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011★魔力切れまで頑張ります

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 私は、ちょっとガックリしつつも納得する。

 ……ですよねぇー…たしかラノベでも………
 鑑定魔法の初期って、使えねーってやつだったよね
 これは何回も使わないとだよね

 魔力は………うん、感覚的にまだ大丈夫そうね
 とにかく、ライトは魔力をほとんど消費しないみたいだから………
 視覚を確保しつつ、何か武器になるモノを探さないとね

 今の私がこのまま魔物になんて遭遇したら、それが最弱なスライムやゴブリンなんかでも、かなりヤバイのは確かだと、自戒して周囲を一心に照らすライトを唱えながら、丹念にこの空間を調べる。
 と、そこには、どうもカエデのモノとは思えない角がゴロンと落ちていた。

 「えっとぉー…カエデ、コレって
  ドラゴンの角よねぇ………
  誰の角なの?」

 私の問い掛けに、指輪の中のカエデが答えてくれる。

 《ああソレですか その角は
  サクラの父にあたるドラゴンの角です》

 「それってカエデの番ってこと?」

 《残念ながら 私に番は現れませんでした
  ですので 次世代を残す為の卵を
  産む為だけに選んだオスです

  愛の証しとして 角を貰いました
  私が卵を産んだコトに満足して

  あのオスは 新しい相手を求めて
  ここから 外へと旅立ちました

  あのオスが まだ外で生きていれば
  遭遇するかもしれませんね》

 色々と突っ込みどころはあるが、それはさておきで、私は聞いてみた。

 「ねぇー…角って折ったら不味くないの?」

 私の質問に、カエデはさらっと答えてくれました。

 《番やマスターに 自分で折って
  差し出すぶんには 再生しますよ

  意に染まない者に 無理やり奪われると
  再生しないようですが………

  ソレでも役に立つと思いますので
  持って行くコトをお勧めします》

 そうカエデに言われても、私には持って行く術が無いので困ってしまう。

 この角…軽く1メートルはあるよ
 いや、カエデの消える前の額の角ってもっと大きかったか……
 根元なんてひと抱え……軽く直径50センチはあるし

 いや、コレどうしよう?
 持って行くって言っても運べないし………
 サクラの卵のカラも量が以外とあるんだよね

 まだ集めていないサクラが出てきた卵のカラをチラッと見てから、私は今さっき使った鑑定をしてみた。

 「鑑定」

 私が唱えると同時に、やはりさっきと同じぐらいの魔力量がスゥーと抜けるのを感じた。

 〔鑑定〕
 古代竜氷竜のオスの角
 カエデへの求婚の貢物
 サクラの父にあたるモノの角
  
 あっ少しは使えるようになった?
 あぁ~…うん…これは、このさいだから………
 魔力切れまで、ここで鑑定とライトを唱え続けよう

 そうこころに決めた私は、他に目ぼしいモノは無いかと期待しつつ、ただひたすらにそこらじゅうを鑑定して歩き回った。

 ライトを唱えつつ、視界に入った壁や床、サクラの卵が置かれていた台座周辺と、丹念に鑑定を掛けて行く。

 そして、少し動いては、なんかありそう思う、気にかかった場所を、こまめに鑑定をしていて………。

 「鑑定」

 〔鑑定〕

 地上への横穴を開ける為のスイッチ1
 このスイッチをコブシで叩くと開閉する
 今のフィリシアでは、無理

 その鑑定結果に、思わずぼやく。

 「ちょっとぉー…それってないでしょぉ~…
  せっかく地上への道を見付けても
  開けられないってどうよ

  まぁ…今すぐ行くつもりはないけどさ
  はぁ~…取り敢えず、ココにひとつね」

 私は目印になりそうなモノは無いかと、周囲を見回す。
 と、少しだけ延々と続く壁に亀裂が入っているコトを確認し、無意識に頷いて、再び丹念にライトを唱えながら、怪しい場所を鑑定して行く。

 そろそろ、鑑定1回とライト数回の分ぐらいしか、残りの魔力が無くなったなぁーと思い、私は、この鑑定をし終わったら、サクラの卵が置かれていた台座に戻って、ひと寝入りしようと考えた。

 この空間は、意外と広いのね
 いや、あの巨大なカエデがいた場所だけあって
 空間が広いこと広いコト

 まだ、4分の1も確認し終わってない
 下手すっと、見えない部分もあるから
 10分の1にも満たないかも………はぁ~……

 「鑑定」

 私は、何気なしに下から生えている鍾乳石、石筍《せきじゅん》を鑑定をしてみた。

 〔鑑定〕

 石筍《せきじゅん》
 中に貴重なアイテムあり
 石筍《せきじゅん》を破壊すると取れる

 はぁ~コレだけなのねぇ……やっぱり
 つっても、今日1番のヒットよね
 何て言っても、貴重なアイテムでしょ

 「つーか、どうやって取れってぇー………
  破壊しないとアイテム取れないなんて……
  どうしたら良いのよぉぉぉぉぉ~……」

 と、両手のコブシを握りしめて、思いっきり叫んだ。
 その次の瞬間、今の今まで眠っていたサクラが、私の首元で鳴く。

 「きゅきゅきゅぅぅ~?」

 その声で、サクラの目が覚めてしまったコトに気付き、私はちょっと恥ずかしく思いつつ言う。

 「ごめんね、サクラ
  気持ち良く眠っていたのに
  起しちゃったね」

 「きゅうぅ?」

 サクラは軽く鳴いて、スルッと地面に降り立ち、私が見詰めて叫んでいた石筍《せきじゅん》に、トンッと体当たりをかました。
 その次の瞬間、その石筍《せきじゅん》はものの見事に破壊された。

 破壊された石筍《せきじゅん》のあった場所には、布?か革?で作られた腰に巻くポーチ風のモノが鎮座していた。











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