30 / 41
♡滑り落ちた奇襲神
手で耳を塞いでいても聞こえる心臓の音。
モントさんと入れ替わるように馬車に乗り込んだお兄様と向かい合わせに座り、側面の壁に頭をつけ出来るだけ顔が見えぬように寝入っているふりを致しました。
お兄様は扉の取っ手に空になった鞘を貫のように差し外開きの扉が開かないように致しました。
「あと半刻早かったら宿場町でまともに合っていたな。ここで良かったと見るべきか」
宿場町では、2頭の馬を交換せねばなりませんので鉢合わせとなっていたでしょう。
このまま気付かずにいてくれればよいのですが、気付かれた時にどのような態度になる事か。
その時御者席で声が聞こえました。
御者席にはマクシム様とモントさんがいらっしゃいます。こちらに向かってきていた兵士が声をかけたようです。
「この馬車はどの家の馬車だ」
「はい、これはアルメイテ国ネイチュア伯爵家の馬車で御座います」
「アルメイテ国の…なるほど。ボンヌ国に行かれるのか」
「はい、特産品の売り込みをと思いまして」
「屋根の荷物がそれか」
「そうです」
「荷物を検めたいが、よろしいか」
「それは困ります。こんな土埃の多い所で開封をされ、広げられたらもう商売になりません。荷の検品は所定の宿場町で行なうようになっております。それがすぐそこの宿場町。ここでの検品はご容赦ください」
モントさんと兵士のやり取りにわたくしは叫び出したいほどの緊張を覚えます。
ちらりと向かいのお兄様を見れば、こんな怖い表情を見たのは留学先に向かう際にお父様と言い争っていた時以来で御座います。
「直ぐに終わる。全てではない。屋根にある荷のうち1つだ。人が入っていないかの確認だけだ。他の馬車は調べさせてくれたが、見られては困る事情でもあるのか」
「そのような事は。ただ【ここで広げる】のは如何なものかと。検品を拒否しているのではないのです。先程も言ったようにこの先の宿場町では検品を致します。この場所では遠慮いただきたいと申し上げたのです」
「よく判った。アルメイテ国のネイチュア伯爵家と言ったな。このボンヌ国でこの甲冑の紋章を付けた私の指示に従わぬとはゆっくりと話を聞かねばならないようだ。この場で間諜の疑いありとし捕縛をする」
「そんな無茶苦茶です。宿場町では検品をする―――」
「私はボンヌ国王太子ジョルジュ殿下の命により任務を行っているのだ。ここがアルメイテ国であれば良かったのに残念だな。ここではボンヌ国の王太子ジョルジュ殿下が優先をされる」
「判りました。ではご確認ください」
最後にマクシム様の声が聞こえます。
ガタンと音がして馬車が少し揺れます。ドキリと致しましたがおそらくモントさんかマクシム様が御者席から立ち上がり荷を手に取ったのでしょう。
しかし、屋根に積まれた荷は女性用のドレスや下着などの衣類ばかり。
これを商いの荷だと言うには無理があるでしょう。
「プリエラ」
お兄様の声に体が跳ねるくらい驚きましたが【はい】と返事を致します。
「外に出たら私の背から離れるな」
「はい」
ゴクリと生唾を飲み込み、短い返答と小さな頷きを返すとお兄様は屈み気味に身を乗り出し、わたくしの髪を撫でてくださいました。
同時に、兵士の怒声が聞こえます。
「なんだこれは!女もののドレスばかりではないか!しかも装飾に縫い付けられた宝石…かなり買う人間を特定したような物ばかり。伯爵は馬車の中か。出て来て頂こうか」
馬車の周りには人の気配がいたします。それも1人や2人ではありません。
同時に扉を開けようとしたのかガチャガチャと音がいたしますが鞘が使えて開かない事に兵士が騒ぎ始めました。
コンコン
御者席から壁を叩く音が聞こえると馬車が大きく揺れ兵士が剣を構える音がいたします。扉も無理やりこじ開けようとしているのか、剣の刃先が2,3本突き抜けて参りました。
「扉が破られたら、判っているな?」
「はい。判っております」
扉の外では耳を塞ぎたくなるような剣と剣が合わさる音。兵士の断末魔の声が聞こえて参ります。教育の中で護身術を教示頂く際に、騎士団の鍛錬上で聞いた木刀や模擬刀が合わさる音とは明らかに違います。
ガッ!ガッ!ガゴン!!
扉が目の前に吹き飛んで、こちらをみる兵士と甲冑のバイザー越しに目が合った気がいたしました。
ザシュ!!
お兄様の剣が兵士の甲冑、肩口の切れ目に突き刺さり兵士が後ろに倒れて行きます。お兄様に手を引かれステップのない馬車からお兄様が飛び降り、間、髪を入れずお兄様はわたくしの手を思い切り引きました。
ガンガン!!ガギンッ!!
剣の音に視線を移せば‥‥マクシム様を7、8人の兵士が取り囲み波状のように剣を振り被ってマクシム様に斬りかかっております。
「ヒゥッ!!」
マクシム様のすぐ先には先程まで馬車にいたモントさんが血を流し地に目を見開いたまま伏せられております。その目はもう瞬きをする事もない目。
お兄様はわたくしを背に庇い、兵士に剣の刃先を向けて馬の方に歩きます。
たった数歩の距離がこんなに遠いと感じるのは初めてで御座います。
「来たか。手前の馬に乗れ。乗ったら振り返らずに宿場町まで駆け抜けろ。そこに俺のリトルという栗毛の馬を預けてある。11歳の馬だが3歳まで戦場を駆けた馬だ。それなりに走れる」
お兄様と重なるようにマクシム様が兵士の剣を弾きながら仰います。
「判った。直ぐに来いよ。こんな所でくたばったら一生、弟しては認めん」
「承知した。年下の兄上殿。妻を頼んだ」
「頼まれた」
お兄様の言葉に少しマクシム様が微笑んだ気がいたしました。
「鐙に足を掛けたら鞍を引いて飛び乗れ」
「はいっ」
こうなるまで馬車を引いていた馬には騎乗する用ではなく馬車を繋ぐハーネスを止めるための鞍が付けられております。鐙に足を掛けたところでございました。
「逃がすかぁぁ!!」
突然わきから飛び出してきたのは、剣ではなく槍を持った兵士。その槍がわたくしに向かって伸びて参りました。鞍を掴んだ手に力が入り、わたくしはギュッと目を閉じました。
グジュっと鈍い音に、開けた目に入って来たのはマクシム様の背中。そしてその背には脇腹から槍が突き抜けておりました。
ほんの一瞬なのに、長い時間をかけてその光景が何なのか。
認識をするのに時間がかかった気がいたします。
「いやぁぁぁ!!マクシっ!マクシム様ァッ!!」
「プリエラっ。早く乗るんだ!」
「嫌です!お兄様っ!マクシム様がっ」
その間にも、マクシム様とお兄様が兵士の剣を受ける音と一緒に血飛沫を伴って兵士が倒れて行きます。マクシム様は槍が刺さったまま。その槍の長い柄を己の剣で叩き折ると、向かってくる兵士の剣を弾き、兵士を斬り、突いて叫んだのです。
「早く乗るんだ…ラウールッ!プリエラを抱えてッ!早くッ!」
お兄様に抱えられるように馬の背に乗ると、ハーネスを外した馬は前足を大きく上げました。
「逃がすな!」兵士の怒号は止む事が御座いません。
馬の前にいる3人の兵士にマクシム様は斬りかかり、道を切り開いてくださいました。
腹に槍が刺さったまま、馬車を引いていたもう一頭に跨ったマクシム様がわたくしとお兄様の乗った馬を追い越しジョルジュ殿下の馬車を囲む兵に突進していきます。
その背は、家屋の前でお兄様と掴みあいの喧嘩をした時に仰った【アルメイテの奇襲神】そのもので御座いました。わたくし達の乗った馬も速度を上げてマクシム様の馬の後を追います。
騎乗したまま槍を引き抜いたマクシム様の赤い血が風に乗ってわたくしに痕を残します。馬を走らせながらマクシム様が投擲のように槍を投げると兵士で塞がっていた中に道が出来ました。
そこを猛スピードで駆けぬけ、あっという間にジョルジュ殿下の馬車をやり過ごしたのです。
しかし、その先の曲がった道でマクシム様の体が揺れたのです。
「マクシム様っ!!」「マクシムッ!!」
お兄様とわたくしの声が重なります。
道なりに速度を上げて走る馬、手綱から手が離れたマクシム様の体は宙に浮いた後、地に落ち、滑りながら谷に落ちていったのです。
「嫌あぁっ!!放して!お兄様、放して!マクシム様がっ!イヤァァぁ!!」
わたくしはお兄様の体越しにマクシム様が落ちていった谷に手を伸ばしましたが、お兄様は馬の速度を落とす事も言葉を発する事も御座いませんでした。
宿場町に付いたわたくしは、目に映るもの全てが虚無でございました。
マクシム様が仰った通り、リトルと言う栗毛の馬は軍馬だったからでしょうか。
通常なら休憩する地点でも水も飲まず平然と、わたくしとお兄様を屋敷まで力強い歩みで送り届けてくれたのです。
モントさんと入れ替わるように馬車に乗り込んだお兄様と向かい合わせに座り、側面の壁に頭をつけ出来るだけ顔が見えぬように寝入っているふりを致しました。
お兄様は扉の取っ手に空になった鞘を貫のように差し外開きの扉が開かないように致しました。
「あと半刻早かったら宿場町でまともに合っていたな。ここで良かったと見るべきか」
宿場町では、2頭の馬を交換せねばなりませんので鉢合わせとなっていたでしょう。
このまま気付かずにいてくれればよいのですが、気付かれた時にどのような態度になる事か。
その時御者席で声が聞こえました。
御者席にはマクシム様とモントさんがいらっしゃいます。こちらに向かってきていた兵士が声をかけたようです。
「この馬車はどの家の馬車だ」
「はい、これはアルメイテ国ネイチュア伯爵家の馬車で御座います」
「アルメイテ国の…なるほど。ボンヌ国に行かれるのか」
「はい、特産品の売り込みをと思いまして」
「屋根の荷物がそれか」
「そうです」
「荷物を検めたいが、よろしいか」
「それは困ります。こんな土埃の多い所で開封をされ、広げられたらもう商売になりません。荷の検品は所定の宿場町で行なうようになっております。それがすぐそこの宿場町。ここでの検品はご容赦ください」
モントさんと兵士のやり取りにわたくしは叫び出したいほどの緊張を覚えます。
ちらりと向かいのお兄様を見れば、こんな怖い表情を見たのは留学先に向かう際にお父様と言い争っていた時以来で御座います。
「直ぐに終わる。全てではない。屋根にある荷のうち1つだ。人が入っていないかの確認だけだ。他の馬車は調べさせてくれたが、見られては困る事情でもあるのか」
「そのような事は。ただ【ここで広げる】のは如何なものかと。検品を拒否しているのではないのです。先程も言ったようにこの先の宿場町では検品を致します。この場所では遠慮いただきたいと申し上げたのです」
「よく判った。アルメイテ国のネイチュア伯爵家と言ったな。このボンヌ国でこの甲冑の紋章を付けた私の指示に従わぬとはゆっくりと話を聞かねばならないようだ。この場で間諜の疑いありとし捕縛をする」
「そんな無茶苦茶です。宿場町では検品をする―――」
「私はボンヌ国王太子ジョルジュ殿下の命により任務を行っているのだ。ここがアルメイテ国であれば良かったのに残念だな。ここではボンヌ国の王太子ジョルジュ殿下が優先をされる」
「判りました。ではご確認ください」
最後にマクシム様の声が聞こえます。
ガタンと音がして馬車が少し揺れます。ドキリと致しましたがおそらくモントさんかマクシム様が御者席から立ち上がり荷を手に取ったのでしょう。
しかし、屋根に積まれた荷は女性用のドレスや下着などの衣類ばかり。
これを商いの荷だと言うには無理があるでしょう。
「プリエラ」
お兄様の声に体が跳ねるくらい驚きましたが【はい】と返事を致します。
「外に出たら私の背から離れるな」
「はい」
ゴクリと生唾を飲み込み、短い返答と小さな頷きを返すとお兄様は屈み気味に身を乗り出し、わたくしの髪を撫でてくださいました。
同時に、兵士の怒声が聞こえます。
「なんだこれは!女もののドレスばかりではないか!しかも装飾に縫い付けられた宝石…かなり買う人間を特定したような物ばかり。伯爵は馬車の中か。出て来て頂こうか」
馬車の周りには人の気配がいたします。それも1人や2人ではありません。
同時に扉を開けようとしたのかガチャガチャと音がいたしますが鞘が使えて開かない事に兵士が騒ぎ始めました。
コンコン
御者席から壁を叩く音が聞こえると馬車が大きく揺れ兵士が剣を構える音がいたします。扉も無理やりこじ開けようとしているのか、剣の刃先が2,3本突き抜けて参りました。
「扉が破られたら、判っているな?」
「はい。判っております」
扉の外では耳を塞ぎたくなるような剣と剣が合わさる音。兵士の断末魔の声が聞こえて参ります。教育の中で護身術を教示頂く際に、騎士団の鍛錬上で聞いた木刀や模擬刀が合わさる音とは明らかに違います。
ガッ!ガッ!ガゴン!!
扉が目の前に吹き飛んで、こちらをみる兵士と甲冑のバイザー越しに目が合った気がいたしました。
ザシュ!!
お兄様の剣が兵士の甲冑、肩口の切れ目に突き刺さり兵士が後ろに倒れて行きます。お兄様に手を引かれステップのない馬車からお兄様が飛び降り、間、髪を入れずお兄様はわたくしの手を思い切り引きました。
ガンガン!!ガギンッ!!
剣の音に視線を移せば‥‥マクシム様を7、8人の兵士が取り囲み波状のように剣を振り被ってマクシム様に斬りかかっております。
「ヒゥッ!!」
マクシム様のすぐ先には先程まで馬車にいたモントさんが血を流し地に目を見開いたまま伏せられております。その目はもう瞬きをする事もない目。
お兄様はわたくしを背に庇い、兵士に剣の刃先を向けて馬の方に歩きます。
たった数歩の距離がこんなに遠いと感じるのは初めてで御座います。
「来たか。手前の馬に乗れ。乗ったら振り返らずに宿場町まで駆け抜けろ。そこに俺のリトルという栗毛の馬を預けてある。11歳の馬だが3歳まで戦場を駆けた馬だ。それなりに走れる」
お兄様と重なるようにマクシム様が兵士の剣を弾きながら仰います。
「判った。直ぐに来いよ。こんな所でくたばったら一生、弟しては認めん」
「承知した。年下の兄上殿。妻を頼んだ」
「頼まれた」
お兄様の言葉に少しマクシム様が微笑んだ気がいたしました。
「鐙に足を掛けたら鞍を引いて飛び乗れ」
「はいっ」
こうなるまで馬車を引いていた馬には騎乗する用ではなく馬車を繋ぐハーネスを止めるための鞍が付けられております。鐙に足を掛けたところでございました。
「逃がすかぁぁ!!」
突然わきから飛び出してきたのは、剣ではなく槍を持った兵士。その槍がわたくしに向かって伸びて参りました。鞍を掴んだ手に力が入り、わたくしはギュッと目を閉じました。
グジュっと鈍い音に、開けた目に入って来たのはマクシム様の背中。そしてその背には脇腹から槍が突き抜けておりました。
ほんの一瞬なのに、長い時間をかけてその光景が何なのか。
認識をするのに時間がかかった気がいたします。
「いやぁぁぁ!!マクシっ!マクシム様ァッ!!」
「プリエラっ。早く乗るんだ!」
「嫌です!お兄様っ!マクシム様がっ」
その間にも、マクシム様とお兄様が兵士の剣を受ける音と一緒に血飛沫を伴って兵士が倒れて行きます。マクシム様は槍が刺さったまま。その槍の長い柄を己の剣で叩き折ると、向かってくる兵士の剣を弾き、兵士を斬り、突いて叫んだのです。
「早く乗るんだ…ラウールッ!プリエラを抱えてッ!早くッ!」
お兄様に抱えられるように馬の背に乗ると、ハーネスを外した馬は前足を大きく上げました。
「逃がすな!」兵士の怒号は止む事が御座いません。
馬の前にいる3人の兵士にマクシム様は斬りかかり、道を切り開いてくださいました。
腹に槍が刺さったまま、馬車を引いていたもう一頭に跨ったマクシム様がわたくしとお兄様の乗った馬を追い越しジョルジュ殿下の馬車を囲む兵に突進していきます。
その背は、家屋の前でお兄様と掴みあいの喧嘩をした時に仰った【アルメイテの奇襲神】そのもので御座いました。わたくし達の乗った馬も速度を上げてマクシム様の馬の後を追います。
騎乗したまま槍を引き抜いたマクシム様の赤い血が風に乗ってわたくしに痕を残します。馬を走らせながらマクシム様が投擲のように槍を投げると兵士で塞がっていた中に道が出来ました。
そこを猛スピードで駆けぬけ、あっという間にジョルジュ殿下の馬車をやり過ごしたのです。
しかし、その先の曲がった道でマクシム様の体が揺れたのです。
「マクシム様っ!!」「マクシムッ!!」
お兄様とわたくしの声が重なります。
道なりに速度を上げて走る馬、手綱から手が離れたマクシム様の体は宙に浮いた後、地に落ち、滑りながら谷に落ちていったのです。
「嫌あぁっ!!放して!お兄様、放して!マクシム様がっ!イヤァァぁ!!」
わたくしはお兄様の体越しにマクシム様が落ちていった谷に手を伸ばしましたが、お兄様は馬の速度を落とす事も言葉を発する事も御座いませんでした。
宿場町に付いたわたくしは、目に映るもの全てが虚無でございました。
マクシム様が仰った通り、リトルと言う栗毛の馬は軍馬だったからでしょうか。
通常なら休憩する地点でも水も飲まず平然と、わたくしとお兄様を屋敷まで力強い歩みで送り届けてくれたのです。
あなたにおすすめの小説
後妻の条件を出したら……
しゃーりん
恋愛
妻と離婚した伯爵令息アークライトは、友人に聞かれて自分が後妻に望む条件をいくつか挙げた。
格上の貴族から厄介な女性を押しつけられることを危惧し、友人の勧めで伯爵令嬢マデリーンと結婚することになった。
だがこのマデリーン、アークライトの出した条件にそれほどズレてはいないが、貴族令嬢としての教育を受けていないという驚きの事実が発覚したのだ。
しかし、明るく真面目なマデリーンをアークライトはすぐに好きになるというお話です。
お姉様優先な我が家は、このままでは破産です
編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。
だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!
愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理!
姉の結婚までにこの家から逃げたい!
相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
やさしい・悪役令嬢
きぬがやあきら
恋愛
「そのようなところに立っていると、ずぶ濡れになりますわよ」
と、親切に忠告してあげただけだった。
それなのに、ずぶ濡れになったマリアナに”嫌がらせを指示した張本人はオデットだ”と、誤解を受ける。
友人もなく、気の毒な転入生を気にかけただけなのに。
あろうことか、オデットの婚約者ルシアンにまで言いつけられる始末だ。
美貌に、教養、権力、果ては将来の王太子妃の座まで持ち、何不自由なく育った箱入り娘のオデットと、庶民上がりのたくましい子爵令嬢マリアナの、静かな戦いの火蓋が切って落とされた。
子供のままの婚約者が子供を作ったようです
夏見颯一
恋愛
公爵令嬢であるヒルダの婚約者であるエリックは、ヒルダに嫌がらせばかりしている。
嫌がらせには悪意しか感じられないのだが、年下のヒルダの方がずっと我慢を強いられていた。
「エリックは子供だから」
成人済みのエリックに、ヒルダの両親もエリックの両親もとても甘かった。
昔からエリックのやんちゃな所が親達には微笑ましかったらしい。
でも、エリックは成人済みです。
いつまで子供扱いするつもりですか?
一方の私は嫌がらせで寒い中長時間待たされたり、ご飯を食べられなかったり……。
本当にどうしたものかと悩ませていると友人が、
「あいつはきっと何かやらかすだろうね」
その言葉を胸に、私が我慢し続けた結果。
「子供が出来たんだ」
エリックは勘違いをしていた。
自分は何でも許されていると思い込んでいたエリックは、婿入り予定でありながら別の女性と子供を作ってしまう。
それによりエリック中心だった世界は崩壊し、ヒルダは本来の公爵令嬢としての生活を取り戻していく。
ただ、エリックの過ちは仕組まれたものだった。
エリック自身とエリックを嵌めた者達を繋ぐ糸は、複雑に別のものと絡まり合いながら、ヒルダを翻弄する。
非常識な婚約者に悩まされていたヒルダが、結婚をするまでの物語。
※体調の関係もあり、更新時間がかなり時間が不定期です。
相当なクズ親が出てきます。ご注意下さい。
振られたから諦めるつもりだったのに…
しゃーりん
恋愛
伯爵令嬢ヴィッテは公爵令息ディートに告白して振られた。
自分の意に沿わない婚約を結ぶ前のダメ元での告白だった。
その後、相手しか得のない婚約を結ぶことになった。
一方、ディートは告白からヴィッテを目で追うようになって…
婚約を解消したいヴィッテとヴィッテが気になりだしたディートのお話です。
誰にも口外できない方法で父の借金を返済した令嬢にも諦めた幸せは訪れる
しゃーりん
恋愛
伯爵令嬢ジュゼットは、兄から父が背負った借金の金額を聞いて絶望した。
しかも返済期日が迫っており、家族全員が危険な仕事や売られることを覚悟しなければならない。
そんな時、借金を払う代わりに仕事を依頼したいと声をかけられた。
ジュゼットは自分と家族の将来のためにその依頼を受けたが、当然口外できないようなことだった。
その仕事を終えて実家に帰るジュゼットは、もう幸せな結婚は望めないために一人で生きていく決心をしていたけれど求婚してくれる人がいたというお話です。
【完結済】婚約者から病弱な妹に腹を貸せと言われました
砂礫レキ
恋愛
2026/03/28誤字脱字修正しました。
エイデン伯爵家の長女イアナには病弱な妹アリーシャと末弟のルアンが居た。
両親は病弱なアリーシャと後継者のルアンにかかりきりでイアナをかえりみない。贈り物さえイアナの分だけ使用人に適当に考えさせていた。
結婚し家を出れば自分も一人の人間として尊重して貰える。
そんなイアナの希望は婚約者クロスによって打ち砕かれる。
彼はイアナの妹アリーシャと恋仲になっていただけでなく、病弱なアリーシャの代わりにイアナに子供を産むようにと言った。
絶望の中イアナは一人の少年を思い出す。
いつのまにか消えてしまった義兄ルーク、彼だけがイアナに優しくしてくれた人だった。
自分が近い内に死ぬ夢を見たイアナは毒家族の元から去る決意をする。