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【勇者の館】と【鋭利な盾】(2)
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「彼ら一人は、筋骨隆々の黒目で坊主頭。明らかに身体強化特化の攻撃でした。残る一人は、細身長身で赤目黒髪の男。こちらは魔術を得意としておりました」
「身体強化と魔術か。身体強化の方は、何か武器を持っていたか?剣か?槍か?」
対策を行うには、相手を良く知る必要がある事は誰しもが理解できる常識であり、流石のルーカスもここは疎かにはしない。
一度、ダンジョン内部で痛い目を見ているからだ。
「いいえ。あの男は何も武器を持ってはおりませんでした。単純に己の力で全てをなぎ倒す・・・・・・そう言った雰囲気の男です。その男が、ホスフォ様の右腕を目にもとまらぬ速さで引きちぎったのです」
「・・・・・・Sランカー魔術師の手を簡単にちぎる・・・・・・か。こう言っちゃなんだが、ホスフォ殿はお年を召されていた。Sランカーとしての力はもう無かったのだろうな」
そんな事は有るわけがないだろう!と内心叫びつつも、口では肯定も否定もしないフィライト。
ルーカスは一人考え込むような仕草を見せるが、やがて徐に立ち上がる。
「そんな大怪我をしている中で悪かったな。これからは安心して養生してくれ」
気遣っているように聞こえなくもないが、明らかに弱者の癖にと言う侮蔑が含まれているこの言葉にも、何も反応できずにいたフィライトだ。
「戻ったぞ!」
「お待ちしておりました、ルーカス様。状況はどうでしたでしょうか?」
国王が準備した立派な宿に戻ったルーカスは、信頼できる高レベルの冒険者達が待つ部屋に入る。
そこには、Bランクに降格しているドリアスとハンナもいる。
「予想以上に腑抜けだったぞ。ホスフォ殿一人を残して二人は逃げたそうだ。相手は三人魔族だが、一人は何故か裏切りにでもあったのか、既に致命傷を受けていたらしい。つまり、人族三人に対して魔族二人。この状態でAランカー二人は逃走したらしいぞ。そして結果は、ホスフォ殿が死亡。何故か逃げたAランカーも大怪我。確かにかなりの負傷だったな。一人は未だ動けないらしい」
「情けない・・・・・・」
誰が言ったのか、自分達の方が格上と無意識下で思っているので、今までの情けない行動についてはきれいさっぱり記憶の中から除去されている【勇者の館】。
「で、一人は魔術、一人は身体強化だそうだ。ある程度準備はしてきたが、これはアルゾナ王国の依頼でもあるからな。王国の費用で十分な装備を至急揃える事にしよう」
経費だと言い張れば、かなり高額な武具も手に入れる事ができる。
その後は、戦闘時に破壊したとか報酬の一部だと言い張れば使い続ける事ができると踏んでいる。
人族は武具・魔道具込みでのランクになるので、この機を逃さずに戦力上昇を画策しているルーカス。
非常に抜け目ない性格をしている。
「じゃあ行くぞ!」
早速町に繰り出し、高級そうな武具を扱っている店に向かう。
人々は最も信頼していた【鋭利な盾】が敗北して絶望していたところ、その代わりに国家を守るために来てくれている【勇者の館】については良く知っているので、羨望の眼差しで見られており、時折聞こえる称賛の声が耳に心地よい。
一般の民は【勇者の館】がどのような行動をしているか、そして各国家でどのように思われているかは知る由もない。
「これこそが、本来俺達がジャロリア王国で受けるべき賞賛、態度なのだがな・・・・・・」
機嫌がよさそうに呟きながら店に入っていくルーカス達は、笑みを浮かべている店主をよそに高価な武具を次々と収納袋にしまい込み、こう告げる。
「知っていると思うが、俺達【勇者の館】は国家の依頼でこのアルゾナ王国を守るべく活動している。今回、【鋭利な盾】を襲った魔族の詳細を聞いた結果、持ち込んだ武具では対処しきれない可能性が出たため、ここで補充させてもらう。経費は、王国に請求してくれ」
店主から見ればどう考えても魔族に対抗するのには不要な魔道具も含まれていたのだが、その様な事を言える立場でもない為、渋々首肯するしかなかった。
「身体強化と魔術か。身体強化の方は、何か武器を持っていたか?剣か?槍か?」
対策を行うには、相手を良く知る必要がある事は誰しもが理解できる常識であり、流石のルーカスもここは疎かにはしない。
一度、ダンジョン内部で痛い目を見ているからだ。
「いいえ。あの男は何も武器を持ってはおりませんでした。単純に己の力で全てをなぎ倒す・・・・・・そう言った雰囲気の男です。その男が、ホスフォ様の右腕を目にもとまらぬ速さで引きちぎったのです」
「・・・・・・Sランカー魔術師の手を簡単にちぎる・・・・・・か。こう言っちゃなんだが、ホスフォ殿はお年を召されていた。Sランカーとしての力はもう無かったのだろうな」
そんな事は有るわけがないだろう!と内心叫びつつも、口では肯定も否定もしないフィライト。
ルーカスは一人考え込むような仕草を見せるが、やがて徐に立ち上がる。
「そんな大怪我をしている中で悪かったな。これからは安心して養生してくれ」
気遣っているように聞こえなくもないが、明らかに弱者の癖にと言う侮蔑が含まれているこの言葉にも、何も反応できずにいたフィライトだ。
「戻ったぞ!」
「お待ちしておりました、ルーカス様。状況はどうでしたでしょうか?」
国王が準備した立派な宿に戻ったルーカスは、信頼できる高レベルの冒険者達が待つ部屋に入る。
そこには、Bランクに降格しているドリアスとハンナもいる。
「予想以上に腑抜けだったぞ。ホスフォ殿一人を残して二人は逃げたそうだ。相手は三人魔族だが、一人は何故か裏切りにでもあったのか、既に致命傷を受けていたらしい。つまり、人族三人に対して魔族二人。この状態でAランカー二人は逃走したらしいぞ。そして結果は、ホスフォ殿が死亡。何故か逃げたAランカーも大怪我。確かにかなりの負傷だったな。一人は未だ動けないらしい」
「情けない・・・・・・」
誰が言ったのか、自分達の方が格上と無意識下で思っているので、今までの情けない行動についてはきれいさっぱり記憶の中から除去されている【勇者の館】。
「で、一人は魔術、一人は身体強化だそうだ。ある程度準備はしてきたが、これはアルゾナ王国の依頼でもあるからな。王国の費用で十分な装備を至急揃える事にしよう」
経費だと言い張れば、かなり高額な武具も手に入れる事ができる。
その後は、戦闘時に破壊したとか報酬の一部だと言い張れば使い続ける事ができると踏んでいる。
人族は武具・魔道具込みでのランクになるので、この機を逃さずに戦力上昇を画策しているルーカス。
非常に抜け目ない性格をしている。
「じゃあ行くぞ!」
早速町に繰り出し、高級そうな武具を扱っている店に向かう。
人々は最も信頼していた【鋭利な盾】が敗北して絶望していたところ、その代わりに国家を守るために来てくれている【勇者の館】については良く知っているので、羨望の眼差しで見られており、時折聞こえる称賛の声が耳に心地よい。
一般の民は【勇者の館】がどのような行動をしているか、そして各国家でどのように思われているかは知る由もない。
「これこそが、本来俺達がジャロリア王国で受けるべき賞賛、態度なのだがな・・・・・・」
機嫌がよさそうに呟きながら店に入っていくルーカス達は、笑みを浮かべている店主をよそに高価な武具を次々と収納袋にしまい込み、こう告げる。
「知っていると思うが、俺達【勇者の館】は国家の依頼でこのアルゾナ王国を守るべく活動している。今回、【鋭利な盾】を襲った魔族の詳細を聞いた結果、持ち込んだ武具では対処しきれない可能性が出たため、ここで補充させてもらう。経費は、王国に請求してくれ」
店主から見ればどう考えても魔族に対抗するのには不要な魔道具も含まれていたのだが、その様な事を言える立場でもない為、渋々首肯するしかなかった。
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