文字の大きさ
大
中
小
58 / 254
連載
213、ミーナとの約束
「エイジさん、みなさん、いつでもいらして下さい。歓迎いたしますわ」
「ミーナ待ってるです!」
元気を取り戻したミーナの前で、俺は膝をつくと頷く。
「ああ、約束だ。ミーナ」
俺は約束の印として、右手の小指をミーナの顔の前に出した。
それを見て、獣人の少女は不思議そうに首を傾げる。
(はは、そりゃそうか。指切りなんて知ってるわけないよな)
俺はミーナに説明した。
「指切りって言ってさ、俺の育った場所での約束の仕方なんだ」
「ほんとですか? ミーナに教えてです!」
やり方を教えると、ミーナは楽しそうに俺と指切りをした。
そして俺たちは、二人に再会を約束し広場を後にする。
大きな尻尾を揺らしながら何度もこちらを振り向くミーナに、エリスたちは時々振り返って手を振っていた。
アンジェは隣に来て、俺の顔を上目遣いに覗き込む。
「ふぅん、エイジって子供に好かれるタイプなのね。……単純だからかしら?」
「おい、アンジェ。それって褒めてるのか?」
俺が肩をすくめると、エリスがアンジェに反論する。
「確かに単純だけど、そこがエイジのいいところだわ」
「……おい、エリス。確かに単純ってなんだよ」
酷い言われようである。
素直だとか、裏表が無いとか、もう少し言い方があるだろう。
俺は思わず溜め息をつく。
その姿を見て、エリスは可愛らしく口を尖らせた。
「何よ? 褒めてるんじゃない」
「そういうことにしておくよ。エリスの方こそミーナに懐かれてたよな。子供ができたらエリス、意外といいお母さんになりそうだよな」
俺の言葉にエリスはツンとする。
「意外とって何よ? 失礼じゃない!」
「はは……」
(俺も、フォローの下手さは人のこと言えないか)
お互い様である。
エリスは頭を掻いている俺を眺めながら言った。
「エイジだって、きっといい父親になると思うわ」
「俺が?」
「ええ。子供が生まれたら、さっきにみたい可愛がるって分かるもの」
父親か……
自分が親になるなんて考えたことも無かった。
少し想像をしていると、こっちを見ているエリスと目が合った。
エリスも何かを想像していた様子で、少しぼんやりとしている。
その頬は何故か赤くなっている。
「べ、別に何も想像してないわよ!」
そう言いながら少しだけ俺の手に触れた後、周りを気にするように放すエリスが可愛い。
もしも、エリスとの間に女の子ができたら可愛いだろうな。
ミーナみたいに無邪気な感じでパパって呼ばれたら、誰かに嫁にやれる自信がない。
(はは、やっぱり子供なんて俺にはまだまだ早いよな)
そんなことを話しながら、俺たちはリカルドさんの家に向かって歩く。
(せっかく父さんに紹介の手紙を書いて貰ったんだ)
迷宮に行く前に一言挨拶はしておきたい。
腕のいい鍛冶屋だそうだから、学べることも多いはずだ。
ジーナさんとエリクさんが俺たちの前を歩いている。
「気が進まないんだけどね。私もリカルドには少し聞きたいこともあるんだ」
「助かります、ジーナさん」
俺は礼を言った。
アンジェも見知ってはいるようだが、古くから付き合いがあるジーナさんが同行してくれるのは助かる。
(少し変わった人みたいだからな)
そのまま暫くみんなで歩く。
ルイーナの街並みにもだいぶ慣れてきたところで、一風変わった家が見えてくる。
ジーナさんは立ち止まると俺たちに言った。
「あそこがリカルドの鍛冶屋だよ」
「ミーナ待ってるです!」
元気を取り戻したミーナの前で、俺は膝をつくと頷く。
「ああ、約束だ。ミーナ」
俺は約束の印として、右手の小指をミーナの顔の前に出した。
それを見て、獣人の少女は不思議そうに首を傾げる。
(はは、そりゃそうか。指切りなんて知ってるわけないよな)
俺はミーナに説明した。
「指切りって言ってさ、俺の育った場所での約束の仕方なんだ」
「ほんとですか? ミーナに教えてです!」
やり方を教えると、ミーナは楽しそうに俺と指切りをした。
そして俺たちは、二人に再会を約束し広場を後にする。
大きな尻尾を揺らしながら何度もこちらを振り向くミーナに、エリスたちは時々振り返って手を振っていた。
アンジェは隣に来て、俺の顔を上目遣いに覗き込む。
「ふぅん、エイジって子供に好かれるタイプなのね。……単純だからかしら?」
「おい、アンジェ。それって褒めてるのか?」
俺が肩をすくめると、エリスがアンジェに反論する。
「確かに単純だけど、そこがエイジのいいところだわ」
「……おい、エリス。確かに単純ってなんだよ」
酷い言われようである。
素直だとか、裏表が無いとか、もう少し言い方があるだろう。
俺は思わず溜め息をつく。
その姿を見て、エリスは可愛らしく口を尖らせた。
「何よ? 褒めてるんじゃない」
「そういうことにしておくよ。エリスの方こそミーナに懐かれてたよな。子供ができたらエリス、意外といいお母さんになりそうだよな」
俺の言葉にエリスはツンとする。
「意外とって何よ? 失礼じゃない!」
「はは……」
(俺も、フォローの下手さは人のこと言えないか)
お互い様である。
エリスは頭を掻いている俺を眺めながら言った。
「エイジだって、きっといい父親になると思うわ」
「俺が?」
「ええ。子供が生まれたら、さっきにみたい可愛がるって分かるもの」
父親か……
自分が親になるなんて考えたことも無かった。
少し想像をしていると、こっちを見ているエリスと目が合った。
エリスも何かを想像していた様子で、少しぼんやりとしている。
その頬は何故か赤くなっている。
「べ、別に何も想像してないわよ!」
そう言いながら少しだけ俺の手に触れた後、周りを気にするように放すエリスが可愛い。
もしも、エリスとの間に女の子ができたら可愛いだろうな。
ミーナみたいに無邪気な感じでパパって呼ばれたら、誰かに嫁にやれる自信がない。
(はは、やっぱり子供なんて俺にはまだまだ早いよな)
そんなことを話しながら、俺たちはリカルドさんの家に向かって歩く。
(せっかく父さんに紹介の手紙を書いて貰ったんだ)
迷宮に行く前に一言挨拶はしておきたい。
腕のいい鍛冶屋だそうだから、学べることも多いはずだ。
ジーナさんとエリクさんが俺たちの前を歩いている。
「気が進まないんだけどね。私もリカルドには少し聞きたいこともあるんだ」
「助かります、ジーナさん」
俺は礼を言った。
アンジェも見知ってはいるようだが、古くから付き合いがあるジーナさんが同行してくれるのは助かる。
(少し変わった人みたいだからな)
そのまま暫くみんなで歩く。
ルイーナの街並みにもだいぶ慣れてきたところで、一風変わった家が見えてくる。
ジーナさんは立ち止まると俺たちに言った。
「あそこがリカルドの鍛冶屋だよ」
感想 665
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【老化返却】聖女の若さは俺の寿命だった〜回復魔法の代償を肩代わりしていた俺を追放した報いだ。回復のたびに毛が抜け、骨がスカスカになるが良い〜
「寿命を削って回復してやってたのに……感謝すらしないんだな」
聖女パーティの荷物持ち兼回復術師だった俺は、ある日突然パーティを追放された。
理由は「回復魔法のコストが寿命で、もうすぐ死ぬ無能はいらない」という勝手な思い込み。
だが、彼らは知らなかった。
俺の正体が、この世界の生命を司る世界樹の根源そのものだったことを。
俺の寿命は無限であり、俺がパーティにいたからこそ、彼らは「若さ」と「健康」を維持できていたのだ。
「俺がいなくなったら、誰が君たちの老化を止めるの?」
俺がいなくなった途端、聖女たちの身体に異変が起きる。
回復魔法を唱えるたびに、自慢の金髪はバサバサと抜け落ち、肌は土色に。
若さに溺れていた彼女たちは、骨がスカスカになり、杖なしでは歩けない老婆のような姿へと変わり果てていく。
一方、解放された俺は隣国の美少女皇女に拾われ、世界樹の力で枯れた大地を森に変える「現人神」として崇められていた。
「今さら戻ってきて? ……悪いけど、そのハゲ散らかした老婆、誰だっけ?」
すべてを失ってから「俺」の価値に気づいても、もう遅い。
これは、恩を仇で返した連中が、自らの美容と健康を代償に破滅していく物語。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
処刑される悪役貴族に転生したので、全財産配って逃げます ~俺が全部手放した瞬間、王国が回らなくなったけどもう遅い~
「ヴァルトハイム伯爵家嫡男ユリウス。貴様の断罪を、ここに宣言する」
断罪の場で、俺は前世の記憶を取り戻した。ここはかつて遊んだノベルゲームの世界で、悪役貴族ユリウスは一年後に処刑される。
冗談じゃない。領地も金も地位も、全部置いて逃げる。それだけを決めた。
ところが、解放した罪人が。配った財産が。放り出したはずの領民が。
なぜか勝手に力をつけて、次々と俺のところへ戻ってくる。
一方その頃、王都では――ユリウスなしで回らない事態が始まっていた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。