なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

文字の大きさ
37 / 78

第37話

しおりを挟む

『『『『『――カアァーッ……!』』』』』

 俺の『誘導魔法』の効果が早速出たようで、ジャイアントレイブンたちが群れをなしてやってきた。

 とはいえ、俺はこいつらと戦うつもりは毛頭ない。心の温もりの部分を活性化させた『魅了魔法』によってカラスたちを懐柔し、その背中に乗ることでより速く町へ帰還するためだ。

 だが、移動手段としては当たり前の如く馬車が使われている現状、テイマーですらカラスに乗る者がいないことでもわかるように、気性の荒い彼らを乗りこなすのは非常に難しいとされている。

 しかも、これならなんとか乗れるかもしれないと思えるのが、100羽のうち1羽でもいればいいほうなんだとか。

「「「……」」」

 ルエスたちもそれがわかるのか心配そうに見ているので、まったく問題ないということを見せてやらねば。

 俺は見る目、すなわち眼力を活性化させた『慧眼魔法』をカラスたちに使用した。これによって、どの個体が乗りこなすのに最適かを見極めることができるんだ。

「――そこのお前だ!」

『アワッ……!?』

 俺に杖の先を向けられた大型カラスが驚いた反応を見せたのち、意気に感じたのか目の前まで下りてきたそのときだった。

『『『『『ガアッ! ガアッ!』』』』』

 突然、ほかのレイブンたちが何かを訴えかけるかのように、リズムよく鳴き声を上げ始めたのだ。なるほど……。おそらくこれはに違いない……。

「ラ、ラウル君、カラスたちが一斉に鳴き出したけど、一体何が始まったっていうんだい……?」

「わ、わわ……ラウルさん、何が起きましたです……?」

「い、一体何がどうなったっていうの、ラウル……?」

 ルエスたちが挙って疑問をぶつけてくるのもわかる。

「これは、だと思う」

「「「喧嘩……?」」」

「ああ。俺が一羽のカラスを選ぼうとしたら、ほかのカラスたちが自分のほうが相応しいってお互いを威嚇し始めたんだ」

「さ、さすが化け物……いや、ラウル君だ……」

「それだけ乗ってほしいってことですね……。ラウルさん、モンスターに好かれすぎなのです……」

「要するに、ラウルはカラスたちの親玉ってわけね!」

「……ははっ。まあボスとはちょっと違うが、それに近い感じでは見られてるっぽいな。有難迷惑だが……」

 しかし、笑ってばかりもいられない。このままじゃ収拾がつかないからだ。一体全体、どうすればいいのやら――

『――困っているようだな、人間よ』

「ああ、凄く……って!」

 そこに出現したのは、あの変異種のジャイアントレイブンだった。

『仲間たちがどこかへ向かったのがわかったから、それにつられて私も隠れつつやってきたのだ。まあこんなことだろうとは思っていたがな』

「さすが、抜群に賢いだけあって察しがいい。人間の気持ちがよくわかるお前なら俺でも乗りこなすことができそうだし、ほかのカラスたちも納得してくれそうだ」

『問題ない。振り落とされないように気をつけるんだぞ』

「よーし、そういうわけだから、早速みんな乗ろうか?」

「いいですね……。楽しみなのです……」

「カラスの背中って、どんな感じだろ? 楽しみー!」

 ん? ユリムとカレンは乗り気だが、ルエスは見るからに怯んでいた。

「ルエス、どうしたんだ?」

「……ぼ、僕だけ歩いていくというのはどうかな……?」

「いやいや、ルエスの力も借りたいしそういうわけにはいかない。もしかして、高いところが苦手とか……?」

「ちょ、ちょっとね。もし落ちたらと思うと……」

「それなら大丈夫だ。一応、バランス感覚を活性化させる『平衡魔法』もみんなに使ってあるし、もしものことが起きても落ちることはまずない」

「そ、そうか……って、それだけスピードが出ちゃうってことだよね……!?」

「ルエス……そろそろ観念しましょうです……」

「そうよ、ルエスったら、モタモタしちゃって。急がないと!」

「ちょっ……!?」

 というわけで、半ば強引にルエスも変異種カラスの背中に乗せて俺たちは出発したわけだが、まもなく山の中で聞いたこともないような絶叫がこだまするのだった……。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...