プレアデスは遥か彼方(2025.10.5完)

継永乃々佳@J庭59ぬ11b

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7章 初めての人

初めての人#3※R18

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「……あの時、りっちゃんに気付かれても良いって思ってた。ていうか、気付いて欲しかった。僕の気持ちは友情じゃないんだって、はっきりさせて、諦めたかった。……だけど、起こしたりは出来なくて、無理矢理もっとするとかも、出来なくて。結局『はっきりさせたところでどうせ諦められない』って諦めて――情けなくて臆病で、カッコ悪いよね」
 そう言って自嘲する昴に、ちゅっ、と軽く口づけて頬を緩める。

「あの時、僕はもう、昴のことが好きだった。だから、このまま起きて……それで、キスして、応えてやりたいって思ったよ。僕が起きて、キスして、もし応えてたら……どうなってたんだろうね? 大学院を卒業した後、銀行に入るのは辞めて、家と縁を断って……昴と一緒に、世界中旅してたかな」
「もっと早く応えてほしかったなんて言わない、って言ったでしょ。今こうして、りっちゃんが僕の腕の中に居てくれることがすっごく幸せ。過ぎたことはもう、良くて……君との、これからを考えたい」
「昴、また泣きそうな顔してる。僕、昴のこと沢山悲しませちゃったよね。だから、これからは悲しい思いなんてさせない。絶対幸せにして、笑顔にするって誓う。僕は、昴の笑った顏が一番好き」
 昴は余計泣きそうな表情を浮かべてくしゃっと笑う。

「やっぱり、りっちゃんには勝てないなぁ……綺麗で可愛いのに、カッコよくて狡い。もしかしたら僕を選んだせいで悲しい思いをしたりするかもしれないけど……もし悲しい思いをしても、僕が絶対笑顔にする。りっちゃんの全部が大好きだけど、ひとつ選ぶなら、笑顔が一番好きだなって思うよ。世界で一番、幸せにしたい。幸せにするって、僕も誓うね」
「大丈夫だよ。僕は今、世界で一番幸せだからね。昴の手を取るって決めたら、気が楽になった。開き直った、とも言うかな」
 そう言って昴の髪を撫で、触れるだけのキスをして笑みを向ける。対する昴は、目尻に涙を溜めていた。理月は「しょうがないな」と笑って言い、昴の頭を引き寄せ抱き締めた。

「やっぱり、今日はこのまま寝ちゃおうか? それとも、エッチなことしたい?」
「したい~……」
 情けない顔で見つめられて、可愛いな、と思い目を細める。こんな可愛い顔しておいて、抱きたいと思ってるんだなあ、と思うとなんだかぞくりとした。昴は理月をどうしたいのか、そう考えるだけで鼓動が速まる。

「……なら、ほら、泣き止んで。なんでも、昴の好きなようにして良いよ。昴の好きにされたい」
「はぁ……煽らないで。我慢出来なくなる」
「我慢なんて、もうしなくて良い。遠慮もしないで。身体でも、昴を沢山感じたい」
「……りっちゃん、エッチすぎる」
 今度は真っ赤な顔で見つめられ、ククッと小さく笑う。昴は笑いを遮るように、理月の口唇に口づけた。甘ったるく舌を絡めながら、横並びで抱き合う体勢から昴が理月の上に覆い被さる体勢に変わる。

「んぅ……ん……っ幻滅した……? 清廉潔白じゃない、だろ……」
「僕の前でだけエッチなのは、大歓迎。他の誰かには絶対、こんな顔見せてほしくないけどね」
 頬に左手を添えられて、舌を絡められ、理月からも絡め返す。片方ずつ足を左右に大きく開かれた。昴は両足の間を開けた正座のような形で座り、理月の両足の下に膝を差し込んでくる。尻にぴとりと昴の腰が宛てがわれ、怒張した昴のそれが尻に当たる。布越しにぐりぐりと押し当てられるだけでも腰がびくりと跳ねて、甘く痺れた。
「はぁっ……ン……、昴も、こういう顏は……僕の前だけにして」
 琥珀色をした昴の瞳は熱っぽく欲を孕んでいて、理月の顔だけを映していた。理月の瞳に映るのも昴の顔だけで――多分、昴と同じように欲に蕩けて熱を帯びている。

「……クレシェンドーリの広告見た時、ちょっとだけ妬いた。今僕に向けてる目と、おんなじ目をしてたから」
「ごめんね。嫌な気持ちにさせちゃった?」
 理月がツンと少し口唇を尖らせると、昴は眉を下げて目を細め、理月の髪を右手で撫でる。昴の手は大きくて、優しくて心地良い。
「嫌な訳じゃないよ。昴、ほんとに有名になったなって、誇らしく思ったし。ただ、この顏してる昴は僕だけが知ってたのに、沢山の人に知られちゃったなって……、ただのヤキモチ」
 くすっと笑い、理月は昴の頭を引き寄せてちゅっと口唇にキスをする。

「ヤキモチって、なんか……嬉しいな~……感慨深い……ちなみに、モデルの仕事他からも誘われてるんだけど、どう思う?」
「そんなの、受けなよって言うに決まってる。僕は昴の演奏が好きだけど、昴の演奏に興味を持つキッカケは何だって良いと思うし……ピアノはよく分からないけど昴本人の人柄が好きっていう応援の仕方も、別に良いだろうし。まあ昴のファンを名乗るからにはちゃんとピアノ聴けよって思うけど……」
 はにかんだ昴に向けて理月は口角を上げたけれど、話していくうちに段々と口がへの字に曲がっていく。そんな理月を見て昴は笑みを浮かべた。
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