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剣鬼 闘技祭準備編
宿屋への訪問
――1時間後、ナオは騎士団の制服に着替えてヨツバ王国の王族と護衛が宿泊している宿屋に向かう。宿屋の名前は「黄金猫亭」であり、名前はともかく都市の中でも最高クラスの高級宿屋として有名な宿である。訪問の名目は闘技祭の開催前に都市で盛大な祝賀会を行うため、王国一行を招待状も持参していた。
この祝賀会に関しては王国が主催ではなく、正式に冒険都市を任されるようになったマリアが自身のギルドで開催するため、彼女は自分の知り合いの王国貴族や商人関係にも招待状を送っている。バルトロス王国側にも一応は招待状を送ってはいるが、彼女の存在を疎ましく思っている国王や王妃が参加するかは不明だが、ナオは彼女の代理として2人の護衛を連れて王国が宿泊する宿屋に赴く。
唐突な訪問なのでヨツバ王国側も驚いたが、流石に一国の王女を門前払い出来るはずがなく、護衛の二人と共に彼女は宿屋の別室に案内され、ヨツバ王国の王族の面々と顔を合わせる。その中にはティナやリンダの姿もあり、そして彼女の父親と兄と姉も存在した。
「バルトロス王国第一王女のナオと申します」
「よくぞ参られたな。さあ、そうかしこまらずに座られるが良い」
片膝を地面に付けて頭を下げるナオに対し、彼女の正面に立っている老人が人懐っこい笑顔を浮かべながら彼女を立ち上がらせ、机の方に案内する。老人と言っても外見は筋骨隆々であり、髭も生やしてはいない。白髪頭が目立つが、うっすらと金髪も混じっており、どちらかというと中年男性と言った方が正しいだろう。
この男性こそがヨツバ王国を治める「デブリ国王」であり、年齢は500才を迎える森人族である。森人族は人間よりも遥かに長寿だが、それでも彼の年齢でここまで若々しさを保つ者は少ない。ナオは人良さそう笑みを浮かべるデブリ国王から感じ取る静かな威圧に内心冷や汗を掻きながらも、彼女は椅子に座り込む。
「これ、お前達も挨拶をしなさい。この方はバルトロス王国の王女であるぞ?」
「失礼しました。第一王子のアルンと申します」
「第一王女のノルと申します」
「え、えっと……ティナです!!」
「初めまして」
3人の子供がナオの前に並び、頭を下げる。そんな彼等にナオは頭を下げ、そして次女のティナに視線を向け、彼女がレナの知り合いであると気付くと、彼女は後ろで自分の護衛として連れてきた2人の「騎士」に頷く。
「それではナオ殿、今回は何用で我等の元に尋ねたのですか?」
「闘技祭の開催を祝い、この都市を任されている氷雨のギルドマスターのマリア殿から祝賀会の招待状を承っています。どうぞお受け取り下さい」
「……?」
マリアという言葉にデブリは不思議そうな表情を浮かべ、当然だが彼も世界最大の規模を誇る冒険者ギルドを束ねるマリアの名前は知っている。しかし、どうして彼女が主催する祝賀会の招待状を王国の王女がわざわざ送りに向かった事に疑問を抱き、他の3人も不思議そうな表情を抱く。
「ふむ、祝賀会ですか……しかし、どうしてバルトロス王国の王女である貴女が招待状を持参してきたのですか?」
「私はマリア殿と懇意の間柄です。彼女に頼まれ、こちらまで送り届けに参りました」
「王女が使者の代わりに……?」
「マリアという御方はナオ様とそのような関係なのですか?」
「ええっと……」
ナオの説明を受けても国王と3人の子供は戸惑いを隠せず、机に差し出された招待状に視線を向ける。国王は黙って封筒を受け取り、中身を開く。手紙には別におかしな文章は記されておらず、祝賀会への招待するとしか書かれていない。それだけに疑問が深まり、招待状を送るためだけに王女を利用したというのが理解できない。
(ふむ……もしや、マリアという者はこのナオを支持すると暗に伝えたいのか?)
バルトロス王国の世継ぎ問題はデブリも耳にしており、他国でもバルトロス王国の世継ぎが誰に決まるのかは噂されていた。一番有力なのは男児であり、現国王の息子である「第一王子」の存在だが、既に王位継承の儀式を受けたナオが国王に相応しいと考える物も少なくはない。実際に彼女がヴァルキュリア騎士団を結成して様々な功を立てており、先の「腐敗竜」の一件でも彼女の功績は民衆に広まっている。
(そういえば腐敗竜の討伐にはマリアも関わっていると聞いている。しかし、わざわざ使者の代わりに王女を送り込むのか?)
ナオを指示する事を伝えたいだけならば他にも幾らでも方法があり、例えば祝賀会で大々的にマリアがナオと親しい間柄である事を示せば良い。それにも関わらずにナオを招待状を送り込むという名目だけで自分達の元に送り込んだ事に国王は気になり、不意に彼女が連れてきた2人の騎士に視線を向ける。
(むうっ……これは凄いな。どちらも年若いが、相当な強者だな)
片方は人間でありながら人魚族のような青髪の少女であり、腰に見事なまでの美しい宝剣を身に着けていた。一方でもう一人は銀色の髪の毛が特徴的な少年であり、こちらは背中に銀色の大剣と腰に銀色の鞘に納められた長剣を装備していた――
この祝賀会に関しては王国が主催ではなく、正式に冒険都市を任されるようになったマリアが自身のギルドで開催するため、彼女は自分の知り合いの王国貴族や商人関係にも招待状を送っている。バルトロス王国側にも一応は招待状を送ってはいるが、彼女の存在を疎ましく思っている国王や王妃が参加するかは不明だが、ナオは彼女の代理として2人の護衛を連れて王国が宿泊する宿屋に赴く。
唐突な訪問なのでヨツバ王国側も驚いたが、流石に一国の王女を門前払い出来るはずがなく、護衛の二人と共に彼女は宿屋の別室に案内され、ヨツバ王国の王族の面々と顔を合わせる。その中にはティナやリンダの姿もあり、そして彼女の父親と兄と姉も存在した。
「バルトロス王国第一王女のナオと申します」
「よくぞ参られたな。さあ、そうかしこまらずに座られるが良い」
片膝を地面に付けて頭を下げるナオに対し、彼女の正面に立っている老人が人懐っこい笑顔を浮かべながら彼女を立ち上がらせ、机の方に案内する。老人と言っても外見は筋骨隆々であり、髭も生やしてはいない。白髪頭が目立つが、うっすらと金髪も混じっており、どちらかというと中年男性と言った方が正しいだろう。
この男性こそがヨツバ王国を治める「デブリ国王」であり、年齢は500才を迎える森人族である。森人族は人間よりも遥かに長寿だが、それでも彼の年齢でここまで若々しさを保つ者は少ない。ナオは人良さそう笑みを浮かべるデブリ国王から感じ取る静かな威圧に内心冷や汗を掻きながらも、彼女は椅子に座り込む。
「これ、お前達も挨拶をしなさい。この方はバルトロス王国の王女であるぞ?」
「失礼しました。第一王子のアルンと申します」
「第一王女のノルと申します」
「え、えっと……ティナです!!」
「初めまして」
3人の子供がナオの前に並び、頭を下げる。そんな彼等にナオは頭を下げ、そして次女のティナに視線を向け、彼女がレナの知り合いであると気付くと、彼女は後ろで自分の護衛として連れてきた2人の「騎士」に頷く。
「それではナオ殿、今回は何用で我等の元に尋ねたのですか?」
「闘技祭の開催を祝い、この都市を任されている氷雨のギルドマスターのマリア殿から祝賀会の招待状を承っています。どうぞお受け取り下さい」
「……?」
マリアという言葉にデブリは不思議そうな表情を浮かべ、当然だが彼も世界最大の規模を誇る冒険者ギルドを束ねるマリアの名前は知っている。しかし、どうして彼女が主催する祝賀会の招待状を王国の王女がわざわざ送りに向かった事に疑問を抱き、他の3人も不思議そうな表情を抱く。
「ふむ、祝賀会ですか……しかし、どうしてバルトロス王国の王女である貴女が招待状を持参してきたのですか?」
「私はマリア殿と懇意の間柄です。彼女に頼まれ、こちらまで送り届けに参りました」
「王女が使者の代わりに……?」
「マリアという御方はナオ様とそのような関係なのですか?」
「ええっと……」
ナオの説明を受けても国王と3人の子供は戸惑いを隠せず、机に差し出された招待状に視線を向ける。国王は黙って封筒を受け取り、中身を開く。手紙には別におかしな文章は記されておらず、祝賀会への招待するとしか書かれていない。それだけに疑問が深まり、招待状を送るためだけに王女を利用したというのが理解できない。
(ふむ……もしや、マリアという者はこのナオを支持すると暗に伝えたいのか?)
バルトロス王国の世継ぎ問題はデブリも耳にしており、他国でもバルトロス王国の世継ぎが誰に決まるのかは噂されていた。一番有力なのは男児であり、現国王の息子である「第一王子」の存在だが、既に王位継承の儀式を受けたナオが国王に相応しいと考える物も少なくはない。実際に彼女がヴァルキュリア騎士団を結成して様々な功を立てており、先の「腐敗竜」の一件でも彼女の功績は民衆に広まっている。
(そういえば腐敗竜の討伐にはマリアも関わっていると聞いている。しかし、わざわざ使者の代わりに王女を送り込むのか?)
ナオを指示する事を伝えたいだけならば他にも幾らでも方法があり、例えば祝賀会で大々的にマリアがナオと親しい間柄である事を示せば良い。それにも関わらずにナオを招待状を送り込むという名目だけで自分達の元に送り込んだ事に国王は気になり、不意に彼女が連れてきた2人の騎士に視線を向ける。
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