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第6章 お披露目祭り
真剣勝負
しおりを挟むもうほんと、可愛いです。かっこいいです。俺の愛する人はもうほんと、理想を超えた存在で、本来手の届かない御方です。前世の俺よ、乙女な俺が男としてここまで愛せる御方ができるんだぞ。羨ましいだろ。
そんな訳の分からない自分の自慢を過去の自分にするセオドアに、アミィールはぎゅう、と抱き締める。
「セオ様、また面白いこと考えているでしょう?」
「アミィは凄いな、丁度今自分の邪心と会話してたのだ」
「ふふ、邪心なんてあるのですか?わたくしにキス以上をしてくださらないセオ様が?」
「……………っ」
アミィールはそう言ってドレスの胸元をちらちらと見せながら意地悪く笑う。それだけで俺の顔は熱くなる。
……………エロゲ展開とも取れる発言なのに、アミィール様が言うと、なんというか、可愛い。顔を直視できない。…………そりゃあ、したいさ!ああしたいとも!もっと愛したいよ!けど!心の準備が出来ないんだよ!それに、乙女な俺はそういう事はちゃんと結婚してからしたい。だって、大事にしたいから。感情に流されて、勢いで抱きたくない。
なんて気持ちはアミィール様にはないんだろうなぁ……………性格はほぼ男だし……………
「…………アミィ、そ、そのようなことは結婚してからだ」
「そういうと思いました。けど、普段から言っておかないとセオ様はなんだかんだ理由をつけて逃げてしまうでは無いですか」
「う、…………に、逃げなどしないよ。私だってその…………」
セオドアは顔を赤く染めて吃る。
………………常にそのような下心を抱いている、とは口が裂けても言えない。最近ではキスをするだけで身体をまさぐってしまうんだ。本当に邪心にまみれているのだ。キスだけでは、もう満足出来ないです………なんて言えるわけがない。
アミィールはもじもじと顔を赤らめるセオドアを愛おしげに見ている。
セオドア様は紳士だ。そして、感情に任せてわたくしを襲ったり、嫌がることなどしない。それがわかっているからこそ、触れて欲しいと感じるのだ。はしたないって分かってはいるけれど、ここまで徹底されると自分に魅力が無いのではないか、と不安になる。
「………………わたくし、もう少し、女らしくなります」
「?」
「……………セオドア様が、抱きたいと思うような女に…………もっとか弱く、もっと魅力的な身体に…………」
「なッ…………そ、そんなことしなくていい!」
「きゃっ」
セオドア様は思いっきり飛びついてきた。押し倒される形で、ソファに倒れ込む。セオドア様の顔は___真っ赤ではあるけど、真剣だ。
「私は今のアミィが好きだ!かっこよくて、強くて、美しくて……もう充分魅力的なんだ!だからこそ、貴方を見れば欲情するし、………もっと触れたいと思うんだ……………」
「……………欲情?」
「あッ…………!」
セオドア様は慌てて離れて背を向ける。首元も耳も赤い。
セオドア様が…………わたくしに、欲情してくださっているの?
嘘?世辞?…………色々な事を思うけれど、セオドア様の反応はそれを全て否定するようで。
自然と口角が歪んだ。
「ねえ、セオ様」
「ッ、い、今は話しかけないでくれ、こっちを見ないでくれ…………」
「嫌です、こっちを向いてくださいまし」
「む、無理です。その、………あっ!」
じれったくて、わたくしはソファから1度降りて目の前に来る。セオドア様は___局部を両手で抑えながら、真っ赤になっていた。緑色の瞳に涙が浮かんでいた。
「……………ッ、私は…………不純な男です…………結婚してから、と自分に言い聞かせているのに………貴方を見ると、こんなにも…………あ、あまり見ないでください」
…………ああもう、本当に可愛い。
「今の私に近づいてはダメで___ッん」
アミィールはセオドアの膝に座り、唇を重ねた。何度も何度も、啄むように重ね続ける。セオドアは戸惑いながらもそれを受けると、局部から手を離し、アミィールを抱き締める。
……………当たっている、太腿に。セオドア様の…………けれど、わたくしの事をちゃんとそういう目で見てくれているのがこんなにも嬉しいなんて……………わたくしこそ不純ではしたない女。
突然のアミィール様のキス。理性が飛んでしまいそうな甘い、愛らしいキス。アミィール様の細くて柔らかい足に自分の欲を象徴するものが当たっている。もうバレてしまっては隠せない。
俺は、不純だ。なのにそれでもこうしてキスをしてくれるアミィール様が、まるで俺の全てを受け入れてくれるんじゃないかと思わせてくれる。
でも、まだぶつけない。
ちゃんと結婚するまで我慢だ、俺______!
ぶっ飛びそうな理性を必死に繋ぎ止めるセオドアVS理性を飛ばしたいアミィールの戦いはこうして幕を開けたのだった。
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