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剣鬼 闘技祭準備編
変装中
――ナオが国王と会話をしている間、彼女の護衛役の騎士の二人は壁際で待機していた。その内の銀髪の騎士はナオの渡した招待状を読み耽る国王に視線を向け、続いて部屋の隅に立っているティナに視線を向ける。そんな彼の様子を隣に立っている青髪の騎士が確認し、半ば呆れた表情を抱く。
(意外と気付かれない物ね……まあ、私達の情報を相手がまだ掴んでいなかったと考えればそれほどおかしくはないのかしら?)
騎士に変装した「シズネ」は部屋の中の人間が自分達ではなく、ナオだけに注目している事に安心する。彼女の隣に立っているのは闘技場の時の様に「ルナ」の格好に変装した「レナ」であり、あろう事か彼は直接ヨツバ王国の一行が宿泊している黄金猫亭に赴いていた。
事の敬意はナオがマリアの招待状を受け取り、黄金猫亭に向かう途中、彼女一人では怪しまれるという事で護衛役の人間を用意する事をマリアが提案した。しかし、王国の人間の場合だと都合が悪く、ナオの配下の騎士団の人間でも安心はできない。あくまでも騎士団の人間は王国に所属する立場であり、仮に国王や王妃がナオの行動を問い質した場合は隠し通す事は難しい。
そのため、腕も確かでヨツバ王侯側に顔を知られていない人間が良いという理由でシズネが騎士役として選ばれる。しかし、いくら何でも護衛が一人というのは怪しまれるため、もう一人選ぶ事になったのだが、そんな時にドルトン商会のフェリスがギルドに訪れた。
『マリアは~ん!!お呼びでっか~?』
『あら?予定よりも随分早く来たわね。商談は終わったの?』
『ええ、今回もいい品物を取り入れましたよ。おおっ?そこに居るのはレナさんかいな?久しぶりですな~』
『あ、どうも……』
『お久しぶりです』
相変わらず口調がエセ関西弁のフェリスと筋骨隆々のメイドのアリスが現れ、レナと挨拶を交わす。彼女達は闘技場の件でレナと親交があり、今度の闘技祭でも彼女達の紹介の代表選手としてレナは変装して「ルナ」として出場する予定である。
『今日はどんな用事で来たんですか?』
『いやいや、ちょっと遊びに来ただけやで。やっと仕事も一段落したから、今日はマリアさんとお茶をするつもりだったんや』
『そうだったんですか。あれ、でもアリスさんのその荷物は……』
『ああ、これはマリアさんに頼まれて用意したレナさんの、じゃなくてルナさんの専用の衣装と変装用の衣装や。後で着て確かめてくれへん?』
フェリスがギルドに立ち寄ったのはマリアに送り届けるためらしく、普段は商会の使用人に任せる仕事なのだが、今回は息抜きがてらに会長である彼女が赴いたという。仕事と言っても荷物を引き渡すだけであり、後はマリアとお茶を楽しむだけらしいが、レナは自分のためにマリアが発注していた荷物を確認し、ある考えを思いつく。
『そうだ!!これを使えば……スラミン!!』
『ぷるんっ?』
レナは変装用の荷物の中に髪の毛を染める「銀砂」が存在する事に気付き、そしてコトミンに抱えられているスラミンに声を掛ける。数分後、アリスの手を借りて彼は髪の毛を銀髪に染め、そして顔の部分をスラミンの擬態能力を利用して別人に変化させると、マリアが用意してくれた騎士団の制服を着こむ。
『どう?似合ってる?』
『似合っているというか……』
『誰だお前!?』
『おおうっ……』
変装を終えたレナに対して仲間達は戸惑いの声を上げ、若干彼の面影は残ってはいるが、それでも同一人物とは思えない程に容姿が変化しており、後は髪の毛と同様に銀砂でコーティングした退魔刀と反鏡剣を身につければ立派な騎士にしか見えなかった。この格好ならば少なくともレナの存在を知っている人間でも気付かれる心配はなく、ハヅキ家の人間に見られても正体を暴かれる可能性は低いだろう。
『俺もナオと一緒に行くよ。もしもティナだけと接触出来る機会があったら、その時に事情を話してみる』
『そうね……まさかハヅキ家も貴女が自分から近づいてくるとは思ってないでしょうし、案外悪くないかも知れないわ。だけど、万が一のためにこれを持っていきなさい。それと私達も途中までは付いていくわ。もしも危険を感じたら真っ先に逃げるのよ』
マリアはレナ達に緊急避難用の水晶札を手渡し、発動に時間が掛かるがこれを利用すれば転移魔法で逃走する事が可能であり、変装したレナとシズネはナオの護衛に化けて黄金猫亭に向かった――
――そして時刻は現在に戻り、シズネは見事に別人に変装したレナにヨツバ王国の人間が怪しんでいない事を確認して安堵する。仮にこの状況でレナの正体が知られたら非常に不味く、この場所では逃げ場がない。既に部屋の外には王国の騎士が待機しており、出入口を見張っている。部屋の中にも王族の護衛を任される程の腕利きの騎士が存在し、特にティナの傍に控えるリンダに視線を向け、シズネは表情を引き締める。
(相当な達人ね……一件は平常を装っているけど、明らかにこちらを警戒しているわ。レナの話が確かなら敵になるとは考えにくいけど、油断は出来ないわ)
リンダはティナの護衛兼世話役を任された騎士であり、その実力は王国内でも指折りと噂されている。実際に彼女は剣鬼と化したレナと対等に戦える実力者で間違いない。更に部屋の中には彼女以外にも腕利きと思われる騎士の姿が存在し、その中にはハヅキ家と縁がある騎士も存在した。
(意外と気付かれない物ね……まあ、私達の情報を相手がまだ掴んでいなかったと考えればそれほどおかしくはないのかしら?)
騎士に変装した「シズネ」は部屋の中の人間が自分達ではなく、ナオだけに注目している事に安心する。彼女の隣に立っているのは闘技場の時の様に「ルナ」の格好に変装した「レナ」であり、あろう事か彼は直接ヨツバ王国の一行が宿泊している黄金猫亭に赴いていた。
事の敬意はナオがマリアの招待状を受け取り、黄金猫亭に向かう途中、彼女一人では怪しまれるという事で護衛役の人間を用意する事をマリアが提案した。しかし、王国の人間の場合だと都合が悪く、ナオの配下の騎士団の人間でも安心はできない。あくまでも騎士団の人間は王国に所属する立場であり、仮に国王や王妃がナオの行動を問い質した場合は隠し通す事は難しい。
そのため、腕も確かでヨツバ王侯側に顔を知られていない人間が良いという理由でシズネが騎士役として選ばれる。しかし、いくら何でも護衛が一人というのは怪しまれるため、もう一人選ぶ事になったのだが、そんな時にドルトン商会のフェリスがギルドに訪れた。
『マリアは~ん!!お呼びでっか~?』
『あら?予定よりも随分早く来たわね。商談は終わったの?』
『ええ、今回もいい品物を取り入れましたよ。おおっ?そこに居るのはレナさんかいな?久しぶりですな~』
『あ、どうも……』
『お久しぶりです』
相変わらず口調がエセ関西弁のフェリスと筋骨隆々のメイドのアリスが現れ、レナと挨拶を交わす。彼女達は闘技場の件でレナと親交があり、今度の闘技祭でも彼女達の紹介の代表選手としてレナは変装して「ルナ」として出場する予定である。
『今日はどんな用事で来たんですか?』
『いやいや、ちょっと遊びに来ただけやで。やっと仕事も一段落したから、今日はマリアさんとお茶をするつもりだったんや』
『そうだったんですか。あれ、でもアリスさんのその荷物は……』
『ああ、これはマリアさんに頼まれて用意したレナさんの、じゃなくてルナさんの専用の衣装と変装用の衣装や。後で着て確かめてくれへん?』
フェリスがギルドに立ち寄ったのはマリアに送り届けるためらしく、普段は商会の使用人に任せる仕事なのだが、今回は息抜きがてらに会長である彼女が赴いたという。仕事と言っても荷物を引き渡すだけであり、後はマリアとお茶を楽しむだけらしいが、レナは自分のためにマリアが発注していた荷物を確認し、ある考えを思いつく。
『そうだ!!これを使えば……スラミン!!』
『ぷるんっ?』
レナは変装用の荷物の中に髪の毛を染める「銀砂」が存在する事に気付き、そしてコトミンに抱えられているスラミンに声を掛ける。数分後、アリスの手を借りて彼は髪の毛を銀髪に染め、そして顔の部分をスラミンの擬態能力を利用して別人に変化させると、マリアが用意してくれた騎士団の制服を着こむ。
『どう?似合ってる?』
『似合っているというか……』
『誰だお前!?』
『おおうっ……』
変装を終えたレナに対して仲間達は戸惑いの声を上げ、若干彼の面影は残ってはいるが、それでも同一人物とは思えない程に容姿が変化しており、後は髪の毛と同様に銀砂でコーティングした退魔刀と反鏡剣を身につければ立派な騎士にしか見えなかった。この格好ならば少なくともレナの存在を知っている人間でも気付かれる心配はなく、ハヅキ家の人間に見られても正体を暴かれる可能性は低いだろう。
『俺もナオと一緒に行くよ。もしもティナだけと接触出来る機会があったら、その時に事情を話してみる』
『そうね……まさかハヅキ家も貴女が自分から近づいてくるとは思ってないでしょうし、案外悪くないかも知れないわ。だけど、万が一のためにこれを持っていきなさい。それと私達も途中までは付いていくわ。もしも危険を感じたら真っ先に逃げるのよ』
マリアはレナ達に緊急避難用の水晶札を手渡し、発動に時間が掛かるがこれを利用すれば転移魔法で逃走する事が可能であり、変装したレナとシズネはナオの護衛に化けて黄金猫亭に向かった――
――そして時刻は現在に戻り、シズネは見事に別人に変装したレナにヨツバ王国の人間が怪しんでいない事を確認して安堵する。仮にこの状況でレナの正体が知られたら非常に不味く、この場所では逃げ場がない。既に部屋の外には王国の騎士が待機しており、出入口を見張っている。部屋の中にも王族の護衛を任される程の腕利きの騎士が存在し、特にティナの傍に控えるリンダに視線を向け、シズネは表情を引き締める。
(相当な達人ね……一件は平常を装っているけど、明らかにこちらを警戒しているわ。レナの話が確かなら敵になるとは考えにくいけど、油断は出来ないわ)
リンダはティナの護衛兼世話役を任された騎士であり、その実力は王国内でも指折りと噂されている。実際に彼女は剣鬼と化したレナと対等に戦える実力者で間違いない。更に部屋の中には彼女以外にも腕利きと思われる騎士の姿が存在し、その中にはハヅキ家と縁がある騎士も存在した。
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