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1章

2 宝の持ち腐れ

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ティアナ・モルガンは、幼い頃から好奇心が旺盛で、求められたこともあって努力をして人よりも教養を身につけた。アカデミーでは常に成績優秀者として名を挙げられ、嫌いではなかったから自分も磨いた。

同世代の令嬢達からの羨望の眼差しを受けながらも謙虚にすごしていると、またさらにそこで株が上がってしまったらしい。

そうして何故か令嬢の中の鏡と勝手に言われるようになってしまうと、貴族のしがらみから逸脱することが出来なかった。

好きでもない男と、家のために沿うことは抗えない事なのだと理解していた。



でもその結果、私に何が残るのだろうか?

彼女がそんな事を考え始めたのは16の頃だった。

さほど裕福でもない伯爵家に生まれ、家のために15の頃から婚約者がいた。
婚約者のグランドリーは侯爵家の跡取り息子で父親は政界の重鎮だが、息子の彼はただ顔と外面のいいお坊ちゃまだった。

挙句、明かされてはいないが、アカデミーではいつも成績は中程度、肩書と父の名を利用してそれなりに優秀だと周囲からは持てはやされている。


そして本人は、それが本当に自分が評価されているのだと疑いもしていない。

そんな男に嫁いで、この先自分にはどんなメリットがあるのだろうか?

貴族の夫人は夫の後ろについて、夫の為すことを支え、家を守ることが美徳とされる。

支えるべき男が、張りぼてのような男では、支えがいもない上、共倒れだ。

こんな男につぶされるために、私は努力してきたわけではないのに……

ふと虚しくなりながらも、貴族の娘に選択権などない。家のために嫁ぐことが決まればそれに従うのみなのである。

いっそのこと、どこかに逃げてしまおうかなぁ。

時折、空を眺めてそんな妄想にふけるのが、最近の楽しみになってしまって

あ~もう末期だと、自分を気の毒に思っていた。
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