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犯人の正体
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運ばれてきたパンと魚料理を、ルシアナは静かにナイフとフォークで手際よく切り分ける。
幼い頃からテーブルマナ―を叩きこまれたルシアナにとって、それは自然のことであったのだが、ふと辺りを見回せば、冒険者たちは大声で叫びながら料理を食べており、中には手づかみで肉を食べている者すらいた。
(え? 冒険者の食事ってそういうものなの?)
と不安に思ったその時、目の前のバルシファルもまたルシアナと同じように、いや、ルシアナ以上に綺麗に魚を切り分け、食べている。
「どうしたんだい、シア」
「あ、いえ、すみません。ファル様の食事の姿が素敵で」
「ああ、これか。うちの母が口うるさくてね。覚えておいて損はないからとテーブルマナーをしつけられて、その時の癖が抜けていないだけなんだよ。それに、シアも綺麗に食べているじゃないか」
綺麗だとバルシファルに言われたことで、ルシアナは厳しくテーブルマナーをしつけてくれた侍従長に感謝した。
サンタやトーマスもバルシファルやルシアナほどではないが、他の冒険者より綺麗に食べているのだけれども、ルシアナにとっては空気のような扱いであった。
パンを皿に残ったソースにつけて食べて食事を終えたところで、話題はポーション作りになった。
「ところで、シアがくれたポーションだけれど、あれは君が作ったものなのかい?」
「はい。ちょっと挑戦したポーションなんですけど、思ったよりうまくいったので。効果があったようでよかったです」
ルシアナは、先ほどの食事でバルシファルの左腕の調子がよくなっていたことに気付いた。
「君はいつも冒険者ギルドでポーションを作っているのかい?」
「いつも、というわけではありません。今日で二回目ですから。以前はファインロード修道院で月に十本程作っていました」
「ファインロード――また、随分遠くの修道院だね」
「あ、ご存知なのですね」
エリーといい、バルシファルといい、住んでいるときはわからなかったが、意外と名の知れた修道院なのだとルシアナは思った。
「私からも質問していいですか?」
「なんだい?」
「ファル様は何故冒険者になったのですか?」
「そうだね。自由だから……かな?」
バルシファルは語る。
「私は昔、少し束縛された生活を過ごしていてね。自由に憧れていたんだ。だから、冒険者になった。それに、好奇心旺盛な性格でね、いろいろと気になったことを調べたりするんだけど、そうすると国家や権力者に束縛されにくい冒険者の肩書きは何かと役に立つんだ」
「調べものですか?」
「そうだね、例えば、海の民を襲ったレッドリザードマンは、一体どこから現れたのか?」
「え? 北の森からじゃないのですか? ルークさんから聞いたのですけど、商品の香辛料の匂いにつられて現れたのだろうと」
「確かにそう思われた。しかし、私が調べたところ彼らの荷には、しっかり匂いが外に漏れないための工夫をしていた。それになにより、レッドリザードマンは人を襲うことはあっても、相手が少人数の場合のみで、普通ならあれだけの隊列で護衛までいる商隊を襲ったりなんてしない。僕は、誰かが意図的にレッドリザードマンをけしかけたのではないか? そう思っているんだ」
ルシアナは驚いた。
彼女は、ルークが言った通り、レッドリザードマンが香辛料の匂いにつられて現れたものだとばかり思い、疑いもしなかった。だが、バルシファルは、与えられた情報だけで満足せずに、自分なりに調べ、可能性を推測していたのだ。
「それなら、ファル様は誰が犯人かも見当がついているのですか?」
「可能性はね。といっても、証拠はないから大きな声では言えないが。そうだ、シアは一体誰が犯人だと思う?」
「え?」
突然話題を振られて、ルシアナは一瞬困惑した。
だが、ルシアナは直ぐに冷静になり、アーノルとの会話を思い出す。
ルシアナは百を知らない。誰が犯人かはわからない。
だが、それは九十九を理解しようとしない理由には繋がらない。
たとえ、百を知らなかったとしても、彼女は十、もしくは二十を知っているのだから、それを元に理解を深めていけばいいのだと。
「……海の民は被差別民族です」
「うん、そうだね」
「ですが、魔物の襲撃が人間の仕業であるとするのなら、それは普通の人間がどうこうできるとは思えません。魔術師や呪術師なら話は変わりますが、ファル様は恐らく、貴族の誰かを犯人と推測しているのではないかと思います」
「どうしてそう思うんだい?」
「高名な魔術師や呪術師は、ほぼ全員、どこかの貴族、もしくは王族に抱えられているので、独自の判断で動く可能性より、王族や貴族の命令で動いている可能性が高い。でも、王族が海の民を害そうとするのは避けるはずです。現在、海の民は海洋国家オーファにおいて海洋交易を担っている重要な民族であり、それを知っている王族が、わざわざ海の民と溝を深める行動に出るとは思えません。名も知らない魔術師や呪術師が荷物などを奪うために海の民を襲わせたという可能性も考えましたが、わざわざ王都の近くで襲う理由にはなりませんし、一回の交易品の荷物を奪ったところで、売れば財になるとしても、魔物を操る魔術の研究の費用を考えると、むしろ赤字だと思います」
そして、ルシアナはハインツとの授業を思い出す。
海の民が商品を運んできたら、どうなる?
「昔、聞いたことがあります。金と胡椒が同重量で交換された時代もあった。さすがにそれは大げさですが、しかし、それだけ貴重な品であったと。でも、海洋交易が始まり、香辛料の価格は下がったのですよね?」
小麦が不足すれば値段が上がり、余れば値段が下がる。
それと同じだ。
そして、香辛料の値段が下がって損をするのは?
「海の民が香辛料を運ぶ前は、一体この国の香辛料はどこから入ってきていたのでしょうか?」
「――香辛料は遥か東の国より陸路によって運ばれていた。そして、この国では、東のモーズ侯爵家がその香辛料の取引で多くの財を成していた。だが、海の民による海洋交易によりその値段は著しく下がり、交易路の整備等による借金が残った。それと、僕の知り合いが入手した情報によると、モーズ侯爵家の領地から、正体の分からない荷を運ぶ馬車の一団が関所を通過した記録があってね、その時、荷物の中から何かの鳴き声が聞こえたという証言があったんだ。中身を調べたかったが、モーズ侯爵家の通行許可証があったから通さないわけにはいかなかったと」
「それって、ほぼ犯人じゃないですか!」
ルシアナが叫ぶと、周囲が彼女に注目した。
バルシファルは顔の表情を変えずに、小さな声で、
「静かに。周りに聞かれるよ」
とルシアナに注意する。
ルシアナは「すみません」とバルシファルと、周囲の人間に謝り、そして今回の件について少し理解ができた。
モーズ侯爵家の最終的な狙いは、海の民の交易を邪魔すること。
わざわざ王都の近くで襲わせたのは、もしかしたら怪我をした海の民を、トラリア王国が見捨てることに期待していたからではないだろうか?
そういえば、あの場で一人、不自然な男がいた。
「もしかして、薬師ギルドのギルド長は?」
「ああ、彼はモーズ侯爵とは従兄弟の関係だ」
やはりそうかとルシアナは思った。
薬師ギルドのギルド長がポーションを売らない、治療しないと言ったのは、差別感情だからと少しは理解できる。
だが、わざわざ王都の外にまで来て、冒険者ギルドの治療を止めたのは何故か?
あの時、ルシアナは今と同じで修道女の姿をしていた。その彼女が治療をしているのに、それでも力づくで止めようとした。
まるで、冒険者ギルド、教会、双方を敵に回してもいい。ポーションの利権とかそういう問題ではない。とにかく、治療をさせてはいけないと、どこか焦っている感じがした。
恐らく、モーズ侯爵から指示されていたのだ。
海の民を見殺しにしろと。
だが、陛下から命令されたことで、海の民を助けざるを得なくなった。
「それで、どうするのですか?」
「どうもこうも、これで終わりだよ。私はただの冒険者だ。これ以上調べようがない」
「ならば、然るべき機関に頼んで調査を――」
「おそらく、誰もそれを引き受けない。王家からしたら、せっかく今回のことで海の民を助け、恩を与えることができたんだ。わざわざ自分の国の貴族が海の民を襲ったという証拠を見つけて、仇にしたくはない。なにより、証拠が見つからなかったとき、王が、自国の貴族よりも被差別民族の味方をしたという悪評だけが残る。せめて、モーズ侯爵家の中に入る事ができれば、なにか手がかりが見つかるかもしれないのだが、一介の冒険者だとそれは厳しいだろう。まぁ、もう少し調べてみるけれどね――」
バルシファルはルシアナにそう言った。
そして、食事を終え、また会う約束をして別れた。
ルシアナは、バルシファルという冒険者がますます好きになった。自由であって、高潔な彼のことが。それが恋なのか憧れなのかはわからないが、彼とまた会いたいと、彼の役に立ちたいと思った。
それと同時に、自分と同じ貴族が、お金儲けのために人を殺そうとするなんて。
公爵邸に戻ったルシアナは、ため息をついた。
それに追い打ちをかけるように、ルシアナの元に、大量の手紙が届いていた。
様々なパーティへの招待状だ。
これまでも様々なパーティの招待状が届いていたが、今回の量はその比ではない。
シャルド殿下と婚約したことで、今の内に将来の皇太子妃となるルシアナと縁を取り持とうと思っているのだろう。
王都の貴族別邸の招待状だけでなく、貴族の領地にある本邸への招待まであった。馬車で二日や三日かかるような場所に行きたくない。
「お嬢様、どうなさいますか?」
「出席する気分ではありませんわ。全部破棄を――」
そう言おうとして、ルシアナは気付いた。
これを利用すれば、バルシファルの手助けをできるのではないかと。
「これからお父様に会うことはできますか?」
幼い頃からテーブルマナ―を叩きこまれたルシアナにとって、それは自然のことであったのだが、ふと辺りを見回せば、冒険者たちは大声で叫びながら料理を食べており、中には手づかみで肉を食べている者すらいた。
(え? 冒険者の食事ってそういうものなの?)
と不安に思ったその時、目の前のバルシファルもまたルシアナと同じように、いや、ルシアナ以上に綺麗に魚を切り分け、食べている。
「どうしたんだい、シア」
「あ、いえ、すみません。ファル様の食事の姿が素敵で」
「ああ、これか。うちの母が口うるさくてね。覚えておいて損はないからとテーブルマナーをしつけられて、その時の癖が抜けていないだけなんだよ。それに、シアも綺麗に食べているじゃないか」
綺麗だとバルシファルに言われたことで、ルシアナは厳しくテーブルマナーをしつけてくれた侍従長に感謝した。
サンタやトーマスもバルシファルやルシアナほどではないが、他の冒険者より綺麗に食べているのだけれども、ルシアナにとっては空気のような扱いであった。
パンを皿に残ったソースにつけて食べて食事を終えたところで、話題はポーション作りになった。
「ところで、シアがくれたポーションだけれど、あれは君が作ったものなのかい?」
「はい。ちょっと挑戦したポーションなんですけど、思ったよりうまくいったので。効果があったようでよかったです」
ルシアナは、先ほどの食事でバルシファルの左腕の調子がよくなっていたことに気付いた。
「君はいつも冒険者ギルドでポーションを作っているのかい?」
「いつも、というわけではありません。今日で二回目ですから。以前はファインロード修道院で月に十本程作っていました」
「ファインロード――また、随分遠くの修道院だね」
「あ、ご存知なのですね」
エリーといい、バルシファルといい、住んでいるときはわからなかったが、意外と名の知れた修道院なのだとルシアナは思った。
「私からも質問していいですか?」
「なんだい?」
「ファル様は何故冒険者になったのですか?」
「そうだね。自由だから……かな?」
バルシファルは語る。
「私は昔、少し束縛された生活を過ごしていてね。自由に憧れていたんだ。だから、冒険者になった。それに、好奇心旺盛な性格でね、いろいろと気になったことを調べたりするんだけど、そうすると国家や権力者に束縛されにくい冒険者の肩書きは何かと役に立つんだ」
「調べものですか?」
「そうだね、例えば、海の民を襲ったレッドリザードマンは、一体どこから現れたのか?」
「え? 北の森からじゃないのですか? ルークさんから聞いたのですけど、商品の香辛料の匂いにつられて現れたのだろうと」
「確かにそう思われた。しかし、私が調べたところ彼らの荷には、しっかり匂いが外に漏れないための工夫をしていた。それになにより、レッドリザードマンは人を襲うことはあっても、相手が少人数の場合のみで、普通ならあれだけの隊列で護衛までいる商隊を襲ったりなんてしない。僕は、誰かが意図的にレッドリザードマンをけしかけたのではないか? そう思っているんだ」
ルシアナは驚いた。
彼女は、ルークが言った通り、レッドリザードマンが香辛料の匂いにつられて現れたものだとばかり思い、疑いもしなかった。だが、バルシファルは、与えられた情報だけで満足せずに、自分なりに調べ、可能性を推測していたのだ。
「それなら、ファル様は誰が犯人かも見当がついているのですか?」
「可能性はね。といっても、証拠はないから大きな声では言えないが。そうだ、シアは一体誰が犯人だと思う?」
「え?」
突然話題を振られて、ルシアナは一瞬困惑した。
だが、ルシアナは直ぐに冷静になり、アーノルとの会話を思い出す。
ルシアナは百を知らない。誰が犯人かはわからない。
だが、それは九十九を理解しようとしない理由には繋がらない。
たとえ、百を知らなかったとしても、彼女は十、もしくは二十を知っているのだから、それを元に理解を深めていけばいいのだと。
「……海の民は被差別民族です」
「うん、そうだね」
「ですが、魔物の襲撃が人間の仕業であるとするのなら、それは普通の人間がどうこうできるとは思えません。魔術師や呪術師なら話は変わりますが、ファル様は恐らく、貴族の誰かを犯人と推測しているのではないかと思います」
「どうしてそう思うんだい?」
「高名な魔術師や呪術師は、ほぼ全員、どこかの貴族、もしくは王族に抱えられているので、独自の判断で動く可能性より、王族や貴族の命令で動いている可能性が高い。でも、王族が海の民を害そうとするのは避けるはずです。現在、海の民は海洋国家オーファにおいて海洋交易を担っている重要な民族であり、それを知っている王族が、わざわざ海の民と溝を深める行動に出るとは思えません。名も知らない魔術師や呪術師が荷物などを奪うために海の民を襲わせたという可能性も考えましたが、わざわざ王都の近くで襲う理由にはなりませんし、一回の交易品の荷物を奪ったところで、売れば財になるとしても、魔物を操る魔術の研究の費用を考えると、むしろ赤字だと思います」
そして、ルシアナはハインツとの授業を思い出す。
海の民が商品を運んできたら、どうなる?
「昔、聞いたことがあります。金と胡椒が同重量で交換された時代もあった。さすがにそれは大げさですが、しかし、それだけ貴重な品であったと。でも、海洋交易が始まり、香辛料の価格は下がったのですよね?」
小麦が不足すれば値段が上がり、余れば値段が下がる。
それと同じだ。
そして、香辛料の値段が下がって損をするのは?
「海の民が香辛料を運ぶ前は、一体この国の香辛料はどこから入ってきていたのでしょうか?」
「――香辛料は遥か東の国より陸路によって運ばれていた。そして、この国では、東のモーズ侯爵家がその香辛料の取引で多くの財を成していた。だが、海の民による海洋交易によりその値段は著しく下がり、交易路の整備等による借金が残った。それと、僕の知り合いが入手した情報によると、モーズ侯爵家の領地から、正体の分からない荷を運ぶ馬車の一団が関所を通過した記録があってね、その時、荷物の中から何かの鳴き声が聞こえたという証言があったんだ。中身を調べたかったが、モーズ侯爵家の通行許可証があったから通さないわけにはいかなかったと」
「それって、ほぼ犯人じゃないですか!」
ルシアナが叫ぶと、周囲が彼女に注目した。
バルシファルは顔の表情を変えずに、小さな声で、
「静かに。周りに聞かれるよ」
とルシアナに注意する。
ルシアナは「すみません」とバルシファルと、周囲の人間に謝り、そして今回の件について少し理解ができた。
モーズ侯爵家の最終的な狙いは、海の民の交易を邪魔すること。
わざわざ王都の近くで襲わせたのは、もしかしたら怪我をした海の民を、トラリア王国が見捨てることに期待していたからではないだろうか?
そういえば、あの場で一人、不自然な男がいた。
「もしかして、薬師ギルドのギルド長は?」
「ああ、彼はモーズ侯爵とは従兄弟の関係だ」
やはりそうかとルシアナは思った。
薬師ギルドのギルド長がポーションを売らない、治療しないと言ったのは、差別感情だからと少しは理解できる。
だが、わざわざ王都の外にまで来て、冒険者ギルドの治療を止めたのは何故か?
あの時、ルシアナは今と同じで修道女の姿をしていた。その彼女が治療をしているのに、それでも力づくで止めようとした。
まるで、冒険者ギルド、教会、双方を敵に回してもいい。ポーションの利権とかそういう問題ではない。とにかく、治療をさせてはいけないと、どこか焦っている感じがした。
恐らく、モーズ侯爵から指示されていたのだ。
海の民を見殺しにしろと。
だが、陛下から命令されたことで、海の民を助けざるを得なくなった。
「それで、どうするのですか?」
「どうもこうも、これで終わりだよ。私はただの冒険者だ。これ以上調べようがない」
「ならば、然るべき機関に頼んで調査を――」
「おそらく、誰もそれを引き受けない。王家からしたら、せっかく今回のことで海の民を助け、恩を与えることができたんだ。わざわざ自分の国の貴族が海の民を襲ったという証拠を見つけて、仇にしたくはない。なにより、証拠が見つからなかったとき、王が、自国の貴族よりも被差別民族の味方をしたという悪評だけが残る。せめて、モーズ侯爵家の中に入る事ができれば、なにか手がかりが見つかるかもしれないのだが、一介の冒険者だとそれは厳しいだろう。まぁ、もう少し調べてみるけれどね――」
バルシファルはルシアナにそう言った。
そして、食事を終え、また会う約束をして別れた。
ルシアナは、バルシファルという冒険者がますます好きになった。自由であって、高潔な彼のことが。それが恋なのか憧れなのかはわからないが、彼とまた会いたいと、彼の役に立ちたいと思った。
それと同時に、自分と同じ貴族が、お金儲けのために人を殺そうとするなんて。
公爵邸に戻ったルシアナは、ため息をついた。
それに追い打ちをかけるように、ルシアナの元に、大量の手紙が届いていた。
様々なパーティへの招待状だ。
これまでも様々なパーティの招待状が届いていたが、今回の量はその比ではない。
シャルド殿下と婚約したことで、今の内に将来の皇太子妃となるルシアナと縁を取り持とうと思っているのだろう。
王都の貴族別邸の招待状だけでなく、貴族の領地にある本邸への招待まであった。馬車で二日や三日かかるような場所に行きたくない。
「お嬢様、どうなさいますか?」
「出席する気分ではありませんわ。全部破棄を――」
そう言おうとして、ルシアナは気付いた。
これを利用すれば、バルシファルの手助けをできるのではないかと。
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