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第90話 オークキング
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オークキングのたたずむ部屋に入るといつも通り出入口が石壁で閉ざされる。
逃げ場のなくなった大きな部屋でオークキングが俺をちらっと見た。
そして、
『フー……』
とため息にも似た深い息を吐いた。
オークよりやや体の大きなオークキングは足元に置いてあった鉄の槍を拾うと俺に向かって構えをとる。
指をちょいちょいと動かし俺を誘ってきた。
「あいつずいぶん自信あり気だけど、大丈夫か?」
俺はオークキングから目をそらさずにククリに訊く。
「マツイさんの強さがわからないだけですよ。大丈夫、マツイさんなら勝てますから」
ククリに励まされ俺はオークキングへと近付いていった。
俺の持つ刀よりオークキングの槍の方が長いので槍の穂先を注視しながらじりじりと間合いを詰めていく。
すると次の瞬間――
オークキングの手が動いた。
俺の顔めがけて槍を突き出してきたのだ。
だが、
見えるぞっ!
オークと変わらず動きの遅いオークキングの突きは俺からすれば避けるのは造作もないことだった。
俺は顔を左にかたむけオークキングの突きをかわすとその流れで一歩踏み込みオークキングの腹を横に斬りつけた。
妖刀ふたつなぎの効果でさらに深い斬撃がオークキングの腹をえぐる。
『フー……!』
オークキングはよろけながらも斬られた腹を押さえ足の踏ん張りをきかせた。
だがほぼ致命傷の傷を負ってはもう何も出来ないだろう。
うーん……これまでのボスに比べるとあっさり勝てそうだぞ。
勝てるかどうか心配していたがどうやら杞憂だったか。
俺はとどめの一撃を刺そうと動けなくなっているオークキングに向かって刀を振り上げた。
とその時、
シャッ。
オークキングが腹から手を放し両手で槍を突き出してきた。
「うおっ!?」
瞬間的に頭をかがめたことで額の横辺りを槍がかすめていった。
さらにオークキングは追撃してくる。
槍を連続で何度も突き出してきた。
さっきより速い!
俺は虚を突かれ反撃に転じることが出来ずにこれをなんとか刀で受けつつ退いた。
距離を取り、
「ククリっ、どうなってるんだこいつっ」
部屋の天井付近を飛んでいるククリに声をかける。
てっきり致命傷を与えたと思っていたのにオークキングはぴんぴんしている。
それどころかさっきより素早く動けていた。
「オークキングはヒールを使えるんです。だから自分で傷を治したんですよっ」
「なんだってっ」
「それと瀕死の状態から回復するとオークキングは少しだけ強くなります、だから一撃で決めてくださいっ」
「そんなの聞いてないぞっ」
なんだそのどこかの戦闘民族みたいな体質は。
「おわっとっ……」
そう言っている間もオークキングは攻撃の手を休めない。
執拗に槍で突いてくる。
「この……いい気になるなっ」
俺は刀で槍をいなすとがら空きになった腹をこれでもかと斬り裂いた。
オークキングはどさっと前のめりに倒れた。
逃げ場のなくなった大きな部屋でオークキングが俺をちらっと見た。
そして、
『フー……』
とため息にも似た深い息を吐いた。
オークよりやや体の大きなオークキングは足元に置いてあった鉄の槍を拾うと俺に向かって構えをとる。
指をちょいちょいと動かし俺を誘ってきた。
「あいつずいぶん自信あり気だけど、大丈夫か?」
俺はオークキングから目をそらさずにククリに訊く。
「マツイさんの強さがわからないだけですよ。大丈夫、マツイさんなら勝てますから」
ククリに励まされ俺はオークキングへと近付いていった。
俺の持つ刀よりオークキングの槍の方が長いので槍の穂先を注視しながらじりじりと間合いを詰めていく。
すると次の瞬間――
オークキングの手が動いた。
俺の顔めがけて槍を突き出してきたのだ。
だが、
見えるぞっ!
オークと変わらず動きの遅いオークキングの突きは俺からすれば避けるのは造作もないことだった。
俺は顔を左にかたむけオークキングの突きをかわすとその流れで一歩踏み込みオークキングの腹を横に斬りつけた。
妖刀ふたつなぎの効果でさらに深い斬撃がオークキングの腹をえぐる。
『フー……!』
オークキングはよろけながらも斬られた腹を押さえ足の踏ん張りをきかせた。
だがほぼ致命傷の傷を負ってはもう何も出来ないだろう。
うーん……これまでのボスに比べるとあっさり勝てそうだぞ。
勝てるかどうか心配していたがどうやら杞憂だったか。
俺はとどめの一撃を刺そうと動けなくなっているオークキングに向かって刀を振り上げた。
とその時、
シャッ。
オークキングが腹から手を放し両手で槍を突き出してきた。
「うおっ!?」
瞬間的に頭をかがめたことで額の横辺りを槍がかすめていった。
さらにオークキングは追撃してくる。
槍を連続で何度も突き出してきた。
さっきより速い!
俺は虚を突かれ反撃に転じることが出来ずにこれをなんとか刀で受けつつ退いた。
距離を取り、
「ククリっ、どうなってるんだこいつっ」
部屋の天井付近を飛んでいるククリに声をかける。
てっきり致命傷を与えたと思っていたのにオークキングはぴんぴんしている。
それどころかさっきより素早く動けていた。
「オークキングはヒールを使えるんです。だから自分で傷を治したんですよっ」
「なんだってっ」
「それと瀕死の状態から回復するとオークキングは少しだけ強くなります、だから一撃で決めてくださいっ」
「そんなの聞いてないぞっ」
なんだそのどこかの戦闘民族みたいな体質は。
「おわっとっ……」
そう言っている間もオークキングは攻撃の手を休めない。
執拗に槍で突いてくる。
「この……いい気になるなっ」
俺は刀で槍をいなすとがら空きになった腹をこれでもかと斬り裂いた。
オークキングはどさっと前のめりに倒れた。
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