃなくて
  がっちりと、しっかりしたので
  少し重いのが難点だけどね」

 真奈の言葉に、和輝は車から荷物を降ろしながら、同感だと大きく頷きつつ言う。

 「そうだな、色々な意味で
  この駐車場の門は助かるな

  ちょっと駐車している間に
  盗まれちまって………

  車1台分弁償なんてコトに
  なったら、家計が痛いなんて
  モンじゃねぇーからな

  最近、この朝露街にも
  不法外人が増えたセイか
  かなり物騒になっているしな

  テレビのニュース見てるとなぁ
  ここんところ、不法滞在者の
  犯罪がググッと増えているのを
  感じるもんなぁ………

  戸外に置いてある洗濯機から
  自転車や車なんかから
  野菜や果物のはてまでだろう

  この間は、どっかの大学が研究で
  ヤギを使ったエコ除草の為に
  囲いの中に放していた数頭のヤギを
  盗んで食べたって話しもあるしな」

 肩を竦めながら、そう言う和輝に、輝虎が言う。

 「俺も似たような話し聞いたぞ

  やっぱりヤギで、家庭菜園の
  周囲につがいと子供の3頭を
  繋いで置いたら………

  そろそろ3頭のヤギを小屋に
  戻す時間だからって家の隣りの
  畑に行ったら3頭とも、持って
  いかれてたって………

  繋いでいた綱は鋭利な刃物で
  切られた跡があったって………

  たぶん、盗んだのは、ヤギを
  食べる為にだろうな」

 輝虎の話しに、和輝は肩を竦めて、カンザキ医院のドア前にいる竜也のもとに向かいながら言う。
 勿論、輝虎も真奈も車から降ろした荷物を持って、自然と一緒に移動している。

 「たぶんな、アジアでヤギを
  食べないのって、日本の
  本州ぐらいだからな

  沖縄は、ヤギ料理あるし
  北海道は、ヤギと大差ない
  ヒツジ料理があるからなっと

  お待たせ、竜也…って、あれ?
  優奈は?」

 和輝達を待っていた竜也は、何時ものすました口調で答える。

 「ああ、優奈ちゃんなら
  お茶の準備するって先に入ったよ

  ところで、荷物はそれだけかい?
  トランクとかは、確認しなくて
  良いのかい?」

 竜也からの指摘に、乾物と1日くらいなら車の中に置いておいても腐らない野菜類を少々持って来ていたコトを思い出す。












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