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剣鬼 闘技祭準備編
ハヅキ家の狙い
「叔母様、この羊皮紙って……」
「それは私宛の手紙よ。まあ、内容は別に大したことはないわ。私で処理する必要だったから」
「処理って」
レナが羊皮紙の内容を読み取る事は出来ないと判断したのかマリアは適当に誤魔化し、彼から手紙を受け取るとその場で破り去り、無詠唱で火球の魔法を発現させて焼き払う。
「レナ、貴方の家にこれと同じ物が送り届けられていたでしょう?それにはもう触れてしまったのかしら?」
「うん……もしかしてヤバい事をしちゃった?」
「その手紙はどうしたの?」
「それが起きた時には無くなっていたんだけど……誰か知らない?」
「手紙って机の上に置いてあった奴か?でも、中身はなかったよな」
「ええ、確かに封筒はあったけど中には何も入ってなかったわね」
家の中に置かれていた手紙の中身はレナが触れてから何時の間にか消え去っており、他の人間も見ていないという。だが、仮に何者かが侵入して手紙を回収したとは考えにくく、あの場所にレナ以外にも大勢の人間が存在した。勿論、全員が眠っていた事も考えても普通の人間よりも感覚が鋭いシズネやレナ、それに庭に存在したウルが気付かないとは考えにくい。
「ぷるぷるっ」
「ん?どうしたヒトミン?」
「レナ、ヒトミンが手紙を見たと言ってる」
「本当に?」
「ぷるんっ」
コトミンに抱えられていたヒトミンがレナに何かを伝えるように鳴き声を上げ、彼が机の上に存在した手紙が何処に消えたのかを語る。最もスライムの言葉を分かるのはコトミンだけなので彼女が通訳を行う。
「ぷるぷるっ……」
「ヒトミンは見てました。机の上に置かれていた手紙が何処に消えたのかを」
「ヒトミン、自分の事もヒトミンと呼んでるの?」
「寝るのも飽きて壺の中から出てきたとき、机の上の用紙が動き出して折り紙の鶴の形に変形して空を飛んで行ったのです……だって」
「手紙が勝手に動き出した?」
「そういう事ね。どうやら用紙の方に細工が施されていた、というよりは魔道具の一種だったのね」
ヒトミンの証言から手紙の中身が消えたのは用紙自体が特別な仕掛けが施され、自力で逃げ出したという。死霊術でアンデッドを操作するように魔法の中には物体を操作する物も少なくはなく、用紙に仕掛けられた魔法が作動して持ち主の元に戻ったのだろう。
「しまった……迂闊に手紙なんて触れるんじゃなかった」
「問題ないわ。遅かれ早かれ、貴方の存在はハヅキ家は掴んでいたはずよ。だけど、注意力が足りないのは感心しないわね」
「ごめんなさい」
「別に怒っているわけではないけど……気を付けなさい」
素直に謝るレナにマリアは頭を撫でやり、コトミンが抱えているスラミンとヒトミンに視線を向け、不思議そうな表情を浮かべた。
「それにしても随分と人に懐いているスライムね。というより、本当にスライムなのかしら?何となくだけどこの子達から不思議な魔力を感じるような」
「ぷるぷるっ」
「ぷるるんっ」
「あら……怖がらせちゃったかしら」
マリアがスライムに視線を向けると、2体は怖がるように顔を反らし、マリアは少し困った顔を浮かべながらナオに振り返り、表情を引き締める。
「それよりも貴女、いくら義弟の事が心配だからと言って今回の行動は迂闊すぎるわよ。だいたい、何よその恰好は?そんなに目立つ服でこの子達を迎えに行ったというの?」
「え、いや、その……」
「いくら義弟が心配だったからといって貴女の行動は褒められる事ではないわ。一国の王女が特定の人物に関わりを持っていると知られたらどれだけの人間が怪しむと思っているの?そもそも貴女が姿を消したことで今頃も怪しんでいる人間もいるでしょう」
「はうっ……」
あまりの正論にナオは申し訳なさそうに黙り込み、確かに彼女の行動は迂闊すぎた。普段よりも目立つドレスの姿でレナの家に迎えに行き、しかも大人数で移動しただけでなく、更に貴重な水晶札を使用して氷雨のギルドに移動してしまう。これらの行動はナオがレナの事を心配しての行為ではあるが、本当に彼の安全を確保するためならばマリアにちゃんと相談する必要があった。
「そもそもどうして貴女がハヅキ家の動きに気付いたのかしら?どうしてレナの存在がハヅキ家に完全に気付かれたと判断したのか教えて欲しいわね」
「そ、それは……実はヨツバ王国の方々の宿屋に訪れた時、護衛の騎士が話しているのを聞いて……」
「騎士、ね。どんな内容だったの?」
――冒険都市に滞在していたナオは国王の代理として本日訪れたばかりのヨツバ王国が宿泊している宿屋に訪問し、王族と顔合わせした。国王夫妻とその子供達はナオと面識があったので彼女は快く迎えられたが、その際にナオは宿屋を立ち去る際に王族の護衛として訪れた騎士達の会話を耳にした。その内容というのがハヅキ家の当主もこちらに赴いており、姿を消したアイラの子供を探しているという話を聞いてしまう。
以前からナオはハヅキ家の存在をマリアから聞いており、彼女からハヅキ家にとってレナという存在が知られた不味いと聞かされていた彼女は居ても立ってもいられず、部下を振り切ってレナの元に向かってしまう。冷静に考えれば自分自身も不用意な行動をしてしまったと思うが、今更後悔しても遅く、既にレナの存在がハヅキ家に知られたのは間違いないだろう。
「それは私宛の手紙よ。まあ、内容は別に大したことはないわ。私で処理する必要だったから」
「処理って」
レナが羊皮紙の内容を読み取る事は出来ないと判断したのかマリアは適当に誤魔化し、彼から手紙を受け取るとその場で破り去り、無詠唱で火球の魔法を発現させて焼き払う。
「レナ、貴方の家にこれと同じ物が送り届けられていたでしょう?それにはもう触れてしまったのかしら?」
「うん……もしかしてヤバい事をしちゃった?」
「その手紙はどうしたの?」
「それが起きた時には無くなっていたんだけど……誰か知らない?」
「手紙って机の上に置いてあった奴か?でも、中身はなかったよな」
「ええ、確かに封筒はあったけど中には何も入ってなかったわね」
家の中に置かれていた手紙の中身はレナが触れてから何時の間にか消え去っており、他の人間も見ていないという。だが、仮に何者かが侵入して手紙を回収したとは考えにくく、あの場所にレナ以外にも大勢の人間が存在した。勿論、全員が眠っていた事も考えても普通の人間よりも感覚が鋭いシズネやレナ、それに庭に存在したウルが気付かないとは考えにくい。
「ぷるぷるっ」
「ん?どうしたヒトミン?」
「レナ、ヒトミンが手紙を見たと言ってる」
「本当に?」
「ぷるんっ」
コトミンに抱えられていたヒトミンがレナに何かを伝えるように鳴き声を上げ、彼が机の上に存在した手紙が何処に消えたのかを語る。最もスライムの言葉を分かるのはコトミンだけなので彼女が通訳を行う。
「ぷるぷるっ……」
「ヒトミンは見てました。机の上に置かれていた手紙が何処に消えたのかを」
「ヒトミン、自分の事もヒトミンと呼んでるの?」
「寝るのも飽きて壺の中から出てきたとき、机の上の用紙が動き出して折り紙の鶴の形に変形して空を飛んで行ったのです……だって」
「手紙が勝手に動き出した?」
「そういう事ね。どうやら用紙の方に細工が施されていた、というよりは魔道具の一種だったのね」
ヒトミンの証言から手紙の中身が消えたのは用紙自体が特別な仕掛けが施され、自力で逃げ出したという。死霊術でアンデッドを操作するように魔法の中には物体を操作する物も少なくはなく、用紙に仕掛けられた魔法が作動して持ち主の元に戻ったのだろう。
「しまった……迂闊に手紙なんて触れるんじゃなかった」
「問題ないわ。遅かれ早かれ、貴方の存在はハヅキ家は掴んでいたはずよ。だけど、注意力が足りないのは感心しないわね」
「ごめんなさい」
「別に怒っているわけではないけど……気を付けなさい」
素直に謝るレナにマリアは頭を撫でやり、コトミンが抱えているスラミンとヒトミンに視線を向け、不思議そうな表情を浮かべた。
「それにしても随分と人に懐いているスライムね。というより、本当にスライムなのかしら?何となくだけどこの子達から不思議な魔力を感じるような」
「ぷるぷるっ」
「ぷるるんっ」
「あら……怖がらせちゃったかしら」
マリアがスライムに視線を向けると、2体は怖がるように顔を反らし、マリアは少し困った顔を浮かべながらナオに振り返り、表情を引き締める。
「それよりも貴女、いくら義弟の事が心配だからと言って今回の行動は迂闊すぎるわよ。だいたい、何よその恰好は?そんなに目立つ服でこの子達を迎えに行ったというの?」
「え、いや、その……」
「いくら義弟が心配だったからといって貴女の行動は褒められる事ではないわ。一国の王女が特定の人物に関わりを持っていると知られたらどれだけの人間が怪しむと思っているの?そもそも貴女が姿を消したことで今頃も怪しんでいる人間もいるでしょう」
「はうっ……」
あまりの正論にナオは申し訳なさそうに黙り込み、確かに彼女の行動は迂闊すぎた。普段よりも目立つドレスの姿でレナの家に迎えに行き、しかも大人数で移動しただけでなく、更に貴重な水晶札を使用して氷雨のギルドに移動してしまう。これらの行動はナオがレナの事を心配しての行為ではあるが、本当に彼の安全を確保するためならばマリアにちゃんと相談する必要があった。
「そもそもどうして貴女がハヅキ家の動きに気付いたのかしら?どうしてレナの存在がハヅキ家に完全に気付かれたと判断したのか教えて欲しいわね」
「そ、それは……実はヨツバ王国の方々の宿屋に訪れた時、護衛の騎士が話しているのを聞いて……」
「騎士、ね。どんな内容だったの?」
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以前からナオはハヅキ家の存在をマリアから聞いており、彼女からハヅキ家にとってレナという存在が知られた不味いと聞かされていた彼女は居ても立ってもいられず、部下を振り切ってレナの元に向かってしまう。冷静に考えれば自分自身も不用意な行動をしてしまったと思うが、今更後悔しても遅く、既にレナの存在がハヅキ家に知られたのは間違いないだろう。
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