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第24話 ゴブリン
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トウキョウダンジョン地下二階層。
魔眼の透視能力で確認したところ次の曲がり角の先に緑色の体をした子どものように小さなモンスターが座り込んでいるのをみつけた。
間違いない。ゴブリンだ。
俺は息をひそめ気付かれないように忍び足で背後から近付くと、
「おらぁっ!」
後頭部を思いきりグーで殴った。
『ギギッ!?』
ゴブリンが頭を押さえうずくまる。
俺はすかさずガラ空きになった脇腹に蹴りを入れた。
小さい体が吹っ飛び石壁にぶち当たる。
『ギギッ……』
それでもよろよろと立ち上がろうとしてくるゴブリン。
よだれを垂らしながら俺をにらみつけている。怖っ。
この状況、はたから見たらまるで大人が子どもを一方的に痛めつけているように見えるかもしれないが気を抜いたらこっちがやられかねないからやるしかない。
俺はゴブリンから目をそらすことなく両手を体の前で構える。
すると、最初の後頭部への不意打ちが効いていたのかゴブリンは結局立ち上がれないままその場に倒れ込んだ。
「はぁっ、やったか……?」
見ていると次の瞬間ゴブリンが泡状になって消滅した。
「ふぅ……倒した」
なまじ子どものような姿なので戦いにくいがこれなら武器を持っていない俺でもなんとか倒せそうだ。
とその時、
「マツイさん、マツイさん!」
ククリが俺の名を呼ぶ。
「なんだ? どうした? ククリ」
「今のでマツイさんのレベルが7から8に上がりましたよっ」
自分のことのように喜びながらククリが言う。
「え、なんでレベルが上がったってわかるんだ?」
ファンファーレ的な音が鳴ったわけでもないのに……。
「だってマツイさんの首の後ろにレベルが浮き出てますから」
と指を差しながら当然のように答えるククリ。
「マジで!? そんなとこにレベルが出てたのっ」
「はい。もしかして気付いていなかったんですか?」
「今初めて知ったよっ。ダンジョンのすすめに書いてなかっただろ」
「そうでしたっけ?」
可愛らしく首をかしげる。
ククリの奴意外と抜けているのか?
この分だとダンジョンのすすめには書かれていなかった知っておかなければならない重要なことがまだまだありそうな気がする。
……不安だ。
「マツイさん、早くステータスの確認をしてみてくださいよ」
「お、おう」
ククリに急かされステータスを確認することに。
「えっと確か、右目の下を押せばいいんだったな……」
俺は自分の右目の下を軽く押した。
パッと目の前にステータス画面が表示される。
*************************************
マツイ:レベル8
生命力:23/26
魔力:5/6
攻撃力:14
防御力:10
素早さ:10
スキル:魔眼
魔法:バトルマッチ、ヒール
*************************************
「おお! 確かにレベルが上がってる。能力値もちょっとだけだけど上がってるぞ」
防御力と素早さは一桁だったはずだがそれも二桁になっている。
「あれ? 魔法が一個増えてる」
「ヒールは回復魔法ですよ。生命力を少しだけ回復させることが出来ます」
「へー、なんかゲームっぽくていいな」
「試しに使ってみますか?」
ククリが提案する。
「でも今使うのはもったいなぁ」
「前にも言ったと思いますけど生命力も魔力も時間経過か寝ることで自然に回復しますから大丈夫ですよ。それにいきなり実戦で使ったことのない魔法を使うのはちょっとアレじゃないですか?」
アレねぇ……そう言われるとそうか。
「……うーん、じゃあ試してみるか。魔法の名前を唱えるだけでいいんだよな?」
「はい」
俺はダメージなど一切感じてはいないのだがククリに言われるまま「ヒール!」と唱えた。
その刹那、オレンジ色の光が俺の全身を包み込む。
「おおっ、なんだこれ……」
オレンジ色の光は暖かくて気持ちがいい。ともすると眠ってしまいそうなくらいだ。
数秒ほどすると俺を包んでいたオレンジ色の光は自然と消え、ステータス画面の生命力は23/26から26/26に魔力は5/6から0/6になっていた。
「どうですか? 実際に使ってみて」
ククリが俺の顔を覗き込むように訊いてくる。
「……ああ。なんだろう、なんかいい感じだった。それに気のせいか体が軽くなったような気がする」
「それはマツイさんの生命力が回復したからですよ」
「そうなのか」
だとしたら使った甲斐もあったというものだ。
「では生命力も満タンになったことですしゴブリン狩りを続けましょう!」
魔眼の透視能力で確認したところ次の曲がり角の先に緑色の体をした子どものように小さなモンスターが座り込んでいるのをみつけた。
間違いない。ゴブリンだ。
俺は息をひそめ気付かれないように忍び足で背後から近付くと、
「おらぁっ!」
後頭部を思いきりグーで殴った。
『ギギッ!?』
ゴブリンが頭を押さえうずくまる。
俺はすかさずガラ空きになった脇腹に蹴りを入れた。
小さい体が吹っ飛び石壁にぶち当たる。
『ギギッ……』
それでもよろよろと立ち上がろうとしてくるゴブリン。
よだれを垂らしながら俺をにらみつけている。怖っ。
この状況、はたから見たらまるで大人が子どもを一方的に痛めつけているように見えるかもしれないが気を抜いたらこっちがやられかねないからやるしかない。
俺はゴブリンから目をそらすことなく両手を体の前で構える。
すると、最初の後頭部への不意打ちが効いていたのかゴブリンは結局立ち上がれないままその場に倒れ込んだ。
「はぁっ、やったか……?」
見ていると次の瞬間ゴブリンが泡状になって消滅した。
「ふぅ……倒した」
なまじ子どものような姿なので戦いにくいがこれなら武器を持っていない俺でもなんとか倒せそうだ。
とその時、
「マツイさん、マツイさん!」
ククリが俺の名を呼ぶ。
「なんだ? どうした? ククリ」
「今のでマツイさんのレベルが7から8に上がりましたよっ」
自分のことのように喜びながらククリが言う。
「え、なんでレベルが上がったってわかるんだ?」
ファンファーレ的な音が鳴ったわけでもないのに……。
「だってマツイさんの首の後ろにレベルが浮き出てますから」
と指を差しながら当然のように答えるククリ。
「マジで!? そんなとこにレベルが出てたのっ」
「はい。もしかして気付いていなかったんですか?」
「今初めて知ったよっ。ダンジョンのすすめに書いてなかっただろ」
「そうでしたっけ?」
可愛らしく首をかしげる。
ククリの奴意外と抜けているのか?
この分だとダンジョンのすすめには書かれていなかった知っておかなければならない重要なことがまだまだありそうな気がする。
……不安だ。
「マツイさん、早くステータスの確認をしてみてくださいよ」
「お、おう」
ククリに急かされステータスを確認することに。
「えっと確か、右目の下を押せばいいんだったな……」
俺は自分の右目の下を軽く押した。
パッと目の前にステータス画面が表示される。
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マツイ:レベル8
生命力:23/26
魔力:5/6
攻撃力:14
防御力:10
素早さ:10
スキル:魔眼
魔法:バトルマッチ、ヒール
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「おお! 確かにレベルが上がってる。能力値もちょっとだけだけど上がってるぞ」
防御力と素早さは一桁だったはずだがそれも二桁になっている。
「あれ? 魔法が一個増えてる」
「ヒールは回復魔法ですよ。生命力を少しだけ回復させることが出来ます」
「へー、なんかゲームっぽくていいな」
「試しに使ってみますか?」
ククリが提案する。
「でも今使うのはもったいなぁ」
「前にも言ったと思いますけど生命力も魔力も時間経過か寝ることで自然に回復しますから大丈夫ですよ。それにいきなり実戦で使ったことのない魔法を使うのはちょっとアレじゃないですか?」
アレねぇ……そう言われるとそうか。
「……うーん、じゃあ試してみるか。魔法の名前を唱えるだけでいいんだよな?」
「はい」
俺はダメージなど一切感じてはいないのだがククリに言われるまま「ヒール!」と唱えた。
その刹那、オレンジ色の光が俺の全身を包み込む。
「おおっ、なんだこれ……」
オレンジ色の光は暖かくて気持ちがいい。ともすると眠ってしまいそうなくらいだ。
数秒ほどすると俺を包んでいたオレンジ色の光は自然と消え、ステータス画面の生命力は23/26から26/26に魔力は5/6から0/6になっていた。
「どうですか? 実際に使ってみて」
ククリが俺の顔を覗き込むように訊いてくる。
「……ああ。なんだろう、なんかいい感じだった。それに気のせいか体が軽くなったような気がする」
「それはマツイさんの生命力が回復したからですよ」
「そうなのか」
だとしたら使った甲斐もあったというものだ。
「では生命力も満タンになったことですしゴブリン狩りを続けましょう!」
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