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 第41話:いえ。救世主様はここにいます。

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 扉のノック音。
「モランです」
「入れ」
 ライツが握っていた愛那の手をそっと離す。
 開いた扉からモランと騎士姿の女。
「お呼びとのことですが」
「ああ。ナチェル。大事な話がある。そこに座ってくれ」
 ライツの言葉通りにナチェルは「失礼します」と言って正面のソファへと座った。
 モランはハリアスの隣へ並ぶ。
(うわあ、女騎士様だ! クリーム色の髪にベージュの瞳。キリッとした美人さんだぁ)
 初対面に緊張する愛那だが、その対面相手はもちろん愛那には気づいていない。
「まず、今日城の神殿で異世界召喚が行われた」
「はい。影から聞いております。救世主様が行方不明となり、城中が大騒ぎだったとか」
(・・・・・・影って何!? 隠密のこと!?)
 愛那はそう訊いてみたいが、我慢して口の前に指でバッテンを作る。 
「そうだ。そこで俺が救世主様の捜索を任された」
「そのライツ様がここにいらっしゃるということは、救世主様が見つかったということですか?」
「ああ」
「では、今救世主様はお城に?」
(いえ。救世主様はここにいます)
 バッテンを作ったままの愛那。
「いや・・・・・・」
 ライツの返答にナチェルが首を傾ける。
「どういうことでしょうか?」
「うん・・・・・・」
 そこで会話を途切れさせる扉のノック音。
「軽食をお持ちしました」
「ああ、ありがとう。モラン、扉を」
「はい」
 モランが扉を開いて召し使いを招き入れる。
 ワゴンに乗せられた飲み物とサンドイッチ。
 それがライツの目の前のテーブルへと置かれる。
 召し使いが一礼して部屋から去ると、ライツは置かれた飲み物とサンドイッチの皿を横へとずらした。
「?」
 ナチェルの怪訝そうな顔。
「ナチェル。驚かせてすまないと先に言っておく」
「は?」
 ライツはそう断ってから隣の愛那へと声をかける。
「マナ、食べてくれ。君の口に合うといいが」


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