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210、ルイーナの宮殿
「……あれは、一体?」
俺は眼下の街の中央にある、立派な建物を指さした。
白く高い塔の周りにいくつかの建造物が立ち並び、まるで城のようだ。
ゴンドラが大分下降した為に、斜め上から街を見下ろす格好になったことで、尚更その姿がよく見えた。
フローラさんが答えてくれる。
「エイジさん、あれはルイーナ宮殿ですわ」
「ルイーナ宮殿?」
俺のその問いにミーナがじっとこちらを見つめている。
可愛らしい尻尾が、何かを我慢するかのようにせわしなく動いていた。
フローラさんと俺は顔を見合わせると笑った。
ガイドになったつもりで説明をしたいのだろう。
俺はしゃがむと、ミーナの鼻をツンとつつく。
「ミーナ、宮殿について教えてくれるか?」
「はいです! お兄ちゃん!!」
フローラさんは苦笑してそっと俺に頭を下げる。
俺はミーナを抱き上げると、宮殿がよく見えるように窓の前に立つ。
小さなガイドは、張り切って説明を始めた。
「宮殿には王様が住んでいたです。王様はとても偉くて強かったそうです!」
「へえ、実際に王様が住んでいたんだな」
ミーナは頷く。
「でも悪い王様もいたです! 魔法科学を悪いことに使って、みんなをいじめて嫌われたです」
エリスやリアナも、ミーナの話を興味深そうに聞いている。
「それでミーナ。悪い王様はどうなったの?」
「ええ、気になるわね」
ミーナは、俺たちが興味を持ったのが嬉しい様子だ。
大きな耳をピコンと立てると。
「民の為に立ち上がった英雄に倒されたです! そして再び平和が訪れたです」
「へえ、そんな話があるんだな」
フローラさんは、笑いながら補足してくれる。
「本当にあった話かは分かりませんけど、この遺跡をずっと研究している方から聞いたんですよ。ルイーナにお住まいなんですけど、よく遺跡にお見えになられて。本業は鍛冶屋だそうで、私は冒険者ではないですから分かりませんけど、とても腕のいい鍛冶職人だって主人が言ってましたわ」
ん? 腕のいい鍛冶職人で遺跡に詳しいって……
ふと気が付くと、ジーナさんがこっちを見ている。
その人の名前を聞くのが嫌そうな表情だ。
(はは、よっぽど嫌いなんだなジーナさん)
でも話を聞く限り、間違いなさそうだ。
そんな奇特な人間はそうはいないだろう。
遺跡のガイドをしているフローラさんなら、顔見知りでもおかしくない。
「もしかして、それってリカルドっていう人じゃないですか?」
俺の言葉にフローラさんは頷く。
「ええ、もしかしてエイジさんのお知合いですか? 鍛冶職人なのに遺跡の研究をしているって仰るので、印象に残ってるんです。私よりもずっとお詳しいので、ガイドもつけずお一人でよく遺跡にいらしてますわ」
ミーナがフローラさんの言葉に頷いた。
「リカルドおじちゃんいつも来てるです。謎が多いです!」
その発言に、フローラは慌ててミーナを窘める。
「もう、ミーナったら! リカルドさんに失礼よ」
だが、ジーナさんはそれを聞いて吹き出した。
ツボにはまったのか、美しい顔を真っ赤にして笑いを堪えている。
そして、ミーナの頭を撫でると頷きながら言う。
「間違いないよ、ミーナ。あいつは謎が多い男さ」
「はいです!」
ミーナの返事にフローラさんはふぅと溜め息をついた後、コホンと咳ばらいをする。
そして、笑顔に戻ると俺に宮殿についての説明を続けた。
「もちろん、今はあそこに誰かが住んでいるわけではありませんわ。宮殿の遺跡として都からの調査団が常駐しています。学者や魔法科学の原理の研究をする宮廷魔道士、多くの人々が研究を続けていますが……」
優雅に説明するフローラさんに、俺は言った。
「でもまだ謎が多い、ですよねフローラさん」
狐耳の美人ガイドは頬を膨らませる。
「エイジさんの意地悪! 知りません」
「はは、すみません。つい」
その姿は、ミーナとは違った意味で可愛らしい。
(宮殿からの調査団か。これほどの遺跡だ、当然だろうな)
魔法科学とやらの一部を解き明かすだけでも、大きな進歩に繋がるだろう。
その後も色々と話をしているうちに、ゴンドラは地上に着いた。
俺は眼下の街の中央にある、立派な建物を指さした。
白く高い塔の周りにいくつかの建造物が立ち並び、まるで城のようだ。
ゴンドラが大分下降した為に、斜め上から街を見下ろす格好になったことで、尚更その姿がよく見えた。
フローラさんが答えてくれる。
「エイジさん、あれはルイーナ宮殿ですわ」
「ルイーナ宮殿?」
俺のその問いにミーナがじっとこちらを見つめている。
可愛らしい尻尾が、何かを我慢するかのようにせわしなく動いていた。
フローラさんと俺は顔を見合わせると笑った。
ガイドになったつもりで説明をしたいのだろう。
俺はしゃがむと、ミーナの鼻をツンとつつく。
「ミーナ、宮殿について教えてくれるか?」
「はいです! お兄ちゃん!!」
フローラさんは苦笑してそっと俺に頭を下げる。
俺はミーナを抱き上げると、宮殿がよく見えるように窓の前に立つ。
小さなガイドは、張り切って説明を始めた。
「宮殿には王様が住んでいたです。王様はとても偉くて強かったそうです!」
「へえ、実際に王様が住んでいたんだな」
ミーナは頷く。
「でも悪い王様もいたです! 魔法科学を悪いことに使って、みんなをいじめて嫌われたです」
エリスやリアナも、ミーナの話を興味深そうに聞いている。
「それでミーナ。悪い王様はどうなったの?」
「ええ、気になるわね」
ミーナは、俺たちが興味を持ったのが嬉しい様子だ。
大きな耳をピコンと立てると。
「民の為に立ち上がった英雄に倒されたです! そして再び平和が訪れたです」
「へえ、そんな話があるんだな」
フローラさんは、笑いながら補足してくれる。
「本当にあった話かは分かりませんけど、この遺跡をずっと研究している方から聞いたんですよ。ルイーナにお住まいなんですけど、よく遺跡にお見えになられて。本業は鍛冶屋だそうで、私は冒険者ではないですから分かりませんけど、とても腕のいい鍛冶職人だって主人が言ってましたわ」
ん? 腕のいい鍛冶職人で遺跡に詳しいって……
ふと気が付くと、ジーナさんがこっちを見ている。
その人の名前を聞くのが嫌そうな表情だ。
(はは、よっぽど嫌いなんだなジーナさん)
でも話を聞く限り、間違いなさそうだ。
そんな奇特な人間はそうはいないだろう。
遺跡のガイドをしているフローラさんなら、顔見知りでもおかしくない。
「もしかして、それってリカルドっていう人じゃないですか?」
俺の言葉にフローラさんは頷く。
「ええ、もしかしてエイジさんのお知合いですか? 鍛冶職人なのに遺跡の研究をしているって仰るので、印象に残ってるんです。私よりもずっとお詳しいので、ガイドもつけずお一人でよく遺跡にいらしてますわ」
ミーナがフローラさんの言葉に頷いた。
「リカルドおじちゃんいつも来てるです。謎が多いです!」
その発言に、フローラは慌ててミーナを窘める。
「もう、ミーナったら! リカルドさんに失礼よ」
だが、ジーナさんはそれを聞いて吹き出した。
ツボにはまったのか、美しい顔を真っ赤にして笑いを堪えている。
そして、ミーナの頭を撫でると頷きながら言う。
「間違いないよ、ミーナ。あいつは謎が多い男さ」
「はいです!」
ミーナの返事にフローラさんはふぅと溜め息をついた後、コホンと咳ばらいをする。
そして、笑顔に戻ると俺に宮殿についての説明を続けた。
「もちろん、今はあそこに誰かが住んでいるわけではありませんわ。宮殿の遺跡として都からの調査団が常駐しています。学者や魔法科学の原理の研究をする宮廷魔道士、多くの人々が研究を続けていますが……」
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「でもまだ謎が多い、ですよねフローラさん」
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「エイジさんの意地悪! 知りません」
「はは、すみません。つい」
その姿は、ミーナとは違った意味で可愛らしい。
(宮殿からの調査団か。これほどの遺跡だ、当然だろうな)
魔法科学とやらの一部を解き明かすだけでも、大きな進歩に繋がるだろう。
その後も色々と話をしているうちに、ゴンドラは地上に着いた。
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