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243、エリクの事情
「ええ、とにかくまずは奥に進みましょう。詳しいことは道すがら説明しますから」
エリクの言葉に頷く一同。
魔物の巣になっていた広間の中を通り、先へと進む。
そんな中、エリクが先程の45階層に関する話をすると一同は納得したように頷いた。
「なるほど、確かにそれはやっかいですね、エリクさん」
「ええ、階層も階層ですからね。慎重に対応したほうがいいでしょう」
オリビアも同意する。
「私たちも初めて行く場所だもの、気を付けましょう。ライアン、シェリル」
「おうよ!」
「分かったにゃ、オリビア」
エリスやリアナも頷くと。
「いよいよ、迷宮の深層に向かうのね」
「そうね、エリス。何だか私ドキドキしてきた」
どうやらリアナは緊張するとワクワクではなく、ドキドキしたになるようだ。
アンジェは胸を張ると言った。
「大丈夫よ、このパーティは強いもの!」
「アンジェ、油断は大敵だぜ」
アンジェに注意を促すエイジ。
目的地での行動を確認しながら、現れた魔物を倒していく一行。
近場の階段を下りつつ40階層まで下りる頃にはエイジのレベルは35まで上がっていた。
40階層と言えばBランクの冒険者にとっては限界に近い階層だが、今の彼らの力からすれば問題になるような魔物はいないと言えるだろう。
エリクはAランクの上位、ライアンとシェリルも、もうAランクの領域に入っている。オリビアに至ってはAランクの中位に達するほどの剣の冴えだ。
一方でエイジもAランク上位、アンジェはAランク中位に迫る勢い、エリスとリアナの力量も中級クラスのレベル35を迎えてAランクの領域に足を踏み入れ始めている。
エリクはこれから向かう深層の事を考えて、戦力を冷静に分析していく。
剣士としての腕は勿論だが、ジーナがエリクを頼りにしているのは、戦術さらには戦略的な視点の持ち主だからである。
(オリビアに関しては特に精神的な部分が大きい、元々の才能がエイジに出会って一気に開花しましたね)
意識すべき相手が現れたということがライアンたちには大きいのだろうが、中でもオリビアは顕著だとエリクは思った。
「若いということはいいことですね」
そう呟いたエリクの言葉に、リアナがクスクスと笑う。
「エリクさんって若いのに、私たちよりもずっと年上みたい」
「そうですか? 自分ではそんなつもりはないのですが。これでもまだ、私は18ですよ」
その落ち着いた返しに、エリスとリアナは顔を見合わせて笑う。
ライアンは腰に手を当てて豪快に笑うと。
「そりゃあ、エリク先輩はこう見えても子持ちだからな。二児のパパって奴よ!」
「リリとララっていう双子にゃ、可愛いにゃ」
エリクに関する新事実に、エイジたちは目を丸くした。
「へえ! エリクさん子供がいるんだ!?」
「だからしっかりしてるのね」
「双子の娘さんがいるなんて、びっくり!」
エリクは咳ばらいをしながら、少し目じりを下げると。
「ええ、妻と娘達は私のかけがえのない宝物です」
その様子は見るからにいい夫で父親である。
「確かに、それもあるかもしれないけど」
そう言ってオリビアは肩をすくめると。
「エリク先輩が落ち着いてるのは、それだけが理由じゃないわ。軍師を多く輩出するミトルファリード家の血筋だからよ。伯父様もミトルファリード家とは関係は深いもの」
「はは、私は本家から見れば遠縁に過ぎませんけどね。父は商人ですし。ですが家には軍略の本が沢山置かれていた、父の未練なのでしょうね」
エリクはふと懐かしそうな目をしてそう言った。
「次男坊の私は家業を継ぐ予定もなかったですから、幼い頃からそれをよく読んでましてね。その考え方の一部は、警備隊の仕事に役に立っていますよ」
「へえ、軍師の家系か! 確かにエリクさんの指示は的確だもんな」
それを聞いてエリクは笑う。
「こちらとしては、エイジみたいな剣士がいてくれると助かりますよ。クロススラッシュも含めて、貴方の局面打開能力は凄まじいですから」
「局面打開? エリク先輩何だよそれ?」
思わず尋ねるライアン。
「ふにゃ~、こっちは軍師にとって悩みの種だろうにゃ」
シェリルの言葉に、エリクは笑いながらも首を横に振った。
「いいえ、貴方たちは皆優秀です。指揮官として、これ程才能がある皆に囲まれていることは幸せという言葉に尽きるでしょう」
それを聞いて、気合が入った顔になるライアンたち。
エリクの人柄なのだろうが、優秀な軍師とは人心掌握にも長けているものなのかもしれない。
(しかし、ここまで来ても成長が止まっている者がいないとは。オリビアたちは選りすぐられた新人ですから当然としても、エイジたちのパーティは……いや、寧ろ当然でしょうか? アンジェは、あのラエサル・バルーディンが才能を認めた少女。エリスはレオンリート陛下のご息女ですからね。リアナの父君であられるアルトス伯も高位の治療魔道士ですし)
41階層に下りると通路は更に広がっている。
そして、ひんやりとした空気に辺りは包まれていく。
さらに階段を下り42階層。
アンジェは『紅』を構える。
「気を付けて! 何か来るわ!!」
エリクの言葉に頷く一同。
魔物の巣になっていた広間の中を通り、先へと進む。
そんな中、エリクが先程の45階層に関する話をすると一同は納得したように頷いた。
「なるほど、確かにそれはやっかいですね、エリクさん」
「ええ、階層も階層ですからね。慎重に対応したほうがいいでしょう」
オリビアも同意する。
「私たちも初めて行く場所だもの、気を付けましょう。ライアン、シェリル」
「おうよ!」
「分かったにゃ、オリビア」
エリスやリアナも頷くと。
「いよいよ、迷宮の深層に向かうのね」
「そうね、エリス。何だか私ドキドキしてきた」
どうやらリアナは緊張するとワクワクではなく、ドキドキしたになるようだ。
アンジェは胸を張ると言った。
「大丈夫よ、このパーティは強いもの!」
「アンジェ、油断は大敵だぜ」
アンジェに注意を促すエイジ。
目的地での行動を確認しながら、現れた魔物を倒していく一行。
近場の階段を下りつつ40階層まで下りる頃にはエイジのレベルは35まで上がっていた。
40階層と言えばBランクの冒険者にとっては限界に近い階層だが、今の彼らの力からすれば問題になるような魔物はいないと言えるだろう。
エリクはAランクの上位、ライアンとシェリルも、もうAランクの領域に入っている。オリビアに至ってはAランクの中位に達するほどの剣の冴えだ。
一方でエイジもAランク上位、アンジェはAランク中位に迫る勢い、エリスとリアナの力量も中級クラスのレベル35を迎えてAランクの領域に足を踏み入れ始めている。
エリクはこれから向かう深層の事を考えて、戦力を冷静に分析していく。
剣士としての腕は勿論だが、ジーナがエリクを頼りにしているのは、戦術さらには戦略的な視点の持ち主だからである。
(オリビアに関しては特に精神的な部分が大きい、元々の才能がエイジに出会って一気に開花しましたね)
意識すべき相手が現れたということがライアンたちには大きいのだろうが、中でもオリビアは顕著だとエリクは思った。
「若いということはいいことですね」
そう呟いたエリクの言葉に、リアナがクスクスと笑う。
「エリクさんって若いのに、私たちよりもずっと年上みたい」
「そうですか? 自分ではそんなつもりはないのですが。これでもまだ、私は18ですよ」
その落ち着いた返しに、エリスとリアナは顔を見合わせて笑う。
ライアンは腰に手を当てて豪快に笑うと。
「そりゃあ、エリク先輩はこう見えても子持ちだからな。二児のパパって奴よ!」
「リリとララっていう双子にゃ、可愛いにゃ」
エリクに関する新事実に、エイジたちは目を丸くした。
「へえ! エリクさん子供がいるんだ!?」
「だからしっかりしてるのね」
「双子の娘さんがいるなんて、びっくり!」
エリクは咳ばらいをしながら、少し目じりを下げると。
「ええ、妻と娘達は私のかけがえのない宝物です」
その様子は見るからにいい夫で父親である。
「確かに、それもあるかもしれないけど」
そう言ってオリビアは肩をすくめると。
「エリク先輩が落ち着いてるのは、それだけが理由じゃないわ。軍師を多く輩出するミトルファリード家の血筋だからよ。伯父様もミトルファリード家とは関係は深いもの」
「はは、私は本家から見れば遠縁に過ぎませんけどね。父は商人ですし。ですが家には軍略の本が沢山置かれていた、父の未練なのでしょうね」
エリクはふと懐かしそうな目をしてそう言った。
「次男坊の私は家業を継ぐ予定もなかったですから、幼い頃からそれをよく読んでましてね。その考え方の一部は、警備隊の仕事に役に立っていますよ」
「へえ、軍師の家系か! 確かにエリクさんの指示は的確だもんな」
それを聞いてエリクは笑う。
「こちらとしては、エイジみたいな剣士がいてくれると助かりますよ。クロススラッシュも含めて、貴方の局面打開能力は凄まじいですから」
「局面打開? エリク先輩何だよそれ?」
思わず尋ねるライアン。
「ふにゃ~、こっちは軍師にとって悩みの種だろうにゃ」
シェリルの言葉に、エリクは笑いながらも首を横に振った。
「いいえ、貴方たちは皆優秀です。指揮官として、これ程才能がある皆に囲まれていることは幸せという言葉に尽きるでしょう」
それを聞いて、気合が入った顔になるライアンたち。
エリクの人柄なのだろうが、優秀な軍師とは人心掌握にも長けているものなのかもしれない。
(しかし、ここまで来ても成長が止まっている者がいないとは。オリビアたちは選りすぐられた新人ですから当然としても、エイジたちのパーティは……いや、寧ろ当然でしょうか? アンジェは、あのラエサル・バルーディンが才能を認めた少女。エリスはレオンリート陛下のご息女ですからね。リアナの父君であられるアルトス伯も高位の治療魔道士ですし)
41階層に下りると通路は更に広がっている。
そして、ひんやりとした空気に辺りは包まれていく。
さらに階段を下り42階層。
アンジェは『紅』を構える。
「気を付けて! 何か来るわ!!」
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