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第26章 ドキドキ?ハラハラ?家族旅行!
メルヘンからの宇宙空間
しおりを挟む「な………ッ!」
その先は____宇宙空間だった。沢山の星々が煌めき、流れ星が頭上を流れ、ブラックホールが星を飲み込む。
あまりに美しすぎる世界に、唾を飲み込んだ。
しかし、先に入った子供達は元気で、俺の足元に来てぴょんぴょんと跳ねる。
「きれー!」
「俺もとびたーい!ぶんぶんぶーん!」
『____おやおや、これは婿殿じゃないか』
「は………?」
宇宙空間に、声が響く。ゆったりとした声には聞き覚えがあった。けど、その声とは別の声がした。
『あー、はじめましてか、俺は。まあなんだ、お前は龍神の"呪い"のことを知りたいのか?』
「!し、知っているのですか!」
セオドアは子供たちを抱きしめながら叫んだ。子供達はびく、と肩を震わし耳を塞いだ。
どんな原理かはわからない。
俺がわかる原理なんてない。
けど。
思わぬ所から情報が入るのは大歓迎だ。
「なんでもいい、教えてくださいッ!」
『焦るな焦るな………ッと、話したいが、お嬢ちゃんが怒り出した。この話は後でだな、ゼグス』
『ああ。___後で話そう』
「な、まっ____わっ!」
言い終わる前に、俺の周りは宇宙空間ではなく、大きな黒い内装の部屋に出された。そこにはアミィール様、フラン様、ガロ様。
そして。
乙女ゲーム『理想郷の王冠』攻略対象キャラ、額の横線以外ほぼラフェエル皇帝そっくりの星の妖精神・ゼグス様と、変態の一言に尽きるほど必要な場所しか隠していないふんどし姿の銀髪のセンター分けの男が。
さっきの空間は…………?
「セオ様ッ!アド!セラ!」
「アミィ、っ!」
アミィール様は俺たちを見るなり大きく腕を広げて抱き締めてきた。黄金色の瞳が涙に濡れている。
「よかった、よかった…………ッ!どこか怪我などは?」
「ないよ、大丈夫、………心配かけて、ごめんね」
「いいえ____ゼグス様、シヴァ様。お戯れをおやめください」
アミィールはそう言って玉座に悠々と座る2人を睨みつけた。シヴァ、と呼ばれた男は頭をぽりぽりかく。
『いいじゃねえか。俺達は初めて来るヤツらをもてなしたかったんだよ』
「そんな理由でセオドア様を困らせないでくださいまし! 」
『はははっ、アミィールは怒りっぽいなあ。ラフェエルみたいだ』
「ゼグス様!」
「まあまあ、アミィールちゃん、怒らないの、ゼグス様とシヴァ様はこういう人でしょう?
や、おふた方!」
『よお聖女、相変わらず元気だ………しかし老けたな』
「む、シヴァ様!私、今から聖魔法ぶつけますよ!」
『やめておくれよ。………とにかく、ようこそ。私のためにありがとうね。アミィール、そしてフラン』
ゼグスがそう優しく笑うと、未だに険しい顔をしていたアミィール様とフラン様はそこで膝をついた。俺も反射的に子供たちを抱えながら膝をつくと『固い挨拶はいいよ』とにこやかに言った。
『挨拶よりも、私の子孫をよく見せておくれ』
「は。…………セオ様、共に来てくださいますか?」
「ああ」
俺とアミィール様は礼を尽くしてから子供たちを連れてゼグスの前に来た。ゼグスは身を乗り出して『ほお』と声を上げる。
『本当に力が半減されているではないか。
セオドア殿。………感謝する』
「?私は何もしてません」
『ははっ、鈍いなあ兄ちゃん』
「わっ」
シヴァはそう言って頭をがしがしと撫でてきた。変態っぽい格好だけど、イケメンである。どこかガロに似ている。絶対乙女ゲーム『理想郷の王冠』の攻略対象キャラだ。変態枠の。
『ふむ?本当に心が読みにくいな。ドゥルグレの言う通りだ………まあそれはともかく、だ。
この龍神の血を薄められたのは間違いなくお前の子種だろう?』
「んなっ!」
セオドアはその言葉に顔を真っ赤にする。みんなみんな簡単に子種子種と言い過ぎなんだよ………!俺の子種はそんなに強くない………はず!
『なんというか、乙女みたいな男だなあ』
「シヴァ様、わたくしの殿方を貶すのでしたら、切り捨てますよ」
アミィールはにこやかに笑みを浮かべながら既に片手にはダーインスレイヴを持っていた。
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