成長チートになったので、生産職も極めます!

雪華慧太

文字の大きさ
49 / 254
連載

204、ゴンドラ乗り場

 その頃、俺たちは公爵の屋敷で何が起きているか知るよしもなく、意気揚々と遺跡都市へ向かっていた。
 アンジェを加えた新しいパーティで、遺跡都市に下りる為のゴンドラがある縦穴へと歩いていく。
 ジーナさんは警備隊の詰所に顔を出すとのことで、ゴンドラの乗り場で落ち合うことにした。
 迷宮は、地上に出ている部分だけでも数キロ四方もあるので、アンジェに案内してもらっている。

「ほら、あそこに人が集まっているのが分かるでしょ? あれがルイーナ行きのゴンドラ乗り場よ」

 アンジェのその言葉にリアナは駆けだすと、少し背伸びをした後にくるりとこちらに振り返る。

「凄いわ! まだ朝早いのに、もうあんなに冒険者が集まってるもの!」

「はは、朝からリアナは元気がいいよな」

 逆にアンジェは少し眠そうである。
 小さくあくびをする姿が可愛らしい。

「ほんと、リアナって元気いいわよね。朝ご飯だって一杯食べてたし」

 それを聞いて、リアナは頬を膨らませて反論する。

「アンジェったら、それじゃあ私が食いしん坊みたいじゃない! エイジの方が一杯食べてたわ」

「はは、確かに食べたけどさ」

 とんだとばっちりである。
 昨日の夜、鍛冶仕事を張り切ったから腹が減ってたんだよな。
 五分ほど歩くと、ゴンドラ乗り場の入り口がハッキリと見えてくる。
 そこからは緩やかな昇りのスロープになっており、遺跡都市への縦穴は見えない。
 ゴンドラは複数あるようで俺たちは、ジーナさんが来た時に分かるように一番近場の行列に向かう。
 その時、エリスが行列の最後尾を見て俺たちに言った。

「ねえ、見て。あの子、あんなに小さいのに並んでるわ」

 エリスの視線の先に居る少女は、まだ7歳か8歳ぐらいだろうか。
 俺の世界で言えば小学校低学年ぐらいに見える。
 その子は特徴的な耳をしていた。
 猫耳? いやどっちかっていうと狐耳って感じだ。
 栗毛色の髪に大きなきつね色の耳が頭についている。
 くりくりとした大きな目が愛らしい少女だ。
 リアナが目を輝かせる。

「獣人族ね、可愛いわ! でも、一人でゴンドラに乗るつもりかしら?」

 リアナの疑問にアンジェが答える。

「ゴンドラを使うのは冒険者だけじゃないわ。ルイーナの住民が行き来をすることはよくあるもの。でもあんな小さい子が一人って言うのは珍しいわね」

 狐耳の少女は、行列に並ぶ体の大きな冒険者たちの後ろで、不安げにキョロキョロしていた。
 エリスはそれに気が付くと。

「様子が変ね。誰かを探しているみたいだわ」

「ええ、そうね。エリス」
 
 リアナも頷いた。
 その手には、棒についたアメのようなお菓子が握られていた。
 そのアメは白くて動物の形をしている。
 フェロルクの町中で見かける屋台で、よく売られているものだ。

(もしかすると、親とはぐれたのかもしれないな)

 俺も小さいころ人が沢山いるところで、アイスクリームに夢中になっていて迷子になったことがある。
 少女は列の最後尾で辺りを見渡している、やはり誰かを探しているようだ。
 キョロキョロとしている少女は、前の様子を見たいのか少し後ずさる。
 そこに、俺たちとは反対の方向からやって来た若い冒険者がぶつかった。
 仲間と派手に笑いながら話しをしていたので、少女に気が付かなかったのだろう。

「きゃう!」

 少女はそう叫ぶと、尻もちをついた。
 その拍子に手にしていたアメが地面に落ちる。

「落ちたです……」

 地面を転がるお菓子を見て、少女は我慢が出来なくなったのだろう。
 愛らしい大きな目にジワリと涙を浮かべた。

「ママいないです。どこに行ったですか?」


─────

 書籍版からお越し頂きました皆様へ

『成長チートになったので、生産職も極めます!』をご覧頂きましてありがとうございます。
 書籍版をお読み頂きました皆様の中にはもうご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、三巻部分については書籍版と連載当時のWEB版には大きな違いが御座います。
 該当箇所のWEB連載部分は三巻が書籍化されるにあたって取り下げられておりますので、その部分のWEB連載版ならではの内容と現在の連載部分への繋がりを大まかにで恐縮では御座いますがまとめてみました。
 よろしければご覧くださいませ。

 ①アンジェがロイから炎の魔法剣『紅』を貰い、それを使っている。
 この剣はロイの弟弟子で異色の鍛冶職人リカルドが作った剣であり、ジーナもリカルドが作った『風神』という魔法剣を使っている。
 元々は『紅』と『風神』は姉妹剣であった。

 ②フェロルクの警備隊長であるジーナがエイジに剣を教えるシーンがある。
 ジーナはかつてのラエサルの冒険者仲間であり、ラエサルに頼まれてエイジたちの前に現れる。
 エイジの力を試すため、その命を狙うかのような行動に出たジーナ。
 その戦いの中で、エイジに非凡な才能を見出した彼女は彼らに手を貸すことを決める。

 ③迷宮の中に遺跡都市ルイーナと呼ばれる街があり、そこへはゴンドラを使って行き来をすることができる。

 ④そして一番大きな違いですが、WEB連載版ではまだアンリーゼとの戦いは起きていません。
 書籍版でも描かれているエリスがエイジに自分が王女であることを告白し、月光の下で二人が口付けをするシーン。
 その後、白王の薔薇を手に入れることを決意した彼ら。
 一夜明け、彼らが迷宮の中にある遺跡都市ルイーナに向かうところから現在のWEB連載部分へと話が繋がっていきます。

 書籍版とWEB連載版では大きく違いがありますが、どちらも皆様に楽しくご覧頂けましたらとても嬉しいです。
 今後ともエイジたち共々よろしくお願い致します。
感想 665

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。