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1章:癒しを求めたはずが

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 という事で、今晩休む所をお借りした訳ですが…女性が泊るにはやはり女性の宿舎の方がいいだろうということで、カミルさんを紹介されて任されたのだけれど。

「くれぐれも、フェンデル様に惚れない様に」

 と、カミルさんに連れられて一通りの設備や場所を教えてもらい、寝る為の部屋へと案内されたらコレである。目つき鋭いんだけど、なんだろう。惚れるとでも思われているんだろうか。
 まあ、確かにカッコイイし、日本人は金髪碧眼に弱いというのもあって、ちょっとこう、ときめいたりも…なくはない。でも、日本に帰りたいし。
 ここの環境がそうなだけで、街にいけば違うかもしれないけど…トイレ事情とかね。お風呂事情とかね。そういうの考えるとちょっと。そして今お布団事情も追加されました。
 まずい、キャンプ道具戻してもらえないかな。だって、掛け布団…ただの布。夏とか暑い時なら分かる。冬程寒くないけどこれで眠れるのか…寒くないのか…寝袋だけでも欲しい。

「元の世界に戻れるというお話しでしたので、そういった事は」

 ご忠告ありがとうございます。とにこりと営業スマイルと共に言えば、それならいい。と言う。

「元の世界に帰るなら、この世界の人とは余り関わらない方がいい。夕食は持って来るからここで食べな」

 と言って出て行ってしまう。あーあれかな。門の人も言ってたけど…別れるのが嫌になって残る、とかあるのかな。…あるかもね。なんか会う人みんなよそよそしいというか、余り関わらないような雰囲気あるなと思ったら、そういう理由なのかも。
 それにしても…さっきの案内で食堂も説明されたけど、無しになってしまった。
 ちょっと学食みたいで楽しみだったんだけどな。おかずを選んだりは出来なくて、日替わりランチみたいに決まってるらしいけど。人によってはご飯大盛…とか、そういうのは可能らしい。

 さて。これからどうしようか。夕食の時間まで暇だなぁ。食事の準備の手伝いとかしようと思ったけど、なんだかそれもしないほうがよさそうだし。
 いやでも、一宿一飯のお礼として…いやいや、余計なことするなって言われるのがオチか?うーん。世界が違うからどうしたらいいのか。

「よし、悩むだけ無駄だ」

 うん、どうせ日本に戻るんだし。
 そう呟いて、ベッドへと座る。スプリングではなく、どうやら皮を張って寝床にしているらしい。ハンモックの皮版…えぇ、これ寒くないの?だいじょうぶなの?今の気温はちょうどいいけども。まあ、パジャマではないからいいのか。
 暇だな…ああ、会社への言い訳とか考えればいいのか。そうしよう。



 夕食を持ってくると言いつつ、持ってこないとかそういう意地悪があるわけでもなく、きちんとカミルさんが持って来てくれた。水差しも。

「食器はそのままでいい。明日朝食を持ってくるから、その時に貰う」
「ありがとうございます」
「夜は魔物も出る。くれぐれも門の外には出ない様に」
「はい、わかりました」

 魔物っていうのがなんなのか分からないけど、あのクマみたいなやつだと考えれば、大人しくしてるしかないでしょ。
 それだけ説明すると、じゃあ。と言って行ってしまう。機械的な接し方だけど、仕方ない。
 食べた食事は、パンにきのこと一緒に炒められた肉、なんとなくジャガイモっぽい芋が入ったスープだった。バランス悪そうだけど、キルギスさんが物資の輸送がどうとか言ってたからしょうがないのかな。
 …いや、バランス悪そうと思うのは私の知識が日本というか地球の知識しかないからかも。これで意外とバランス取れてるかもしれないし…まあ、なんにせよ日本に帰るまでの事だしね。

 あーでも、せっかく異世界に来たんだし、観光、じゃないけど、ちょっと色々見てみたかったな…
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