45 / 60
7章 初めての人
初めての人#3※R18
しおりを挟む
「……あの時、りっちゃんに気付かれても良いって思ってた。ていうか、気付いて欲しかった。僕の気持ちは友情じゃないんだって、はっきりさせて、諦めたかった。……だけど、起こしたりは出来なくて、無理矢理もっとするとかも、出来なくて。結局『はっきりさせたところでどうせ諦められない』って諦めて――情けなくて臆病で、カッコ悪いよね」
そう言って自嘲する昴に、ちゅっ、と軽く口づけて頬を緩める。
「あの時、僕はもう、昴のことが好きだった。だから、このまま起きて……それで、キスして、応えてやりたいって思ったよ。僕が起きて、キスして、もし応えてたら……どうなってたんだろうね? 大学院を卒業した後、銀行に入るのは辞めて、家と縁を断って……昴と一緒に、世界中旅してたかな」
「もっと早く応えてほしかったなんて言わない、って言ったでしょ。今こうして、りっちゃんが僕の腕の中に居てくれることがすっごく幸せ。過ぎたことはもう、良くて……君との、これからを考えたい」
「昴、また泣きそうな顔してる。僕、昴のこと沢山悲しませちゃったよね。だから、これからは悲しい思いなんてさせない。絶対幸せにして、笑顔にするって誓う。僕は、昴の笑った顏が一番好き」
昴は余計泣きそうな表情を浮かべてくしゃっと笑う。
「やっぱり、りっちゃんには勝てないなぁ……綺麗で可愛いのに、カッコよくて狡い。もしかしたら僕を選んだせいで悲しい思いをしたりするかもしれないけど……もし悲しい思いをしても、僕が絶対笑顔にする。りっちゃんの全部が大好きだけど、ひとつ選ぶなら、笑顔が一番好きだなって思うよ。世界で一番、幸せにしたい。幸せにするって、僕も誓うね」
「大丈夫だよ。僕は今、世界で一番幸せだからね。昴の手を取るって決めたら、気が楽になった。開き直った、とも言うかな」
そう言って昴の髪を撫で、触れるだけのキスをして笑みを向ける。対する昴は、目尻に涙を溜めていた。理月は「しょうがないな」と笑って言い、昴の頭を引き寄せ抱き締めた。
「やっぱり、今日はこのまま寝ちゃおうか? それとも、エッチなことしたい?」
「したい~……」
情けない顔で見つめられて、可愛いな、と思い目を細める。こんな可愛い顔しておいて、抱きたいと思ってるんだなあ、と思うとなんだかぞくりとした。昴は理月をどうしたいのか、そう考えるだけで鼓動が速まる。
「……なら、ほら、泣き止んで。なんでも、昴の好きなようにして良いよ。昴の好きにされたい」
「はぁ……煽らないで。我慢出来なくなる」
「我慢なんて、もうしなくて良い。遠慮もしないで。身体でも、昴を沢山感じたい」
「……りっちゃん、エッチすぎる」
今度は真っ赤な顔で見つめられ、ククッと小さく笑う。昴は笑いを遮るように、理月の口唇に口づけた。甘ったるく舌を絡めながら、横並びで抱き合う体勢から昴が理月の上に覆い被さる体勢に変わる。
「んぅ……ん……っ幻滅した……? 清廉潔白じゃない、だろ……」
「僕の前でだけエッチなのは、大歓迎。他の誰かには絶対、こんな顔見せてほしくないけどね」
頬に左手を添えられて、舌を絡められ、理月からも絡め返す。片方ずつ足を左右に大きく開かれた。昴は両足の間を開けた正座のような形で座り、理月の両足の下に膝を差し込んでくる。尻にぴとりと昴の腰が宛てがわれ、怒張した昴のそれが尻に当たる。布越しにぐりぐりと押し当てられるだけでも腰がびくりと跳ねて、甘く痺れた。
「はぁっ……ン……、昴も、こういう顏は……僕の前だけにして」
琥珀色をした昴の瞳は熱っぽく欲を孕んでいて、理月の顔だけを映していた。理月の瞳に映るのも昴の顔だけで――多分、昴と同じように欲に蕩けて熱を帯びている。
「……クレシェンドーリの広告見た時、ちょっとだけ妬いた。今僕に向けてる目と、おんなじ目をしてたから」
「ごめんね。嫌な気持ちにさせちゃった?」
理月がツンと少し口唇を尖らせると、昴は眉を下げて目を細め、理月の髪を右手で撫でる。昴の手は大きくて、優しくて心地良い。
「嫌な訳じゃないよ。昴、ほんとに有名になったなって、誇らしく思ったし。ただ、この顏してる昴は僕だけが知ってたのに、沢山の人に知られちゃったなって……、ただのヤキモチ」
くすっと笑い、理月は昴の頭を引き寄せてちゅっと口唇にキスをする。
「ヤキモチって、なんか……嬉しいな~……感慨深い……ちなみに、モデルの仕事他からも誘われてるんだけど、どう思う?」
「そんなの、受けなよって言うに決まってる。僕は昴の演奏が好きだけど、昴の演奏に興味を持つキッカケは何だって良いと思うし……ピアノはよく分からないけど昴本人の人柄が好きっていう応援の仕方も、別に良いだろうし。まあ昴のファンを名乗るからにはちゃんとピアノ聴けよって思うけど……」
はにかんだ昴に向けて理月は口角を上げたけれど、話していくうちに段々と口がへの字に曲がっていく。そんな理月を見て昴は笑みを浮かべた。
そう言って自嘲する昴に、ちゅっ、と軽く口づけて頬を緩める。
「あの時、僕はもう、昴のことが好きだった。だから、このまま起きて……それで、キスして、応えてやりたいって思ったよ。僕が起きて、キスして、もし応えてたら……どうなってたんだろうね? 大学院を卒業した後、銀行に入るのは辞めて、家と縁を断って……昴と一緒に、世界中旅してたかな」
「もっと早く応えてほしかったなんて言わない、って言ったでしょ。今こうして、りっちゃんが僕の腕の中に居てくれることがすっごく幸せ。過ぎたことはもう、良くて……君との、これからを考えたい」
「昴、また泣きそうな顔してる。僕、昴のこと沢山悲しませちゃったよね。だから、これからは悲しい思いなんてさせない。絶対幸せにして、笑顔にするって誓う。僕は、昴の笑った顏が一番好き」
昴は余計泣きそうな表情を浮かべてくしゃっと笑う。
「やっぱり、りっちゃんには勝てないなぁ……綺麗で可愛いのに、カッコよくて狡い。もしかしたら僕を選んだせいで悲しい思いをしたりするかもしれないけど……もし悲しい思いをしても、僕が絶対笑顔にする。りっちゃんの全部が大好きだけど、ひとつ選ぶなら、笑顔が一番好きだなって思うよ。世界で一番、幸せにしたい。幸せにするって、僕も誓うね」
「大丈夫だよ。僕は今、世界で一番幸せだからね。昴の手を取るって決めたら、気が楽になった。開き直った、とも言うかな」
そう言って昴の髪を撫で、触れるだけのキスをして笑みを向ける。対する昴は、目尻に涙を溜めていた。理月は「しょうがないな」と笑って言い、昴の頭を引き寄せ抱き締めた。
「やっぱり、今日はこのまま寝ちゃおうか? それとも、エッチなことしたい?」
「したい~……」
情けない顔で見つめられて、可愛いな、と思い目を細める。こんな可愛い顔しておいて、抱きたいと思ってるんだなあ、と思うとなんだかぞくりとした。昴は理月をどうしたいのか、そう考えるだけで鼓動が速まる。
「……なら、ほら、泣き止んで。なんでも、昴の好きなようにして良いよ。昴の好きにされたい」
「はぁ……煽らないで。我慢出来なくなる」
「我慢なんて、もうしなくて良い。遠慮もしないで。身体でも、昴を沢山感じたい」
「……りっちゃん、エッチすぎる」
今度は真っ赤な顔で見つめられ、ククッと小さく笑う。昴は笑いを遮るように、理月の口唇に口づけた。甘ったるく舌を絡めながら、横並びで抱き合う体勢から昴が理月の上に覆い被さる体勢に変わる。
「んぅ……ん……っ幻滅した……? 清廉潔白じゃない、だろ……」
「僕の前でだけエッチなのは、大歓迎。他の誰かには絶対、こんな顔見せてほしくないけどね」
頬に左手を添えられて、舌を絡められ、理月からも絡め返す。片方ずつ足を左右に大きく開かれた。昴は両足の間を開けた正座のような形で座り、理月の両足の下に膝を差し込んでくる。尻にぴとりと昴の腰が宛てがわれ、怒張した昴のそれが尻に当たる。布越しにぐりぐりと押し当てられるだけでも腰がびくりと跳ねて、甘く痺れた。
「はぁっ……ン……、昴も、こういう顏は……僕の前だけにして」
琥珀色をした昴の瞳は熱っぽく欲を孕んでいて、理月の顔だけを映していた。理月の瞳に映るのも昴の顔だけで――多分、昴と同じように欲に蕩けて熱を帯びている。
「……クレシェンドーリの広告見た時、ちょっとだけ妬いた。今僕に向けてる目と、おんなじ目をしてたから」
「ごめんね。嫌な気持ちにさせちゃった?」
理月がツンと少し口唇を尖らせると、昴は眉を下げて目を細め、理月の髪を右手で撫でる。昴の手は大きくて、優しくて心地良い。
「嫌な訳じゃないよ。昴、ほんとに有名になったなって、誇らしく思ったし。ただ、この顏してる昴は僕だけが知ってたのに、沢山の人に知られちゃったなって……、ただのヤキモチ」
くすっと笑い、理月は昴の頭を引き寄せてちゅっと口唇にキスをする。
「ヤキモチって、なんか……嬉しいな~……感慨深い……ちなみに、モデルの仕事他からも誘われてるんだけど、どう思う?」
「そんなの、受けなよって言うに決まってる。僕は昴の演奏が好きだけど、昴の演奏に興味を持つキッカケは何だって良いと思うし……ピアノはよく分からないけど昴本人の人柄が好きっていう応援の仕方も、別に良いだろうし。まあ昴のファンを名乗るからにはちゃんとピアノ聴けよって思うけど……」
はにかんだ昴に向けて理月は口角を上げたけれど、話していくうちに段々と口がへの字に曲がっていく。そんな理月を見て昴は笑みを浮かべた。
10
あなたにおすすめの小説
宵にまぎれて兎は回る
宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【R18+BL】空に月が輝く時
hosimure
BL
仕事が終わり、アパートへ戻ると、部屋の扉の前に誰かがいた。
そこにいたのは8年前、俺を最悪な形でフッた兄貴の親友だった。
告白した俺に、「大キライだ」と言っておいて、今更何の用なんだか…。
★BL小説&R18です。
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
幸せな復讐
志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。
明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。
だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。
でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。
君に捨てられた僕の恋の行方は……
それぞれの新生活を意識して書きました。
よろしくお願いします。
fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
【完結】取り柄は顔が良い事だけです
pino
BL
昔から顔だけは良い夏川伊吹は、高級デートクラブでバイトをするフリーター。25歳で美しい顔だけを頼りに様々な女性と仕事でデートを繰り返して何とか生計を立てている伊吹はたまに同性からもデートを申し込まれていた。お小遣い欲しさにいつも年上だけを相手にしていたけど、たまには若い子と触れ合って、ターゲット層を広げようと20歳の大学生とデートをする事に。
そこで出会った男に気に入られ、高額なプレゼントをされていい気になる伊吹だったが、相手は年下だしまだ学生だしと罪悪感を抱く。
そんな中もう一人の20歳の大学生の男からもデートを申し込まれ、更に同業でただの同僚だと思っていた23歳の男からも言い寄られて?
ノンケの伊吹と伊吹を落とそうと奮闘する三人の若者が巻き起こすラブコメディ!
BLです。
性的表現有り。
伊吹視点のお話になります。
題名に※が付いてるお話は他の登場人物の視点になります。
表紙は伊吹です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる