追放された“ログ係”は、世界の裏設定を読めるようになりました

 勇者パーティーに所属するレインは、戦闘能力をまったく持たず、ただ後方で記録を取るだけの“ログ係”として扱われていた。仲間たちが魔物を倒し、功績を上げる中、レインだけは何もしていないと責められ、反論できずに俯くしかなかった。

 ダンジョン攻略を終えて拠点に戻ると、ついに勇者カイルから一方的な宣告が下される。「レイン、お前をパーティーから外す」――無力だと断じられ、唯一の居場所だったパーティーを追放されてしまう。街には戻れたものの、頼れる仲間も金もなく、レインは自分がどれほど無価値なのか痛感しながら彷徨う。

 そんな中、彼の視界に突然、見たことのない文字が浮かぶ。《ワールド・ログ 起動》。通行人のステータスや隠された情報が、まるで世界の裏側を暴くように表示されはじめたのだ。驚きつつも能力を確かめるレインは、ある人物を見たときだけ《深層ログ閲覧》が開くことに気づく。そして偶然目にした勇者カイルの深層ログに、恐るべき未来が記されていた――「世界破壊」。

 衝撃のまま街を歩くレインは、奴隷市場で弱々しい少女・フィアと出会う。試しに彼女のログを見ると、“世界救済成功率87%”という異常な未来値が示される。しかし同時に、深層ログには「本日中に死亡予定」の文字。少女は救済の鍵でありながら、このままでは命を落とす運命にあるのだ。

 葛藤の末、レインは初めて自らの意思で行動する。「助ける」。奴隷商人からフィアを買い、運命を変えた瞬間、ログは更新され、未来の分岐が確かに変わったことを告げた。

 目を覚ましたフィアは、なぜ自分を救ったのかと尋ねる。レインは静かに答える。「君のログを見た」。かつては追放された無力な青年だった彼は、世界を読み解く力――《ワールド・ログ》を得て、新たな歩みを始める。
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