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第174話 ちょっと反省
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地下十三階層にて宝箱をみつけた俺は罠ではないことを確認後これを開ける。
「ククリ、このベルトはなんだ?」
宝箱の中に入っていたベルトを取り出すとククリに見せた。
「それは防御力+1の漆黒のベルトです」
「防御力+1?」
宝箱は深層階に行けば行くほどレアアイテムが出る確率が高まるはずだ。
なのに防御力+1?
「地下十三階層でただの防御力+1のベルトなわけがないよな。何か特別な効果でもあるんだろ」
「わかっちゃいました? ではそこのバックルのところにある赤いボタンを押してみてください」
ククリが楽しそうに指差して言うので俺はその通りにボタンを押してみた。
スラもわくわくして見上げている。
すると、
シャキーン。
ベルトがまっすぐに伸びて固まった。
「……なんだこれ?」
「漆黒のベルトはバックルのボタンを押すと攻撃力+1の剣としても使えるようになるんです。えへへ~」
「いやククリ、えへへ~じゃなしに。全然大したことないじゃないかっ」
「でもでもマツイさん、売れば一万円しますよ」
「一万円ねぇ……」
ちょっと前までの俺ならそれでも跳び上がって喜んでいたかもしれないが今の俺は賢者の石や金塊、金庫といった高額アイテムを知ってしまっているからな。
地下十三階層での一万円アイテムは正直目に入らない。
「……いらないな。スラ、頼む」
『飲み込んじゃっていいの?』
「ああ」
「あっ、マツイさんってば……もうっ」
俺はククリを無視してスラの口に漆黒のベルトを入れた。
まるでマジックの剣呑みのようにスラは固まったベルトを飲み込んでいく。
ごくん。
そしてもごもごしたのちぼえっと茶色いものを吐き出した。
例にもれずたわしだった。
「なっ……も、もう一回だ、スラっ」
『オッケー』
このあとスラの魔力が4になるまで飲み込む、吐き出すを繰り返した結果最後に手元に残ったのは防御力+1、売値五百円の目出し帽だった。
「あ~あ、マツイさん。一万円のアイテムが五百円になっちゃったじゃないですか」
『ヤッバー、ごめんねマツイさん。こればっかりは不可抗力だからさー』
「いいんですよスラさんは謝らなくて。悪いのはお金に目がくらんだマツイさんなんですから」
「うっ……」
返す言葉がない。
俺はいつの間にか一万円を軽く見ていたようだった。
「……悪かったククリ。一万円稼ぐって大変なことだったんだよな……俺初心に帰るよ」
「わかってくれたんですねマツイさん」
俺はククリと手を取り合うとトウキョウダンジョンで初めて三万円を握り締めた時のあの感動を思い返していた。
「ククリ、このベルトはなんだ?」
宝箱の中に入っていたベルトを取り出すとククリに見せた。
「それは防御力+1の漆黒のベルトです」
「防御力+1?」
宝箱は深層階に行けば行くほどレアアイテムが出る確率が高まるはずだ。
なのに防御力+1?
「地下十三階層でただの防御力+1のベルトなわけがないよな。何か特別な効果でもあるんだろ」
「わかっちゃいました? ではそこのバックルのところにある赤いボタンを押してみてください」
ククリが楽しそうに指差して言うので俺はその通りにボタンを押してみた。
スラもわくわくして見上げている。
すると、
シャキーン。
ベルトがまっすぐに伸びて固まった。
「……なんだこれ?」
「漆黒のベルトはバックルのボタンを押すと攻撃力+1の剣としても使えるようになるんです。えへへ~」
「いやククリ、えへへ~じゃなしに。全然大したことないじゃないかっ」
「でもでもマツイさん、売れば一万円しますよ」
「一万円ねぇ……」
ちょっと前までの俺ならそれでも跳び上がって喜んでいたかもしれないが今の俺は賢者の石や金塊、金庫といった高額アイテムを知ってしまっているからな。
地下十三階層での一万円アイテムは正直目に入らない。
「……いらないな。スラ、頼む」
『飲み込んじゃっていいの?』
「ああ」
「あっ、マツイさんってば……もうっ」
俺はククリを無視してスラの口に漆黒のベルトを入れた。
まるでマジックの剣呑みのようにスラは固まったベルトを飲み込んでいく。
ごくん。
そしてもごもごしたのちぼえっと茶色いものを吐き出した。
例にもれずたわしだった。
「なっ……も、もう一回だ、スラっ」
『オッケー』
このあとスラの魔力が4になるまで飲み込む、吐き出すを繰り返した結果最後に手元に残ったのは防御力+1、売値五百円の目出し帽だった。
「あ~あ、マツイさん。一万円のアイテムが五百円になっちゃったじゃないですか」
『ヤッバー、ごめんねマツイさん。こればっかりは不可抗力だからさー』
「いいんですよスラさんは謝らなくて。悪いのはお金に目がくらんだマツイさんなんですから」
「うっ……」
返す言葉がない。
俺はいつの間にか一万円を軽く見ていたようだった。
「……悪かったククリ。一万円稼ぐって大変なことだったんだよな……俺初心に帰るよ」
「わかってくれたんですねマツイさん」
俺はククリと手を取り合うとトウキョウダンジョンで初めて三万円を握り締めた時のあの感動を思い返していた。
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