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第93話:胸のむかつき
しおりを挟む(あぁ・・・・・・これが嫉妬というやつね)
愛那がギュッと目を瞑り拳を胸へと押し当てる。
(恋人じゃないんだからそんな権利、私にはない。だけど、嫌だって言いたい。あの優しい笑顔を他の女の子に見せたりしないで欲しい)
「ライツ様は・・・・・・優しいから女の子達が期待しちゃうんでしょうね」
(そう。あの格好良さで! 家柄も良くて! 女の子に優しいってどういうこと!? もう! そんなの女の子がコロッといくに決まってるじゃない! 私なんか家柄なんか関係なくコロッよ!)
「優しい? ライツ様がですか?」
「え?」
ナチェルの声に愛那がまぶたを開く。
「学生時代、私はライツ様に振られてたり冷たくされたりして傷つかれたお嬢様方をたくさんお慰めしてまいりました」
どこか遠いところを見つめながらナチェルが微笑を浮かべている。
「え?」
視線を愛那に戻したナチェルの瞳が優しく微笑む。
「ライツ様のあの優しくて甘い表情はマナ様だけに見せるものですよ? マナ様が特別なんです。私もモランも初めて見たときは驚いたくらいです」
「そう・・・・・・なんですか?」
(それは・・・・・・嬉しい、な。私だけ? 本当に? 優しくて甘いライツ様が? え? 冷たいライツ様なんて想像出来ないけど。・・・・・・素直に喜んでいいのかな? ん? あれ? 胸のむかつきが治まってる。あははは。・・・・・・ああ、でもそれってようするに)
「つまり、それって・・・・・・」
「ええ」
「ライツ様が私の保護者だから・・・・・・。救世主特権ってやつですね」
「・・・・・・」
愛那が笑顔を作ってそう言うと、ナチェルは微妙な顔をして首を傾げた。
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