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5章 冒険者初級編
第61話 パーティ結成?
しおりを挟む「あれ? キリーカって、ボクん家の裏にある食堂の……」
どうやらルリアも気がついたようだ。
しかし、何故キリーカが冒険者認定試験なんて受けているのだろう。
この会が終わり次第聞きにいこうと思ったが、何か深い理由がある可能性もある。
何せキリーカは、俺が今日の試験を受ける事を知っていた筈だ。
それなのに、自分が受ける事を秘密にしていたのだから、もし言い淀むようなら無理に聞くのはやめておこう。
「さ、総評も終わったことだし、冒険者認定証の進呈だな。それぞれ自分の試験監督の前に並んで、受け取ったものから自由解散だ」
デグが号令を出すと、同期たちがぞろぞろと並び始める。
俺たちもそれぞれの列へと並んだ。
一人一人、カードのようなものを受け取っている。
どうやらアレが冒険者認定証のようだ。
自分の班は合格者も少ないので、すぐに自分の番が回ってきた。
「合格おめでとう、貴方はきっといい冒険者になれますよ」
ナフィスが握手を求めてきたので、それに答えるかたちで手を握る。
「最後の防御魔法はなかなか興味深いものでしたよ、それではまたいずれお会いしましょう」
最後のというと、自分の身体の周りにナイフを浮かせ回転させたやつのことだろう。
「ありがとうございます。そう言って頂けると、頑張った甲斐があります」
「貴方の持つ技はどれも素晴らしいものです。あとは、試験で学んだことをお忘れなく」
「ええ、きっと忘れたくても忘れられないですよ」
「そうですか、それはよかった」
そうして冒険者認定証を受け取り、教室を後にしたのだった。
外に出ると、既に日が高くなっていた。
認定証を見ると、名前と冒険者クラスが書かれており、『ブロンズ』と書かれていた。
クラスについては、また今度ルリアかデグにでも聞いてみよう。
認定証を眺めながら外で待っていると、ルリアとスーが二人並んで出てきた。
ちなみにキリーカは先頭にいたので、既に教室を出て言ってしまっている。
外にも姿は無かったので、既に帰っているのだろうと思っていた。
「ついに手に入れたねぇ、ボクもこれで冒険者……!」
「ルリアはチームとか決めてるの? もし決まってないなら……あ、レイくんだ」
「あ、ほんとだ。レイちゃん! 待っててくれたの?」
「そりゃな。急いで帰る理由もないし」
「もー照れちゃってー」
「アホか、またデコピンくらいたいのか?」
「冗談だってー、にひひ」
「ったく」
「ねーねー、二人共」
俺とルリアがいつもの漫才を繰り広げている間に割ってスーが入ってくる。
「二人共、もう誰とパーティ組むとか決めてるの?」
「んや、決めてないけど」
「ボクはー、そのぉ……」
「多分ルリアちゃんはレイくんと組みたいんだよね?」
「え、そうなのか?」
「まー、ボクが入れば? 回復とかはバッチシだからね。レイちゃんも安心でしょ?」
「……もしかして、冒険者認定試験受けたのも、アレも、その為か!?」
「あはは……えと、そうだけど、ダメ?」
まさかルリアがそこまで考えていたとは思いもよらなかった。
そういえば、俺が冒険者を目指す話をした時に、何か考え事をしていたような記憶がある。
もしかすると、あの時から既に決めていたのかも知れない。
「……ダメじゃないさ。どうせパーティ組むなら、気の知れた仲間のほうがいいしな」
「ほんと……? 良かった」
もっと飛び跳ねて喜ぶようなイメージがあったが、心底ホッとしたような様子を見せられて、こちらも対応に困ってしまう。
「ねーねー、スーも二人と組みたいんだけど、いいかにゃ?」
そんな空気に割って入ってくれたスーも、俺たちと組みたいと言ってくれる。
「そりゃ今んところ後衛しかいないから前衛がいるのはありがたいし、そもそもスーなら俺は歓迎するぞ」
「ボクもいいと思うな。スーちゃんとは仲良くなれそうだし」
「ほんと? じゃあパーティ結成だね!」
「あ、あの……!」
そうこう話しているうちに、いつの間にやら後ろに立っていたキリーカに声をかけられた。
「キリーカ、もう帰ったのかと思ったよ」
「いえ、その……あまり、他の人に声をかけられたくなかったので……」
「ところで、どうして試験に……」
「あの! わ、わたしもパーティに、いれてくだひゃ……ひたぃ……」
……最後に盛大に噛んだな。
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