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第7章 主人公と皇女の結婚式前
※主従関係は良好です
しおりを挟む一通りそれが終わると、笑顔でセオドアを見た。
「終わりました。見てくださいますか?」
「あ、ああ____!」
白のタキシードはキラキラと黄金色と紅銀色を帯びていた。パッと見は白だけれど、俺のしたものとは違い間近で見ると一目でわかるほどだ。
見蕩れながら、思わず呟いた。
「………………すごい」
「ふふ、………………これで、セオ様も、わたくしが縛りました」
「ッ……………」
これは…………本当にやばい。もうやばいとしか言えない。嬉しさと幸せさとがごちゃ混ぜになってて、言葉の代わりに涙が出てきた。涙を零そうとするセオドアからすかさずタキシードを取り上げたレイだった。
レイはタキシードを抱きながら、アミィールを見て、いつもとは打って変わって丁寧な口調で問うた。
「アミィール様、お伝えしたいことがあるのですが、発言をお許し下さいませんか?」
「ええ。どうぞ」
「実は______セオドア様は、そのドレスを作る為にたくさんのドレスを作ったのです」
「………!おい!レイ!」
すかさずレイの言葉を止めようとするがこの腹黒執事は止まらない。それはもう満面の笑みで言う。
「数百、白い様々な型のドレスがあるのですが………………貰っていただけますか?」
「ちょ、おま___「勿論、全てひとつ残らずわたくしの私服にしますわ」……………うう」
さも当然のようにさらりと貰う発言をするアミィールに、セオドアは身体を折って下半身を隠しているクッションに赤い顔を押し付けたのだった。
* * *
「では、こちらは貰っていきますわ。セオ様、いい夢を」
「ああ、アミィも良い夢を」
アミィール様は急遽呼び出されて愛想もクソもない不機嫌面の侍女・エンダーに沢山のドレスを持たせ、俺の頬にキスを落として部屋を出ていった。
同じく俺もアミィール様の頬にキスをして見送った。で、扉が閉まった瞬間レイを睨んだ。
「……………お前、なんで余計なこと言った?」
「ナイスアシストと言えよ。あんなに喜んでくれたんだぞ」
「こういうのは!隠すんだよ!俺の執事なら俺の事を理解しろ!」
「お前が俺にひとつもドレスを譲ってくれないのが悪いんだろ!メイドにあげると言っちまったのになんでくれねえんだよ!」
「当たり前だろ!俺がアミィール様に作ったものをお前にあげるか!メイド誑かしてんじゃねえ!」
「仕事はやってるんだからいいだろ!あとエンダーだけなんだよ!俺は!メイドと楽しい関係を築くためにお前についてきたんだからな!」
「この屑執事野郎が!」
「この乙女主人野郎が!!」
………………………大声で取っ組み合いの喧嘩をするセオドア、レイの声は城内に響き渡る。
勿論廊下を歩くアミィールは聞いていたわけで。
「ふふ、セオ様とレイ様は仲良しね。そうは思わない?エンダー」
「……………わたくしはこんな真夜中に呼ばれて、性欲を満たせず不満なので笑う余裕はありません」
「……………貴方もとりあえず執事や兵士などの人間を誑かすのはやめなさい」
「サキュバスなんで無理です」
「………………レイ様が貴方の色香にやられないのか心配だわ」
「あの方は貢がせ要員なので悪しからず」
「そんなことしたら給料減俸よ」
「………………ちゃんとした交友関係を築かせていただきます」
………………それとは対照に冷めきった関係の2人なのでした。
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