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第154話 ゴミの分別
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スーパーから帰宅した俺とスラはリビングでテレビを見ながらくつろいでいた。
『あっはは、何こいつ。マジヤバっ』
俺の隣でソファに座りギャルのような口調でけらけらと笑っているのはスラだ。
賢者の石の効果で喋れるようになったようなのだがなんでよりによってこんな口調なのだろう。
以前のスラは言葉は理解できなかったがスライム特有の可愛らしさがあった。
でも今のスラは人間くささが前面に出ているせいかスライムというよりオツムの弱い品のないギャルと同居しているような気分になってくる。
「なあスラ。お前テレビ見る時ひとりごと言うタイプなんだな」
『あ、ごめんマツイさん。なんか言った?』
「いや、なんでもない」
俺はソファから立ち上がるとキッチンでゴミの分別を始めた。
すると俺のしていることに興味を持ったのか、スラはバラエティー番組がついたままのテレビをそのままにしてぴょんぴょん跳んできた。
『何してるの? マツイさん』
「これか? これはゴミの分別だよ。捨てる場所とか曜日とかが違うから分けておかないといけないんだ。変なおじさんがたまにチェックしてるし」
『ふーん。よくわかんないけど人間はそんなことしてるんだね』
「そうだぞ。人間は社会の中で生きていくのは大変なんだぞ」
ニートの俺がモンスターに言ってもなんにもならないが。
『どうせ捨てるならダンジョンに持ってっちゃえばいいのに』
とスラ。
「へ?」
『だってゴミなんでしょそれ』
「ああ、そうだけど。どういうこと?」
『ダンジョンにものは持ち込めないんだからゴミは消えてなくなるっしょ』
「あ。あーそうだな、うん……お前意外と頭いいのな」
『そう? 誰でも思いつくっしょこんなの』
純真無垢な眼差しで俺を見上げるスラ。
頼むからそんな目で見ないでくれ。俺は気付かなかった。
『あっ! 忘れてた!』
俺がスラの認識をあらため直しているとスラは突然大声を出した。
『あたしプロテイン買ってもらってたんだった!』
言うなりエコバッグに顔を突っ込む。
『あれー? マツイさん。マツイさんが買ってくれたプロテインはどこー?』
「ああ、それならドッグフードの横に置いといたぞ」
どうせ俺はプロテインなんぞいらないからスラ専用にすればいいさ。
『あ、ほんとだ、あった!』
キッチンの下の棚にドッグフードの袋と一緒に並べられたプロテインを発見したスラは『開けて、開けて』と俺にせがんできた。
「はいはい」
俺はハサミできれいにプロテインの袋を開ける。
とスラは次の瞬間ぴょーんとプロテインの袋の中に飛び込んだ。
と思ったら、
『ごふっ、ごふっ……ぶはぁっ』
すぐ顔を出した。
「スラ、何してるんだ?」
『何これー、ぱさぱさしてて飲み込みにくいんだけど』
「それ多分水とか牛乳とかに混ぜて飲むものだと思うぞ」
よく知らんけど。
『そうなの? マツイさんちょー賢いし。そういうとこ大好きー』
「……牛乳でいいか? 混ぜてやるよ」
『ありがとー、優しいなぁマツイさんは』
俺はすました顔で冷蔵庫から牛乳を取り出すとコップに注いだ。
スラの前にあるプロテインをスプーンですくいコップに入れよーく混ぜる。
「ほら」
『いただきまーす!』
スラがコップのふちにカポッと口をつけこれを上にあげ一気に飲み干した。
『うん。美味しーい! ありがとーマツイさん!』
「そりゃよかったな……俺ちょっとトイレ行ってくるからスラはテレビ見てろよ」
『はーい』
バタン。
リビングから出たところで――
「ふぅ……」
俺は息を一つもらした。
あぶないあぶない。
もう少しでスライム相手に顔を赤くするところだった。
スライムとわかっていても若い女性の声で大好きと正面きって言われるとさすがに照れる。
うーん、気をつけねば。
『あっはは、何こいつ。マジヤバっ』
俺の隣でソファに座りギャルのような口調でけらけらと笑っているのはスラだ。
賢者の石の効果で喋れるようになったようなのだがなんでよりによってこんな口調なのだろう。
以前のスラは言葉は理解できなかったがスライム特有の可愛らしさがあった。
でも今のスラは人間くささが前面に出ているせいかスライムというよりオツムの弱い品のないギャルと同居しているような気分になってくる。
「なあスラ。お前テレビ見る時ひとりごと言うタイプなんだな」
『あ、ごめんマツイさん。なんか言った?』
「いや、なんでもない」
俺はソファから立ち上がるとキッチンでゴミの分別を始めた。
すると俺のしていることに興味を持ったのか、スラはバラエティー番組がついたままのテレビをそのままにしてぴょんぴょん跳んできた。
『何してるの? マツイさん』
「これか? これはゴミの分別だよ。捨てる場所とか曜日とかが違うから分けておかないといけないんだ。変なおじさんがたまにチェックしてるし」
『ふーん。よくわかんないけど人間はそんなことしてるんだね』
「そうだぞ。人間は社会の中で生きていくのは大変なんだぞ」
ニートの俺がモンスターに言ってもなんにもならないが。
『どうせ捨てるならダンジョンに持ってっちゃえばいいのに』
とスラ。
「へ?」
『だってゴミなんでしょそれ』
「ああ、そうだけど。どういうこと?」
『ダンジョンにものは持ち込めないんだからゴミは消えてなくなるっしょ』
「あ。あーそうだな、うん……お前意外と頭いいのな」
『そう? 誰でも思いつくっしょこんなの』
純真無垢な眼差しで俺を見上げるスラ。
頼むからそんな目で見ないでくれ。俺は気付かなかった。
『あっ! 忘れてた!』
俺がスラの認識をあらため直しているとスラは突然大声を出した。
『あたしプロテイン買ってもらってたんだった!』
言うなりエコバッグに顔を突っ込む。
『あれー? マツイさん。マツイさんが買ってくれたプロテインはどこー?』
「ああ、それならドッグフードの横に置いといたぞ」
どうせ俺はプロテインなんぞいらないからスラ専用にすればいいさ。
『あ、ほんとだ、あった!』
キッチンの下の棚にドッグフードの袋と一緒に並べられたプロテインを発見したスラは『開けて、開けて』と俺にせがんできた。
「はいはい」
俺はハサミできれいにプロテインの袋を開ける。
とスラは次の瞬間ぴょーんとプロテインの袋の中に飛び込んだ。
と思ったら、
『ごふっ、ごふっ……ぶはぁっ』
すぐ顔を出した。
「スラ、何してるんだ?」
『何これー、ぱさぱさしてて飲み込みにくいんだけど』
「それ多分水とか牛乳とかに混ぜて飲むものだと思うぞ」
よく知らんけど。
『そうなの? マツイさんちょー賢いし。そういうとこ大好きー』
「……牛乳でいいか? 混ぜてやるよ」
『ありがとー、優しいなぁマツイさんは』
俺はすました顔で冷蔵庫から牛乳を取り出すとコップに注いだ。
スラの前にあるプロテインをスプーンですくいコップに入れよーく混ぜる。
「ほら」
『いただきまーす!』
スラがコップのふちにカポッと口をつけこれを上にあげ一気に飲み干した。
『うん。美味しーい! ありがとーマツイさん!』
「そりゃよかったな……俺ちょっとトイレ行ってくるからスラはテレビ見てろよ」
『はーい』
バタン。
リビングから出たところで――
「ふぅ……」
俺は息を一つもらした。
あぶないあぶない。
もう少しでスライム相手に顔を赤くするところだった。
スライムとわかっていても若い女性の声で大好きと正面きって言われるとさすがに照れる。
うーん、気をつけねば。
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