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第10章 後宮
第392話 望んでいたもの
しおりを挟むグロ注意です。
流血、堕胎、流産表現に抵抗トラウマある方は回避をお願いいたします。
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東左に冗談まじりに皇子の後見になるべきだと言われてから、芙艶は度々その事を考えるようになった。
しかしまずは目先の劉妃の件を告発しなければと思ったところで
自身の妊娠が分かった。
それは間違いなく東左の子で、もちろん皇帝の子ではあり得ない。
懐妊が分かった次の瞬間、芙艶は考えていた。
「なんとしても無かったことにしなければ」
皇后が、皇帝以外の男の子どもを身籠るなどという醜聞は恥でしかない。下手をすれば祖国との関係の問題にも発展する。
そして何より
皇后としての自身に傷がつく。
すぐに祖国へ密書を送り、薬草を取り寄せた。
祖国の響透国には古くから、産医という妊娠から出産に関わる専門の医師がおり、薬草や呪いを利用した産み分けから堕胎、子授けなど、多岐に渡って研究がなされている。
もちろん堕胎薬というものは優秀な成果を発揮していて、信頼性は随分高い。
しかし祖国に堕胎薬をよこせと言えばすぐにも状況はバレてしまう。
仕方なしに、さまざまな薬草の一覧を作り、それを送らせた。
そして、その中から必要なものを取り、自身で調合して服薬した。
効果はすぐにあった。
声も上げられない中、激しい腹の痛みと一晩戦った末に、それは大量の血と共に出てきた。
痛みが引いて、汗と涙でぐしゃぐしゃのまま、その小さな真っ赤に染まった塊を眺めた。
少しは胸が痛むかと思ったのに、それは全く起こらなかった。
逆に湧いてきたのは
なぜもっと早く来てくれなかったのだという怒りだった。
もっと早く、皇帝との間に来てくれたのなら、産んでやることも出来たものを。
ここまで苦しい気持ちを抱えて生きなくても良かったものを!
小さな塊に憎しみを込めて睨み付けた。
そして、様子を見に来た東左が血溜まりの中から拾い上げたそれを「どこかに埋めますか?」と聞いたので。
「どこか、足のつかないところに捨ててきて」と何の感情もなく答えた。
それからしばらく芙艶は堕胎の影響による不調で伏せた。
出入りの医師を上手くやり過ごし、体調が戻ってきた頃、突如として禁軍の将である王弟に清劉との縁談話が持ち上がった。
望まぬ懐妊が起こっていたから、劉妃をしばらく泳がせていた事が不味かった。劉妃の思惑が絡んでいるに違いない。そう確信してすぐにでも阻止せねばと思った所を、東左に止められた。
「私に良い案があります。任せていただけませんか?」
そう強請られて、大丈夫なのか?と訝しむと、東左は満面の笑みを浮かべて、芙艶の髪を梳いて口付ける。
「愛しい方、貴方の望みをこの手に。私と貴方の大切な命を犠牲にしたのです。それくらいの報いがなければ、あまりにも貴方が浮かばれない」
東左の瞳は強い光を放っていた。
そうだこんな思いまでしたのだ、自分はもう後には引けない。
「任せるわ東左。お願いね」
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