197 / 469
第14章 ダブル誕生イベント!
皇妃様はズレている
しおりを挟む「よしっ!じゃあ話し合いをしましょう!」
「はい」
季節を忘れ咲き誇る向日葵に囲まれた真っ白のテラスで、アルティア皇妃様と話をする。もちろん、話す内容はアミィール様とラフェエル皇帝様の誕生日プレゼントの話だ。
「アルティア皇妃様は、去年ラフェエル皇帝様とアミィール様に何をあげたのですか?」
「ラフェエルは私で、アミィールには"肩たたき券"をあげたわ」
「は?」
思わず聞き返す。
何を言っているんだこの人?
私?肩たたき券?
頭の中が『?』で一杯になるセオドアに、アルティアは上を見ながら思い出すように言う。
「去年はー、たしかリボンバージョンだったね。前世でよくあるでしょ?『プレゼントは私~』つって。それをラフェエルに毎年やってるけどそろそろネタ切れなのよね。
アミィールは基本『肩たたき券』か『私の魔力をあげる券』、『執務を変わってあげる券』ね。白い紙に書いて律儀に毎年渡してるわ」
「……………………」
セオドアは驚くを通り越して、呆れた。
センスも情緒も無さすぎる…………………
この人本当に女で母親なんだよな?
ラフェエル皇帝様もアミィール様も報われなさすぎるだろ………………
「なんで、普通のプレゼントをあげないのですか?」
「?だって欲しいものがあったら自分で買えるでしょ、だって大帝国よ?皇帝に皇女よ?
何もかも自分で買えるし」
「そうですけど、真心というものがありますでしょう?」
「真心は込めてるわ!それはもう!ラフェーには身体ごと差し出してるし!
アミィールにはそれはもう丁寧な字で書いてるもの」
そう言ってドヤ顔している。
言ってることは滅茶苦茶だしドヤ顔の意味はわからないけど、確かに大帝国となると大抵の物は手に入るし、プレゼントは迷うよな。…………俺もあげ尽くしてしまって何をあげればいいのか検討つかないし。
とはいえ。
「…………そのプレゼント、本当に喜んでもらえてるのでしょうか?」
「ううん!ラフェーにはいつも見ただけで罰を落とされるし、アミィールには満面の笑みで破かれるわ!」
「…………ですよね」
この人のことだ、ラフェーさんと結婚してから、アミィール様が生まれてから懲りずにやり続けているに違いない。2人が哀れすぎる………ん?待てよ?
「皇帝や皇女の誕生日なのに、何か式典とかやらないのですか?」
「ええ。………昔はやっていたみたいだけど、2人にとって"いい日"じゃないからね」
アルティア皇妃様はそう言って目を伏せる。いつも明るい顔が暗い。疑問に思ったセオドアは聞いてみる。
「誕生日がいい日ではない、というのはどういう意味ですか?」
「___『サクリファイス大帝国第1皇太子は20歳で死ぬ』…………聞いたこと、あるわよね?」
「ええ、存じています」
そう、俺は知っている。
レイにも調べてもらったけれど、どうして死ぬのかはまるで分からなかったのだ。でも、なんでその話がここで………?
アルティア皇妃様は静かに『そう』と言ってから続けた。
「その誕生日に、…………ラフェーは龍神によって殺されるはず、だったの」
「龍神………!」
また、龍神という名前が出てきた。第1皇太子を殺していたのは龍神…………?なぜ?どうして…………いやでも、そうだとしたら。
「なんで、ラフェエル皇帝様は生きているのですか?第1皇太子、ですよね?」
「____そこまで知っているのね。
そうよ、第1皇太子だった。ラフェーは殺されるはずだったの。けど…………私と契約して、生き延びた」
アルティア皇妃様はそう言って、黒いドレスから覗く金色の印_俺の持っている契約印よりも派手で複雑な模様をしている_に触れる。
アルティア皇妃様と契約して死ななかった…………?
考え込むセオドアを見てからアルティアは首を振って『それはともかく!』と言った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
71
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる