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第二部 第九章 初夜
初夜 6 R18
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手をつないで寝室に入った二人は、間接照明のみを付けた。ベッドサイドと天上に琥珀色の灯りが揺れる。
もう何も止めるものはない。悟空は玄奘の腰を抱きながらキスの雨を落とす。玄奘は夢中でそれを受けながら自分がいつの間にかベッドの上に押し倒されていることに気付いた。
バスローブの合わせ目から悟空の手が忍び込んでくる。先程も刺激された胸の突起はすでに充血しており、わずかな刺激を最大限に増幅して玄奘の脳天へと伝える。
「ぁあっん……んっ……ぁあっ……」
バスローブの帯は既に解けている。顕わになった腰を悟空は自分のものと密着させた。身体を揺らすと玄奘も腰を揺らしてくる。
「はぁああっ……ん……ぁあっん……ンあぁ……」
もう快楽を追求すると決めた玄奘は声を抑える様子もなく、悟空の耳元で甘い声で喘いでいる。
悟空は首筋へとキスを落としながらだんだんと身体をずらしていく。胸は丹念に舐めあげる。
「っあぁっ、ん……ん、気持ち良い……」
「……もっと感じてください」
悟空は舌で突起を何度も弾く。そのたびに玄奘の身体はびくんびくんと震える。身体をくねらせる様子は幻想的な人魚のようで、この世のものとは思えないほど美しかった。
「ぁあっ、はあぁあん……ん、んあぁっ、ん……ぅん、ご、ごく……」
玄奘は悟空の右手に指をぎゅっと絡めた。悟空も握り返す。
つないだ手から快楽だけではない確かな愛情が伝わり合う。悟空は玄奘の脇腹、下腹にもやわらかいキスを何度も落とした。衣装で隠れる部分には所有印もつけておく。
「玄奘、……すげえ綺麗です」
熱に浮かされた瞳で悟空は言った。
「ぁあっ、……ん…ン、ごくうも、ん……カッコい……」
ついに玄奘の股に顔を寄せた悟空は、それを口に含みながらもう一度穴に指を入れた。濡れる機能のない入口ではあるが、ローションと精液をふんだんに塗り込んだそこはすでに柔らかい。
さらに淫猥なことに悟空の指が進むたびに、ひくひくと誘うように動いてくる。
「っぁあっ、入ってる……」
「中、わかります?」
指をもぞりもぞり動かすと、玄奘の腰もついてくる。歌のハモりのようだと悟空は思った。悟空の指の奏でる音楽に玄奘がぴったりとついて来る。二人で快感という同じ曲に酔いしれるのだ。
「んぁああっ、ん……わかる……。もっと動かしても……いい」
悟空は玄奘の脚をこれ以上ないほど開かせて、たくさんの唾液をつけた舌で改めて入口を濡らした。指を入れながらわずかな隙間から中にも舌を巡らせる。
「ぁああっ、ん……だめ、だ……そんな、ところ……」
「玄奘、気持ち良くないですか?」
「んあぁアア……ん、ん、イイ……イイっ、けど……はあぁんっ、ぁあっ、だって……」
「なら、もっとします」
悟空は両手の指で左右に拡げた孔に、舌先をねじ込んだ。玄奘は未知の快感に腰を突きあげる。
「ぁあぁあッんン……ぁあっ」
悟空は指と舌で何度も中を刺激すると、再び玄奘は身体を大きく震わせて達した。
「ぁあっ……はぁ、んくぅ……はぁはぁ……」
玄奘の目は快楽でとろりと蕩けていた。
「玄奘、そのままぼーっとしていてくださいね。ゆっくり息をして……」
まるで手品のようにいつの間にか悟空のそれにはゴムが装着されている。悟空は仰向けになった玄奘の入口にそれをあてがい、ぬぷりと腰を進めた。
「ンんっ……ぁん……入ってくる……」
「痛くないですか?」
悟空はしかめ面で尋ねた。まだ少しずつ挿れている段階だというのに、すでに玄奘の中はうねりながら悟空のものに絡みついてくる。
「ん……違和感はあるが、んぁ……ふぅ……痛くはない」
さんざん悟空が時間をかけてほぐしたせいだろう。玄奘は痛みを感じてはいないようだ。比較的大きい悟空のそれだったがすっぽりと玄奘の中に納まった。
「全部……入りました」
とうとう玄奘と一つになったのだ。気持ちの高ぶった悟空は思いきり玄奘を抱きしめた。玄奘も悟空の背中に腕をまわしてくる。
「ぅん……嬉しい」
「おれもです」
二人は自然に口づけを交わした。唇を食みあいながらみじろぎをすると、密着した股間が少しずつ動いていく。玄奘の腰はわずかではあるがリズムを取って動き始めている。
「んぁん……んふぅ……」
「動かして……痛くないですか?」
「だいじょうぶだよ、悟空。ぁあっ、動くと気持ちいい。ん……もっと動いてほしい……」
「くっ……」
悟空は深い挿入のまま、小刻みに腰を揺らし始めた。玄奘は自分の中奥でずんずんとバスドラムのような振動が体中の性感帯を呼び覚ましてくるのを感じている。今までに体験したことのない輪郭のはっきりとした快感が体中をかけめぐる。
「ぁあっ、ん……んぁあああ…………ひゃあん……ンああぁっ」
「良いですか?」
「んあぁあっ、ぁんっ、……ごく、悟空……いっ……ぁああっ、きもちい……ぁん、もっと……」
推しのおねだりには必ず応えるのがオタクの務めである。悟空は腰のスピードを速めた。
「んっ、……ぁっ、くっ」
「あぁあっ、ん……ぁあっ」
「あ……」
「…………あったかいな……」
悟空はあっという間に果ててしまった。玄奘は中で悟空の精液を感じている。もちろん玄奘はまだ満足していない。
悟空は冷や汗をかいて言い訳をした。
「すいません。おれ、早漏じゃないはずなんですけど、玄奘とすると……その、すごく気持ち良くて……」
「謝らなくていい。悟空が気持ち良くなってくれるの、嬉しいよ」
とりなすような玄奘のことばに、悟空は焦る。性的経験の少ない、七つも年下の恋人に気を遣われてしまっては大人の立つ瀬がない。
「……まだ痛くなければ、もう一回、してもいいですか」
「うん」
玄奘は満面の笑みで頷いた。悟空は力のなくなったそれを一度抜いた。
「ん……ぁあん……抜くときも……気持ちがいい……というか、名残惜しい気持ちになるな……」
「そんなこと言わないでください。また興奮して出ちまいます」
「もう一回入れるためには勃たたせねばな。もう一度舐めようか?」
玄奘が顔を近づけた瞬間、悟空のそれはむくっと頭をもたげた。
悟空は恥ずかしくて顔を隠す。玄奘はふふふと笑った。
「まだ舐めてないのに、……もう勃ったね」
「それくらいおれは、あなたに夢中なんですよ」
「私もだよ」
キスをしながら悟空は光の速さでゴムをつけた。今度は座ったまま、その上に玄奘を跨らせるようにする。
「腰を落としていけばいいのか?」
「ええ、おれが場所と角度を調整しますから」
悟空が支えるそれの上に玄奘の尻が降りてくる。まるで快感の大宇宙に包まれるような感覚に悟空の神経は発火しそうになる。
今度こそは玄奘を満足させねばならない。悟空は息を詰めた。
「んふぅ……入った……んっ、気持ちいいな」
玄奘は腕も脚も悟空の身体に巻き付けてくる。
「しばらくこうしときます?」
悟空としては玄奘の一番そばにいられるこの時間が永遠に続けばいいのにと考えている。すぐに達してしまう自分の身体が恨めしくもある。
「そうだね……あったかいな」
二人は身体を密着させながら舌を絡めあった。悟空は童貞ではないが、こんなに幸せでこんなに満足感のあるセックスをしたのは初めてだった。玄奘のすべてが愛おしい。この人のためになんでもしてあげたくなる。
「ぁあん……ン…」
悟空はキスをしながら玄奘の赤くなっている耳を触った。感じやすい玄奘の快感はすぐに高まる。
「んぁあ……キスが気持ち良くて……揺れたくなってしまうな」
玄奘は足をベッドにつけて自分で上下に揺れ始めた。いやらしい腰と脚の動きに悟空の目は引きつけられる。玄奘は中を擦られる快感に確実に目覚めていた。
「ぁあっ、ん……はぁあアン……ひゃあっ、ん……んン……」
悟空は玄奘の尻を持ち上げてやり体重を支えてやる。さらに玄奘の良いところに当たるように調整して自分も腰を動かした。
「んっん、ああっ」
「んぁあっ、ひゃああんン……んああっ、ぁああっ、ン、イ、いい……ぁあん」
悟空は玄奘の尻を自分の腰骨にたたきつけるように激しく動かす。嬌声の合間に玄奘は悟空の両頬を抑え込んで深いキスをしてくる。
「んぁああっ、んぁあっ、ん、ぁアアんっ……ん、ああ、イく、……ん」
「おれも……玄奘、一緒に……」
「ぁあん、なぁあん……ん、ご、ごく……ごく、イく、ぁあん、イく、んぁああああ、イくぁああああああっ」
突き抜けるような快感の渦に巻き込まれながら、二人はこれ以上ないほど強く抱きしめあった。
「今までの彼にもこんなに情熱的にしていたのか?」
玄奘は悟空の首に巻き付けた腕を離さずに言った。今日自分にしてくれたように、過去の悟空が優しく誰かを抱いたのかと思うと、玄奘の中で何かひりつく痛みを感じる。玄奘の中に初めて明確な嫉妬という感情が芽生えているのだ。唇がふれそうな距離で尋ねると、珍しく悟空は照れた表情で目をそらした。
「いえ、……どちらかというと、おれは淡白で……それを理由にフラれたこともあります」
「そうなのか?」
「こんなにだれかを欲しいと思ったのは初めてです。こんな年になってがっつくの、恥ずかしいですけど」
「そんなことないよ」
玄奘は悟空の髪を撫でた。年上なのに敬語を使ってくれ、自分のために誠心誠意尽くしてくれるこの恋人のことを玄奘はもう手放すことはできないと確信していた。
離れそうになる悟空の腰を玄奘は脚を巻きつけて抑えた。
「なぁ……もう一回……しよう」
玄奘は精一杯の色気を込めて誘ったつもりだったが、悟空は眉を寄せた。この男は性欲よりも玄奘の身体の心配の方が先に立つのである。
「初めてなのに無理したらあとで痛くなるかもしれないですよ」
「悟空がたくさんほぐしてくれたからだいじょうぶ」
「本当ですかね」
「なぁ……悟空とずっとしたかった。まだ足りない」
「それはおれだって……そうですけど」
「もっと……しよう?」
巻きつけた脚にぎゅっと力を入れながら腰を軽く揺らしてみる。自分の会陰に悟空のそれが当たっているのがわかる。
「……ちっ、あおらないでください。優しくしたいんですから」
悔しそうに言いながら、悟空は再び玄奘に覆いかぶさった。
何度も二人で達したあと、玄奘はシーツに包まって今更ながらに顔を隠しながら言った。そろそろ眠気に誘われて瞼が重くなってきている。ぼんやりとした頭だからこそ告白できることがある。
「初めてしたキスのことを覚えているか?」
「恋人のふりをすることになって、練習をしようと玄奘が言ったときのことですか?」
「いや……そうではなくて、私が酔って……悟空が抱えて帰って来てくれたときの……」
「あのすぐに寝てしまったやつですよね?玄奘はてっきり覚えてないものと思ってたんですが……」
玄奘は恥ずかしそうに頷いた。
「あのときは、自分でもなぜ悟空にキスをしたのかわからなくて……。でも、初めて悟空の唇に自分の唇でふれたときに、すごく安心して、気持ち良くて……。もっとしたくなって……。だから恋人ごっこの提案が出た時にすぐに了承したのだ。今から考えれば、自分で自覚するずっと前から悟空のことが好きだったのだと思う。たぶん前世からずっと」
悟空は胸がぎゅっとなった。その気持ちのまま、玄奘を抱きしめる。そして言った。
「今度の休み、一緒に買い物に行きませんか?」
「いいよ、何を買う?」
悟空は玄奘の指にそっと指を絡ませて頼んだ。
「指輪を買っても……いいですか?」
「お揃いの?」
悟空は黙って頷いてから、言い訳をするように言った。
「仕事の時は基本つけられないと思うんですけど、なんなら玄奘だけでもつけておいてもらえると……おれが安心できるというか……」
玄奘はくすっと笑った。
「どの指につけたらいい?」
悟空は指の周径を図るように左手の薬指にふれた。
「あの……ここに」
「いいよ、買いに行こう」
玄奘は悟空の唇についばむようなキスをした。そして悟空の腕の中で目を閉じた。
もう何も止めるものはない。悟空は玄奘の腰を抱きながらキスの雨を落とす。玄奘は夢中でそれを受けながら自分がいつの間にかベッドの上に押し倒されていることに気付いた。
バスローブの合わせ目から悟空の手が忍び込んでくる。先程も刺激された胸の突起はすでに充血しており、わずかな刺激を最大限に増幅して玄奘の脳天へと伝える。
「ぁあっん……んっ……ぁあっ……」
バスローブの帯は既に解けている。顕わになった腰を悟空は自分のものと密着させた。身体を揺らすと玄奘も腰を揺らしてくる。
「はぁああっ……ん……ぁあっん……ンあぁ……」
もう快楽を追求すると決めた玄奘は声を抑える様子もなく、悟空の耳元で甘い声で喘いでいる。
悟空は首筋へとキスを落としながらだんだんと身体をずらしていく。胸は丹念に舐めあげる。
「っあぁっ、ん……ん、気持ち良い……」
「……もっと感じてください」
悟空は舌で突起を何度も弾く。そのたびに玄奘の身体はびくんびくんと震える。身体をくねらせる様子は幻想的な人魚のようで、この世のものとは思えないほど美しかった。
「ぁあっ、はあぁあん……ん、んあぁっ、ん……ぅん、ご、ごく……」
玄奘は悟空の右手に指をぎゅっと絡めた。悟空も握り返す。
つないだ手から快楽だけではない確かな愛情が伝わり合う。悟空は玄奘の脇腹、下腹にもやわらかいキスを何度も落とした。衣装で隠れる部分には所有印もつけておく。
「玄奘、……すげえ綺麗です」
熱に浮かされた瞳で悟空は言った。
「ぁあっ、……ん…ン、ごくうも、ん……カッコい……」
ついに玄奘の股に顔を寄せた悟空は、それを口に含みながらもう一度穴に指を入れた。濡れる機能のない入口ではあるが、ローションと精液をふんだんに塗り込んだそこはすでに柔らかい。
さらに淫猥なことに悟空の指が進むたびに、ひくひくと誘うように動いてくる。
「っぁあっ、入ってる……」
「中、わかります?」
指をもぞりもぞり動かすと、玄奘の腰もついてくる。歌のハモりのようだと悟空は思った。悟空の指の奏でる音楽に玄奘がぴったりとついて来る。二人で快感という同じ曲に酔いしれるのだ。
「んぁああっ、ん……わかる……。もっと動かしても……いい」
悟空は玄奘の脚をこれ以上ないほど開かせて、たくさんの唾液をつけた舌で改めて入口を濡らした。指を入れながらわずかな隙間から中にも舌を巡らせる。
「ぁああっ、ん……だめ、だ……そんな、ところ……」
「玄奘、気持ち良くないですか?」
「んあぁアア……ん、ん、イイ……イイっ、けど……はあぁんっ、ぁあっ、だって……」
「なら、もっとします」
悟空は両手の指で左右に拡げた孔に、舌先をねじ込んだ。玄奘は未知の快感に腰を突きあげる。
「ぁあぁあッんン……ぁあっ」
悟空は指と舌で何度も中を刺激すると、再び玄奘は身体を大きく震わせて達した。
「ぁあっ……はぁ、んくぅ……はぁはぁ……」
玄奘の目は快楽でとろりと蕩けていた。
「玄奘、そのままぼーっとしていてくださいね。ゆっくり息をして……」
まるで手品のようにいつの間にか悟空のそれにはゴムが装着されている。悟空は仰向けになった玄奘の入口にそれをあてがい、ぬぷりと腰を進めた。
「ンんっ……ぁん……入ってくる……」
「痛くないですか?」
悟空はしかめ面で尋ねた。まだ少しずつ挿れている段階だというのに、すでに玄奘の中はうねりながら悟空のものに絡みついてくる。
「ん……違和感はあるが、んぁ……ふぅ……痛くはない」
さんざん悟空が時間をかけてほぐしたせいだろう。玄奘は痛みを感じてはいないようだ。比較的大きい悟空のそれだったがすっぽりと玄奘の中に納まった。
「全部……入りました」
とうとう玄奘と一つになったのだ。気持ちの高ぶった悟空は思いきり玄奘を抱きしめた。玄奘も悟空の背中に腕をまわしてくる。
「ぅん……嬉しい」
「おれもです」
二人は自然に口づけを交わした。唇を食みあいながらみじろぎをすると、密着した股間が少しずつ動いていく。玄奘の腰はわずかではあるがリズムを取って動き始めている。
「んぁん……んふぅ……」
「動かして……痛くないですか?」
「だいじょうぶだよ、悟空。ぁあっ、動くと気持ちいい。ん……もっと動いてほしい……」
「くっ……」
悟空は深い挿入のまま、小刻みに腰を揺らし始めた。玄奘は自分の中奥でずんずんとバスドラムのような振動が体中の性感帯を呼び覚ましてくるのを感じている。今までに体験したことのない輪郭のはっきりとした快感が体中をかけめぐる。
「ぁあっ、ん……んぁあああ…………ひゃあん……ンああぁっ」
「良いですか?」
「んあぁあっ、ぁんっ、……ごく、悟空……いっ……ぁああっ、きもちい……ぁん、もっと……」
推しのおねだりには必ず応えるのがオタクの務めである。悟空は腰のスピードを速めた。
「んっ、……ぁっ、くっ」
「あぁあっ、ん……ぁあっ」
「あ……」
「…………あったかいな……」
悟空はあっという間に果ててしまった。玄奘は中で悟空の精液を感じている。もちろん玄奘はまだ満足していない。
悟空は冷や汗をかいて言い訳をした。
「すいません。おれ、早漏じゃないはずなんですけど、玄奘とすると……その、すごく気持ち良くて……」
「謝らなくていい。悟空が気持ち良くなってくれるの、嬉しいよ」
とりなすような玄奘のことばに、悟空は焦る。性的経験の少ない、七つも年下の恋人に気を遣われてしまっては大人の立つ瀬がない。
「……まだ痛くなければ、もう一回、してもいいですか」
「うん」
玄奘は満面の笑みで頷いた。悟空は力のなくなったそれを一度抜いた。
「ん……ぁあん……抜くときも……気持ちがいい……というか、名残惜しい気持ちになるな……」
「そんなこと言わないでください。また興奮して出ちまいます」
「もう一回入れるためには勃たたせねばな。もう一度舐めようか?」
玄奘が顔を近づけた瞬間、悟空のそれはむくっと頭をもたげた。
悟空は恥ずかしくて顔を隠す。玄奘はふふふと笑った。
「まだ舐めてないのに、……もう勃ったね」
「それくらいおれは、あなたに夢中なんですよ」
「私もだよ」
キスをしながら悟空は光の速さでゴムをつけた。今度は座ったまま、その上に玄奘を跨らせるようにする。
「腰を落としていけばいいのか?」
「ええ、おれが場所と角度を調整しますから」
悟空が支えるそれの上に玄奘の尻が降りてくる。まるで快感の大宇宙に包まれるような感覚に悟空の神経は発火しそうになる。
今度こそは玄奘を満足させねばならない。悟空は息を詰めた。
「んふぅ……入った……んっ、気持ちいいな」
玄奘は腕も脚も悟空の身体に巻き付けてくる。
「しばらくこうしときます?」
悟空としては玄奘の一番そばにいられるこの時間が永遠に続けばいいのにと考えている。すぐに達してしまう自分の身体が恨めしくもある。
「そうだね……あったかいな」
二人は身体を密着させながら舌を絡めあった。悟空は童貞ではないが、こんなに幸せでこんなに満足感のあるセックスをしたのは初めてだった。玄奘のすべてが愛おしい。この人のためになんでもしてあげたくなる。
「ぁあん……ン…」
悟空はキスをしながら玄奘の赤くなっている耳を触った。感じやすい玄奘の快感はすぐに高まる。
「んぁあ……キスが気持ち良くて……揺れたくなってしまうな」
玄奘は足をベッドにつけて自分で上下に揺れ始めた。いやらしい腰と脚の動きに悟空の目は引きつけられる。玄奘は中を擦られる快感に確実に目覚めていた。
「ぁあっ、ん……はぁあアン……ひゃあっ、ん……んン……」
悟空は玄奘の尻を持ち上げてやり体重を支えてやる。さらに玄奘の良いところに当たるように調整して自分も腰を動かした。
「んっん、ああっ」
「んぁあっ、ひゃああんン……んああっ、ぁああっ、ン、イ、いい……ぁあん」
悟空は玄奘の尻を自分の腰骨にたたきつけるように激しく動かす。嬌声の合間に玄奘は悟空の両頬を抑え込んで深いキスをしてくる。
「んぁああっ、んぁあっ、ん、ぁアアんっ……ん、ああ、イく、……ん」
「おれも……玄奘、一緒に……」
「ぁあん、なぁあん……ん、ご、ごく……ごく、イく、ぁあん、イく、んぁああああ、イくぁああああああっ」
突き抜けるような快感の渦に巻き込まれながら、二人はこれ以上ないほど強く抱きしめあった。
「今までの彼にもこんなに情熱的にしていたのか?」
玄奘は悟空の首に巻き付けた腕を離さずに言った。今日自分にしてくれたように、過去の悟空が優しく誰かを抱いたのかと思うと、玄奘の中で何かひりつく痛みを感じる。玄奘の中に初めて明確な嫉妬という感情が芽生えているのだ。唇がふれそうな距離で尋ねると、珍しく悟空は照れた表情で目をそらした。
「いえ、……どちらかというと、おれは淡白で……それを理由にフラれたこともあります」
「そうなのか?」
「こんなにだれかを欲しいと思ったのは初めてです。こんな年になってがっつくの、恥ずかしいですけど」
「そんなことないよ」
玄奘は悟空の髪を撫でた。年上なのに敬語を使ってくれ、自分のために誠心誠意尽くしてくれるこの恋人のことを玄奘はもう手放すことはできないと確信していた。
離れそうになる悟空の腰を玄奘は脚を巻きつけて抑えた。
「なぁ……もう一回……しよう」
玄奘は精一杯の色気を込めて誘ったつもりだったが、悟空は眉を寄せた。この男は性欲よりも玄奘の身体の心配の方が先に立つのである。
「初めてなのに無理したらあとで痛くなるかもしれないですよ」
「悟空がたくさんほぐしてくれたからだいじょうぶ」
「本当ですかね」
「なぁ……悟空とずっとしたかった。まだ足りない」
「それはおれだって……そうですけど」
「もっと……しよう?」
巻きつけた脚にぎゅっと力を入れながら腰を軽く揺らしてみる。自分の会陰に悟空のそれが当たっているのがわかる。
「……ちっ、あおらないでください。優しくしたいんですから」
悔しそうに言いながら、悟空は再び玄奘に覆いかぶさった。
何度も二人で達したあと、玄奘はシーツに包まって今更ながらに顔を隠しながら言った。そろそろ眠気に誘われて瞼が重くなってきている。ぼんやりとした頭だからこそ告白できることがある。
「初めてしたキスのことを覚えているか?」
「恋人のふりをすることになって、練習をしようと玄奘が言ったときのことですか?」
「いや……そうではなくて、私が酔って……悟空が抱えて帰って来てくれたときの……」
「あのすぐに寝てしまったやつですよね?玄奘はてっきり覚えてないものと思ってたんですが……」
玄奘は恥ずかしそうに頷いた。
「あのときは、自分でもなぜ悟空にキスをしたのかわからなくて……。でも、初めて悟空の唇に自分の唇でふれたときに、すごく安心して、気持ち良くて……。もっとしたくなって……。だから恋人ごっこの提案が出た時にすぐに了承したのだ。今から考えれば、自分で自覚するずっと前から悟空のことが好きだったのだと思う。たぶん前世からずっと」
悟空は胸がぎゅっとなった。その気持ちのまま、玄奘を抱きしめる。そして言った。
「今度の休み、一緒に買い物に行きませんか?」
「いいよ、何を買う?」
悟空は玄奘の指にそっと指を絡ませて頼んだ。
「指輪を買っても……いいですか?」
「お揃いの?」
悟空は黙って頷いてから、言い訳をするように言った。
「仕事の時は基本つけられないと思うんですけど、なんなら玄奘だけでもつけておいてもらえると……おれが安心できるというか……」
玄奘はくすっと笑った。
「どの指につけたらいい?」
悟空は指の周径を図るように左手の薬指にふれた。
「あの……ここに」
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