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新しい家族
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「キスっていいものですね」
好きな人とキス出来たからか、亜里菜の表情はうっとりとしていた。
一方の新太はキスをされても特に表情は変わらない。
普通だったら何かしらの反応があるが、心を閉ざした新太は何も感じなかった。
キスで何か思うのであれば、既に感情を取り戻しているだろう。
両親が亡くなる前にしていたら嬉しかったかもしれない。
何故なら亜里菜が新太の初恋なのだから。
他の人とは違って亜里菜の神秘的な容姿に新太は惹かれていった。
でも、今キスされても嬉しさは微塵もなく、新太はどうしていいかわからなくなる。
女性にとってファーストキスは大切なものなのに、亜里菜は新太のために捧げてくれた。
もしかしたらこれで感情が少しは戻るんじゃないかと思ったかもしれない。
それなのに新太は何も感じず、亜里菜に何て言えばいいか迷う。
「俺はもっと前にしたかったな」
それが新太が唯一思ったことだった。
感情豊かだった頃にしていれば、確実にテンションが上がっていただろう。
今の亜里菜のように好きな人と出来れば嬉しいことなのだから。
「その頃の新太くんはヘタレだったじゃないですか」
「ほっとけ」
明らかな両想いだったのにも関わらず、新太は関係を壊したくないという理由で亜里菜に告白出来ずにいた。
亜里菜に他の男を近づけないようにしていたのにだ。
それなのに告白しないのだからヘタレと思わずにいられないだろう。
「改めて……私は新太くんのことが大好きです」
頬は赤くなっているがとても真剣な顔だ。
新太に会いに引っ越してきたしキスもしたことから、亜里菜の想いは本物だろう。
「今の俺に告白しても……」
「付き合えませんか?」
「だって俺は亜里菜を幸せにすることなんて出来ない」
無気力、無表情、無感情の新太と付き合っても何もいい事はない。
でも、亜里菜もそんな事はわかって告白してきているはずだ。
「やっぱり新太くんは今も優しいじゃないですか。何も考えない人がそんなこと言いませんよ」
「そんなわけない」
亜里菜のために言ったわけでなく、付き合いたいと思ってないから言っただけ。
「ふふ、そういうことにしておきます」
フラれたというのに亜里菜は何故か笑っている。
本人もいきなり付き合えるなんて思ってもいないだろう。
「それじゃあ、そうめん食べましょうか」
再びそうめんを口に含み、亜里菜は新太に食べさそうとしてくる。
もうお腹いっぱいなので食べたくないと思っている新太であるが、仕方なく口移しでそうめんを食べていく。
食べてくれるのが嬉しいのか、亜里菜は笑みを見せてくれる。
全部食べることは出来なかったが、今日は口移しでいつもの何倍も食べることが出来た。
☆ ☆ ☆
「もう無理……」
そうめんを食べた新太はリビングで横になる。
普段の何日分も食べたため、今日はもう動きたくない気持ちでいっぱいだ。
「枕が必要ではないですか?」
「お願い」
寝室から枕を持ってきてくれるかと思った新太であるが、亜里菜は何故か近寄ってきた。
そして亜里菜は新太の頭を持って自分の膝の上に乗せたのだ。
いわゆる膝枕というやつで、最愛の新太に出来て嬉しいのか亜里菜は満面の笑みを見せてくれる。
白くて細い太ももはとても柔らかくて温かい。
「私は新太くんのためなら何でもしますよ」
「いくら好きでも何でもって……」
付き合っていたとしても出来ないことはあるだろう。
でも、新太を見ている亜里菜の瞳には、本当に何でもするという覚悟のようなものを感じさせる。
どれだけ好きなのか……その想いが伝わってくるが、特に新太がどうこうするということはない。
何をされようと何も感じないのだから。
「本当にしますよ。新太くんには笑顔でいてほしい……」
うっすらと綺麗な瞳には涙たまっており、今すぐにでも亜里菜は泣き出しそうだ。
ずっと一緒にいた幼馴染みがこんなになってしまったのだし仕方ない。
「新太くんは家族をとても大切にしていましたね」
「そうだな」
昔から夏休みなどは一緒に旅行をしたりして、新太は両親と一緒にいる時間が多かった。
それなのに突如として両親が事故で死亡……心を閉ざすには充分すぎる。
「一度失えばどう足掻いても戻るということはありません」
もし、何かして家族が戻ってくるのであれば、新太は何だってしている。
「でもね……新しく作ることは出来るんですよ」
「作る?」
「はい。私と新しい家族を作ればいいんですよ」
亜里菜の言ってる意味がわからず、新太は「……は?」となって頭にはてなマークが浮かぶ。
新しい家族を作るとはどういう意味だろうか?
いくら考えても新太にはわからなかった。
「私と子供を作りましょう。そうすれば新太くんは前向きになると思います」
「こ……ども?」
「はい。私と新太くんと子供で幸せに暮らしましょう」
確かに自分の子供がいれば新太の感情が少しは戻るかもしれない。
家族を大事にしているのだから尚更だ。
ただ、普通は付き合う前からそんなことを言うものではない。
「私は新太くんといれて嬉しいですし、新太くんはきっと子供に愛情を持って育てます。WinWinじゃないですか」
「そんなの……わからない」
「でも、否定はしないのですね」
確かにそうで、新太は無言で頷く。
だからと言って子供を作ろうとする気は今のところなく、眠気に負けて瞼を閉じてしまう。
「寝ちゃいましたか」
亜里菜は再びキスをし、優しく新太の頭を撫でるのだった。
好きな人とキス出来たからか、亜里菜の表情はうっとりとしていた。
一方の新太はキスをされても特に表情は変わらない。
普通だったら何かしらの反応があるが、心を閉ざした新太は何も感じなかった。
キスで何か思うのであれば、既に感情を取り戻しているだろう。
両親が亡くなる前にしていたら嬉しかったかもしれない。
何故なら亜里菜が新太の初恋なのだから。
他の人とは違って亜里菜の神秘的な容姿に新太は惹かれていった。
でも、今キスされても嬉しさは微塵もなく、新太はどうしていいかわからなくなる。
女性にとってファーストキスは大切なものなのに、亜里菜は新太のために捧げてくれた。
もしかしたらこれで感情が少しは戻るんじゃないかと思ったかもしれない。
それなのに新太は何も感じず、亜里菜に何て言えばいいか迷う。
「俺はもっと前にしたかったな」
それが新太が唯一思ったことだった。
感情豊かだった頃にしていれば、確実にテンションが上がっていただろう。
今の亜里菜のように好きな人と出来れば嬉しいことなのだから。
「その頃の新太くんはヘタレだったじゃないですか」
「ほっとけ」
明らかな両想いだったのにも関わらず、新太は関係を壊したくないという理由で亜里菜に告白出来ずにいた。
亜里菜に他の男を近づけないようにしていたのにだ。
それなのに告白しないのだからヘタレと思わずにいられないだろう。
「改めて……私は新太くんのことが大好きです」
頬は赤くなっているがとても真剣な顔だ。
新太に会いに引っ越してきたしキスもしたことから、亜里菜の想いは本物だろう。
「今の俺に告白しても……」
「付き合えませんか?」
「だって俺は亜里菜を幸せにすることなんて出来ない」
無気力、無表情、無感情の新太と付き合っても何もいい事はない。
でも、亜里菜もそんな事はわかって告白してきているはずだ。
「やっぱり新太くんは今も優しいじゃないですか。何も考えない人がそんなこと言いませんよ」
「そんなわけない」
亜里菜のために言ったわけでなく、付き合いたいと思ってないから言っただけ。
「ふふ、そういうことにしておきます」
フラれたというのに亜里菜は何故か笑っている。
本人もいきなり付き合えるなんて思ってもいないだろう。
「それじゃあ、そうめん食べましょうか」
再びそうめんを口に含み、亜里菜は新太に食べさそうとしてくる。
もうお腹いっぱいなので食べたくないと思っている新太であるが、仕方なく口移しでそうめんを食べていく。
食べてくれるのが嬉しいのか、亜里菜は笑みを見せてくれる。
全部食べることは出来なかったが、今日は口移しでいつもの何倍も食べることが出来た。
☆ ☆ ☆
「もう無理……」
そうめんを食べた新太はリビングで横になる。
普段の何日分も食べたため、今日はもう動きたくない気持ちでいっぱいだ。
「枕が必要ではないですか?」
「お願い」
寝室から枕を持ってきてくれるかと思った新太であるが、亜里菜は何故か近寄ってきた。
そして亜里菜は新太の頭を持って自分の膝の上に乗せたのだ。
いわゆる膝枕というやつで、最愛の新太に出来て嬉しいのか亜里菜は満面の笑みを見せてくれる。
白くて細い太ももはとても柔らかくて温かい。
「私は新太くんのためなら何でもしますよ」
「いくら好きでも何でもって……」
付き合っていたとしても出来ないことはあるだろう。
でも、新太を見ている亜里菜の瞳には、本当に何でもするという覚悟のようなものを感じさせる。
どれだけ好きなのか……その想いが伝わってくるが、特に新太がどうこうするということはない。
何をされようと何も感じないのだから。
「本当にしますよ。新太くんには笑顔でいてほしい……」
うっすらと綺麗な瞳には涙たまっており、今すぐにでも亜里菜は泣き出しそうだ。
ずっと一緒にいた幼馴染みがこんなになってしまったのだし仕方ない。
「新太くんは家族をとても大切にしていましたね」
「そうだな」
昔から夏休みなどは一緒に旅行をしたりして、新太は両親と一緒にいる時間が多かった。
それなのに突如として両親が事故で死亡……心を閉ざすには充分すぎる。
「一度失えばどう足掻いても戻るということはありません」
もし、何かして家族が戻ってくるのであれば、新太は何だってしている。
「でもね……新しく作ることは出来るんですよ」
「作る?」
「はい。私と新しい家族を作ればいいんですよ」
亜里菜の言ってる意味がわからず、新太は「……は?」となって頭にはてなマークが浮かぶ。
新しい家族を作るとはどういう意味だろうか?
いくら考えても新太にはわからなかった。
「私と子供を作りましょう。そうすれば新太くんは前向きになると思います」
「こ……ども?」
「はい。私と新太くんと子供で幸せに暮らしましょう」
確かに自分の子供がいれば新太の感情が少しは戻るかもしれない。
家族を大事にしているのだから尚更だ。
ただ、普通は付き合う前からそんなことを言うものではない。
「私は新太くんといれて嬉しいですし、新太くんはきっと子供に愛情を持って育てます。WinWinじゃないですか」
「そんなの……わからない」
「でも、否定はしないのですね」
確かにそうで、新太は無言で頷く。
だからと言って子供を作ろうとする気は今のところなく、眠気に負けて瞼を閉じてしまう。
「寝ちゃいましたか」
亜里菜は再びキスをし、優しく新太の頭を撫でるのだった。
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