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ルーカスの依頼(5)

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 完全にアルフレドを見下して、ボコボコにしてやろうと意気込んでいるドリアスの話を聞いても、アルフレドは冷静だが、その姿を見てハンナも苛つく様子を隠さずに、上から目線でこう告げる。

「貴方、何か勘違いしているようなので私達が色々と教えて差し上げます」

 その直後にドリアスは、以前も使用していた短剣を容赦なくアルフレドに投げつけ、ハンナも炎魔術で攻撃してきた。

「それは一度見ましたよ」

 あっさりと躱し、二人の背後に回り込むアルフレドとリアント。
 もちろんリアントも、その姿を隠すような事はしていないので姿は見えている。

「お前!何故それほど早く移動……そうか、あいつらが作った魔道具だな!」

「本当に虫唾が走りますね。他人から与えられた力をひけらかして調子に乗るなんて、最低です」

 全くの言いがかりだが、証明する手段がないので黙って二人に近接して行くアルフレド。

 リアントはアルフレドの指示によって、テクテク離れて行ってしまった。

「おいおい、良いのか?あのがいなくちゃ、お前は何もでき…グゥ……」

「ドリアス!今回復します!!アルフレド、何をしたの!」

 言葉の途中で、突然短剣を持っていた右手を折られるドリアスと、攻撃を認識できずに慌てながらも回復術を行うハンナ。

「う~ん、一応盾ですが、これは攻撃力が高すぎますね。流石はあのお三方。技術が段違い!」

 その言葉を無視するように、いつの間にか右手に持っている小さな盾を褒め称えるアルフレド。

「クソ、やっぱりお前達は武具に頼り切って実力をはき違えている半端モンだ!」

 回復されたドリアスが喚くが、アルフレドは気にしない。

「それも含めてギルドの実力ですが?それがどうかしましたか?貴方達、こんな所で油を売っている暇があるのなら、ギルドとして受けている魔王討伐、魔獣討伐に勤しんだらどうですか?ホラ、丁度そっちにいますよ?」

 彼らの背後には、以前見た事のある魔獣、Aランクのランドルが二体いたのだ。

 明らかに騒がしくしているドリアスとハンナに狙いをつけており、どう見ても数秒後には襲い掛かってくる態勢だ。

「それでは、その二体はお願いしますね。共にジャロリア王国のために頑張りましょう!ごきげんよう」

 自分達を襲いに来た事位は分かっているが、ここで揉めても碌な事にならないので、この状況を利用してさっさと離脱するアルフレドとリアント。

「チッ、ハンナ!」

「わかりました」

 最早迎撃するしか方法がない為、二人はランドルに対して攻撃を始めた。

 その姿を見つつ離脱するアルフレドだが、自分の存在意義となっている【癒しの雫】を馬鹿にされた事は許せないので、煽る事は忘れずに去る。

「お~、そこそこ・・・・の攻撃力ですね。まぁ、せいぜい頑張ってください。A・ラ・ン・ク・ギルドの冒険者さん!」

 敢えて降格されたギルドランクを強調しつつ離脱したのだ。
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