ドＳな師匠と指輪と私

ドライブデートかーらーのー

　ドライブに行った先は、車で一時間ほどで行ける山の中だった。地元の人しか知らないようなデートスポットらしく、駐車場には車がポツポツ見える。そして周囲には駐車場や道路の灯りしかなく、街の灯りが一切ないからかなり暗い。

「雀、上見てみ？」
「うわぁ……！」

　夜空は満天の星空が広がっていて、流星群の季節でもないのに満天の星空をぬうように、星が夜空に線を描いては消えていく。これだけの流れ星が見れるってことは、それだけ空気が綺麗なんだろう。

　駐車場のベンチに座りながら見上げる星空に、隣には大好きな寺坂さん。肩を抱かれながら見上げる星空はなんだか新鮮。自分のうちからも見えるけど、小さな星はここまで綺麗に見えない。

「あのね……」
「ん？」
「す、好きな人と天然のプラネタリウムを見るのって、初めてです……」
「初めて？！　おま、どんなヤツと付き合ってたんだよ……」
「どんなやつと言われても……。前も言ったかも知れないけど、付き合ってたのは二週間だけでその間にキスや手を繋ぐこともなかったし、食事に二回行っただけですぐに浮気されちゃったから……。まあ、その人に対して、アイドルを見てるような気持ちだったんだな、私が悪かったんだなって、良裕さんを好きになった今ならわかるんだ」
「雀……」

　肩をぐっと引き寄せられて、唇が合わさるだけの軽いキスをされる。それだけなのに、嬉しい。

「だから、嬉しいんだ。ドライブだって女友達としかしたことないし、天然のプラネタリウムだって家族でキャンプした以外は見たことないんだよ？　友達や家族と出かけるのも楽しいけど、好きな人と……良裕さんと出かけられるのはまた違った意味で楽しいし嬉しいんだ」
「そうか……。そうだな、俺も好きな女と……雀と出かけられるのは楽しいし嬉しいよ。……雀……」
「あ……。ん……、ぁ……っ」

　寺坂さんを見上げながら正直な気持ちを話せば、彼からも同じ気持ちが返って来て嬉しくなる。頭を引き寄せられて名前を呼ばれ、返事をする前に彼の唇が重なり、口の中に舌が入り込んでくる。上顎を擽ったり舌を絡められ、別の手が服の中に入り込んできて乳房を掴むとやわやわと揉まれて、お腹からぞくぞくしたものが這い上がってくる。

「んっ、ふ……、ぅ……っ、あん……っ」
「お前のおっぱいは、いつ揉んでも柔らかくて気持ちいいな……」
「あっ、良裕さん、ここではやめて……、あんっ、は……っ」
「周りには誰もいないよ」
「そういう問題じゃないでしょ！」

　ここは外です！　と叫んでぺしぺし腕を叩くと、溜息をついてやめてくれた。

「どっちみち寒くなってきたし、戻る時間を考えると仕方ないか……。ラブホに泊まるから、覚悟しとけよ？」
「えっ？！　えと……お手柔らかにお願いします……」
「やだ」
「やだじゃなーい！」

　そんなことを話しながら車に戻る。思った以上に寒かったみたいで、車内の暖かさにホッとする。車を走らせてしばらく夜空の感想を話してたんだけど、あのことを思い出したので提案してみる。

「あ、そうだ。良裕さん、お話というか提案があるんだけど」
「なんだ？」
「あの……会社で、その……キスとかセクハラ紛いのことするの、やめませんか？」
「ほう……家ならいいのか？」

　提案したら、案の定「家ならいいのか」と言われたよ……。

「その……やっぱり誰かに見られたりするのも嫌だし、見られたら良裕さんがあの人たちと同列に見られたり、悪く言われちゃうかも知れないじゃない……。それが嫌なの」
「そんなこと考えてたのか……。確かにあのクソ女と同列に見られるのは嫌だな……。だったらこうしようか。平日の夜で休みがかちあわない時は俺の仕事が終わったら雀んちに行くから、キスと愛撫させろよ。逆に俺が休みの時は、雀が俺んちに来て飯作って。ついでにキスと愛撫な」
「……は？」
「で、今日みたいにお互いに休みがかちあった時や祝日の前、土曜の夜は俺んちに来てキスと愛撫したあと、セックスしよう」

　私が考えてた以上の答えが返って来て、一瞬固まる。

「は？！　なんでそうなるの？！」
「会社じゃ嫌なんだろ？　家だったらいいじゃないか。それに俺たちは恋人同士なんだからな？　それくらい普通だぞ？」
「いやいやいや、さすがに毎日とか、毎週末とかは普通じゃないんじゃ……」
「普通だし、俺がそうしたい」
「良裕さんの欲望かいっ！」

　まさかの、彼の欲望でした……。

「男の欲望を嘗めんなよ？　俺の欲望です。それだけ雀が好きなんだってわかれよ」
「う……」

　真剣な声でそんなこと言われても、嬉しい反面正直困る。

「っと、見つけた。ここでいいか」
「へ？」

　話の途中で何か言ったかと思えば、車が左に曲がって車が停まった。あとちょっとで街中に入るのになんで？　と思った先には、一軒家がポツポツと離れて並んでいた。
　なんでこんなところに一軒家がたくさんあるの？　しかも、そのうちのいくつかには、一軒家の横に車が停まっているし。

「うし、ここにするか」
「あ、あの……良裕さん……ここ、なに？」

　車の窓を開けて外にあった画面を操作して何かの紙を受け取り、また車を走らせた寺坂さんに、恐る恐る何かを聞く。

「ん？　ラブホ」
「ら、ラブホ？！　この一軒家みたいなのが？！」
「ああ。コテージ式のラブホらしい」

　敷地に入る前にあった建物の前でまた車を停めた寺坂さんは、窓口みたいな場所に紙を出す。それと交換なのか、鍵を受け取ると車を走らせる。この一軒家みたいなのがラブホだなんて驚きだけど、彼の雰囲気が私を抱いている時みたいな感じを醸し出していて、なんだかドキドキしてくる。

「お、これか。雀、下りるぞ。何かあったら困るから荷物は全部持っていくぞ」
「……ハイ」

　一軒家の外壁に書かれていた番号と鍵の番号を見比べて、そのコテージ？　の駐車スペースに車を停めた寺坂さん。荷物を持って車を降り、車に鍵をかけた彼のあとをついて行く。見た目はこじんまりとしたコテージで壁は白く、窓にはカーテンがかかっていて中の様子は見えない。
　隣にあるコテージにも車が停まってるけど、隣といってもかなり離れているから、彼とセックスしても声は聞こえない……って、そうじゃなくて。

「ふーん……狭いけどちゃんとリビングがあるんだな。お？　一応風呂とトイレは別なんだ。雀、固まってないで、荷物はソファーの横に置いとけ。風呂に入る前に、頬のガーゼを外しとけよ？　風呂からあがったら消毒したりしてやるから」
「……はっ！　はい」

　寺坂さんに促されて中に入るとドアの鍵を閉める音がし、彼のあとに続いて靴を脱いで入る。入ってすぐに目に入ったのはソファーとテーブル、テレビが置いてあるこじんまりとしたリビングで、その奥には扉が三つあった。
　一つはトイレ、一つは寝室、一つはお風呂に繋がっていて、一つ一つ扉を開けて確認をしている彼を固まったように見ていたら、荷物のことや頬のことを言われて慌てて動く。

　ソファーの横に荷物を置くと、スマホと処方薬が入っている袋をテーブルに出して座る。スマホの充電を確かめると残り少なかったので、鞄から充電器を出してコンセントを探すも見つからない。

「良裕さん、コンセントを見なかった？」
「俺も探してるんだがここにはなかった。あとは寝室だけど……」

　二人してスマホと充電器を持って寝室に行くと、ベッドのヘッドボードにコンセントが二つあったので、そこに差して充電を始めた。そして頬のガーゼを剥がしていると後ろから手が伸びてきて服を捲られ、乳房を掴まれた。

「あ……っ、待って……」
「やだ。ほれ、ガーゼを剥がしたら風呂な」
「もうっ！　待ってって言ってるのに！」

　寺坂さんの手をぺしぺしと叩いて腕を退かし、ガーゼを剥がしてゴミ箱に捨てると、彼は私の手を引いてリビングに戻る。そこで服を全部脱がされてまた乳房を掴まれ、やわやわと揉まれ始めた。その目はもう今すぐにでも私を抱きたいと言っているようで、身体が震えてくる。

「……っ、あっ、んっ、あっ」
「雀のおっぱいは相変わらず柔らかくて気持ちいいな……。ずっと触っていたくなる……」
「良裕さん……っ、あんっ、あっ」

　彼の指に乳首を摘ままれて捏ねられ、お腹からぞくぞくした痺れが走る。

「先に風呂に行ってろ。俺も脱いだらすぐに行くから」
「あ……っ、は、うん……」

　しばらく乳房を揉んだり乳首を愛撫していた寺坂さんは、その手を離すとお風呂に行くように言われた。離れたその手を寂しく思いつつもお風呂に行くと、バスタオルやタオル、そこにあったバスローブが目に入る。それを二人分用意している間に彼が来て、そのまま一緒に中へと入ると思った以上に広いバスルームに驚いた。

「うわ……湯船が大きいよ……」
「そうだな」

　身体の洗いっこするか、と楽しそうな声で私に告げた寺坂さんの言葉に固まりつつ、彼が自分の足とかを洗っている間に背中や首、腕を擦る。さすがに前は恥ずかしすぎて無理だったから、残りはお互いに自分でしようと言ったのに、私が椅子に座って足を洗っている間に背中や首、腕だけでなく乳房まで手が伸びてきて掴まれ、撫でるように洗われた。

「ちょっ、良裕さん、やっ、あんっ」
「ここも洗わないとな」
「ああっ、やぁぁぁぁっ！」

　しかも股間にまて手が伸びてきて、そこや寺坂さんがクリと呼ぶ場所を激しく擦られてしまった。

「あっ、ああ……っ、はぅっ」
「んー、イイ声。ほら、泡を流すぞ」
「あ、あ、ひうっ、ああんっ！」

　泡を流されたあと、寺坂さんの指が胎内に入り込んで来てその指が動かされる。その度にぐちゅ、ずちゅ、と音がして……彼の指の動きが彼に貫かれている時のことを思い出して、身体が熱くなってくる。――ゾクゾクして来て気持ちよくなってしまう。

「あんっ、あっ、良裕さ、んんっ、ああっ」
「……こんなもんか。雀、湯船に浸かるぞ」

　胎内から指が抜かれてそれを寂しく感じていたら、湯船に浸かると言われて一緒に入る。

「俺のほうを向いて、ゆっくり腰を落として」
「あ、あの、良裕さん……？　んあっ、ああっ！」

　寺坂さんのほうを向き、彼の肩を掴んでゆっくり腰を落としていたら胎内の入口に硬いモノが当たった。えっ、と驚いた時にはもうそれが胎内に入り込んでいて、彼のモノだと感じた時には腰を掴まれて引き下げられていた。

「対面座位って体位でな、こうして座ったままヤるセックスの体位の一つ」

　だから、そんな知識は要りませんって。

「あっ、ああっ、はうっ」
「ベッドの上でやるんだけど、湯船でヤると、腰に負担がかからないから楽なんだよ。こうやって雀のクリを愛撫したり、乳房を揉みながら乳首を愛撫したりできるんだ……」
「ひゃあんっ！　やあっ、ああぁぁぁぁ！」

　キュッと粒を摘ままれて、乳房を揉まれながら乳首を吸われた。彼のモノが動いているわけじゃないのに、それだけで気持ちいいと身体が訴える。

「く……っ、相変わらず、凄い締め付け！」
「ああっ、あっ、はうっ、ああ……っ」
「じゃあ雀、お仕置きな。……自分で腰を動かしてみようか……」
「え……」

　寺坂さんにそんな事を言われて固まる。自分で動くって何？！　それにお仕置きって何さ？！

「お仕置き、って……」
「だってお前、俺と付き合ってるって思ってなかったじゃないか。だからお仕置き」
「何でそうなるんですかっ！　知らなかったんだから、しょうがないでしょ！」
「んー……じゃあ、ご褒美とお詫びにしようか」
「ご褒美とお詫び……？」

　なんでそんなことになるのかわからない。それに、私が自分で腰を動かすとかも意味わかんないし！

「そう。ご褒美はずっとクソ女にムカついてたから、雀のおかげで言いたいことが言えたご褒美に、雀自ら腰を動かして俺を喜ばせてよ」
「良裕さん……」
「で、お詫びは雀の頬を傷つけられたから、俺がベッドで雀を喜ばせてやるよ」

　普段はドＳを発揮して意地悪なことを言うくせに、時々優しくて、色気のある声で、懇願するように言われてしまうと弱い。

「あの……やり方、わかんないよ……？」
「それは今から教えるから。ほら……俺の肩を掴んだまま、腰を上下にゆっくり動かして」

　言われた通りに寺坂さんの肩を掴むと、腰をゆっくり動かし始める。するとその動きを教えるかのように、彼の両手が私の腰を掴んで動きをサポートする。

「んっ、あ……っ、は……っ、ああ……っ」
「そう……いいよ、雀……上手だよ……」
「あんっ、良裕、さ、あっ」
「もっと、俺を喜ばせてよ……雀……」

　寺坂さんに……良裕さんに褒められて、嬉しくなる。もっと喜ばせてあげたいと、心と身体が叫ぶ。どうしたら喜んでくれるかな。さっき、リビングで彼はなんて言ってた……？

「あっ、あ……んっ、良裕さん……、はぅ」
「なに？」
「おっぱい、あっ、揉んで、んっ、乳首、吸って、ああっ、いっぱい、愛撫、して……っ、あっ」
「……っ、いいよ」

　言葉にするのは恥ずかしかったけど、良裕さんに喜んでもらいたくていつも彼がしてくれることを言ってみたら、彼の手が腰から離れて両方の乳房を掴んで揉み、私に見せつけるように上目遣いで乳首を舌で舐め始めた。ただ、その顔がニヤリと笑った気がして、よくよく彼の言葉を思い返す。

「やっぱ、雀のおっぱいは気持ちいいな……。それに、エロい顔が間近で見れて嬉しい」
「あんっ、ちょっ、どっちにしろ、良裕さんしか、喜ばない、んじゃ、ああんっ！　やっ、あああっ！」

　私がそう聞いた途端に、今まで動いていなかった良裕さんの腰が動き始めて、ゆっくり広がっていた快感の渦が一気に身体中に広がっていく。

「そんなことないぞ？　雀を啼かせて喘がせて、雀の身体を喜ばせるのも好きだし、こうして雀に教えるのも嬉しい」
「あんっ、ああっ、結局、一緒っ、ああぁぁぁぁ！」

　また乳首を舐められて吸われ、下の粒をいきなり摘ままれて良裕さんのモノを締め付け、視界が白く染まる。

「はあっ、あんっ、この、ドＳ！」
「ドＳなエロ親父が好きなんだろ？　あとでベッドの上でも、言わせるからな？」
「ひあっ、やめっ、それ、あっ、やあぁぁぁぁぁっ！」　

　下から突き上げられながら、粒を摘ままれて捏ねられ、良裕さんのモノを締め付けて視界が白く染まった。
　彼の言い方に騙されたとは思うもののやっぱり彼には敵わないし、それでもいいやって思う自分もいる。

「あんっ、ああ……っ、好き、良裕さん、好きっ、あああっ！」
「っは、俺も、雀が好きだ……っ」
「ああっ、あんっ、あっ、ああんっ！　ああぁぁぁぁ！」

　腰に手を添えられ、急に動きの早くなった腰に彼にしがみつくと、乳首を口に含まれて舌で愛撫され、また視界が弾ける。そして彼のモノが二、三回動いたあと、胎内に何かが広がるのがわかった。初めて気絶しなかった事はよかったけど、やっぱり自分が嬉しく感じていても、中出しはまずいと思う。

「お？　初めて気絶しなかったな、雀。まあ、それほど激しくしてないしな……。蜜壺のナカを綺麗にしたら、今度はベッドで雀を沢山愛撫して喜ばせ、啼かせて喘がせるからな」
「無理だってば！」
「いつも二回ヤってるんだから大丈夫だって」
「その根拠のない自信はどこからくるんですかっ？！」

　このエロ親父ーーー！　と叫んだせいで、このあとさらに恥ずかしくなるようなことを言わされる羽目になるとは、この時の私は知るよしもなかった。