文字の大きさ
大
中
小
178 / 2,093
剣鬼 闘技祭準備編
森人族の刺客
「ふうっ……どうにか逃げ切れたな」
人込みに紛れてハヤテの追跡を回避したレナは「隠密」と「無音歩行」のスキルを解除し、屋根の上から街道を見下ろす。大分離れた場所まで移動しており、スラミンを頭に乗せたまま彼は座り込む。
「それにしてもまだあんな強い奴がいるなんて……闘技祭が荒れそうだな」
「ぷるるんっ」
「分かってるよ。シズネのためにも勝ち上がらないとな」
弱気になるなとばかりにスラミンがぺちぺちとレナの頬を叩き、彼を抱えながら屋根から飛び降りようとした時、不意に屋根の上の光景を見て昔の事を思い出す。
「そういえば昔、アリアが屋根から落ちてきた俺を救ってくれた事があったっけ……あの時は精霊魔法で助けてくれたんだよな」
レナは掌を伸ばし、アリアが自分を救い出してきた時の事を思い出す。彼女は風の精霊を利用してレナの身体を浮き上げ、顔面からレナの身体を受け止めた(故意ではない)。その時の事を思い出し、アリアのように掌を伸ばす動作を行うと、不意に手元に違和感を感じ取る。
「……ん?あれ、お前は……」
「ぷるんっ?」
何故か掌を伸ばした先にエリナが呼び寄せていた「風の精霊」が存在し、どういう事なのかレナの手元に滞空する。どうしてこんな場所に彼女の精霊がいるのかと不思議に思ったが、レナは自分の周囲に複数の精霊が漂っている事に気付く。
「何だ……!?」
「ぷるぷるぷるっ!!」
周囲を取り囲むように現れた風の精霊にスラミンが警戒したように激しく震え、危険を察したレナはその場を「跳躍」のスキルを発動して飛びのく。次の瞬間、精霊が存在する場所に強烈な風の塊が通り過ぎた。
「うわっ!?」
「な、気付かれただと!?」
「馬鹿者!!口に出すなっ!!」
別の建物の屋根の上に着地したレナの前に緑色のフードでを纏った森人族の集団が現れ、それを確認したレナは咄嗟にスラミンを服の中に隠す。先程の風の塊は彼等の攻撃で間違いはなく、腰の反鏡剣を引き抜く。
「誰だ!!」
「答える必要はない……殺せっ!!」
『風の精霊よ!!』
「くっ……!?」
森人族の集団はレナに向けて杖を伸ばし、風の精霊の力も借りて「風の槍」を放つ。真面に受ければ無事では済まず、冷静に最小限の動作で攻撃を回避する。
「おっと」
「避けただと!?」
「どうして我々の魔法が見える!?」
「はあっ……?」
攻撃を容易く回避したレナに集団は驚愕するが、別に魔法で生み出した風は目視で捉える事が出来る。それにも関わらずに集団はレナが攻撃を回避した事に動揺を隠せず、その反応からレナは違和感を覚えた。
「こいつ……もしや精霊が見えるのでは?」
「馬鹿なっ!!人間が精霊を目視するなど……」
「いや、こいつには森人族の血が流れている。腐ってもハヅキ家の血筋という事か……」
「なるほど、俺の事を知った上で襲撃を仕掛けてきたのか」
ハヅキ家の名前が出た事にレナは目つきを変え、相手が自分の正体を知っていると判断し、反鏡剣を構える。精霊魔法は砲撃魔法よりも上位の存在のため、レナの初級魔法では対抗できない。しかし、魔法を跳ね返す性質が存在する反鏡剣の場合は別であり、重撃剣を発動させて手元に重力の魔力を纏わせる。
「誰だか知らないけど……喧嘩を売るなら買うぞ」
「ふんっ!!いくらハヅキ家の恥晒しが……殺せ!!」
『精霊よ!!』
集団はレナに向けて次々と「風の槍」を放つが、今度は回避せずに手元の反鏡剣を構え、戦技を発動させる。
「疾風撃!!」
「なっ!?馬鹿なっ!!」
「わ、我々の魔法を……!?」
正面から訪れた風の槍をレナは目にも止まらぬ速度で切り裂いた瞬間、周囲に風が暴発して消失する。その光景に集団は驚愕するが、更にレナは相手に向けて掌を構えて試しに魔法で攻撃を行う。
「これを使うのも久しぶりだな……火炎槍!!」
「うおっ!?」
「炎の槍だと!?」
初級魔法の火球と風圧を組み合わせた火炎の槍を解き放ち、敵の一人に狙いを定めて撃ち抜く。今のレナのレベルと魔法の熟練度ならば高レベルの魔術師の砲撃魔法にも劣らぬ威力を誇るが、向かい来る炎の槍に対して狙われた森人族は両手を差し出す。
『我を守れ!!』
「……駄目か」
森人族の肉体に渦巻きを想像させる風圧が吹き溢れ、火炎槍を正面から打ち消す。その光景にレナはアリアとの戦闘で彼女が精霊魔法でレナの初級魔法を無効化した事を思い出し、やはり普通の魔法では精霊魔法には敵わない。
「ちっ、驚かせおって……狙いを定めろ!!」
「はっ!!」
「弓矢かっ」
集団の一人に弓兵も存在したらしく、エリナのように鏃の部分に風属性の魔力を付与させ、レナに解き放つ。先ほどの風の槍よりも速度は勝るが、それでも反応できない速度ではない。
「受け流し」
『馬鹿なっ!?』
反鏡剣を構えて軽く打ち払う動作を行うだけでレナは迫りくる矢を別方向に弾き返し、その光景に森人族の集団は目を見開く。
人込みに紛れてハヤテの追跡を回避したレナは「隠密」と「無音歩行」のスキルを解除し、屋根の上から街道を見下ろす。大分離れた場所まで移動しており、スラミンを頭に乗せたまま彼は座り込む。
「それにしてもまだあんな強い奴がいるなんて……闘技祭が荒れそうだな」
「ぷるるんっ」
「分かってるよ。シズネのためにも勝ち上がらないとな」
弱気になるなとばかりにスラミンがぺちぺちとレナの頬を叩き、彼を抱えながら屋根から飛び降りようとした時、不意に屋根の上の光景を見て昔の事を思い出す。
「そういえば昔、アリアが屋根から落ちてきた俺を救ってくれた事があったっけ……あの時は精霊魔法で助けてくれたんだよな」
レナは掌を伸ばし、アリアが自分を救い出してきた時の事を思い出す。彼女は風の精霊を利用してレナの身体を浮き上げ、顔面からレナの身体を受け止めた(故意ではない)。その時の事を思い出し、アリアのように掌を伸ばす動作を行うと、不意に手元に違和感を感じ取る。
「……ん?あれ、お前は……」
「ぷるんっ?」
何故か掌を伸ばした先にエリナが呼び寄せていた「風の精霊」が存在し、どういう事なのかレナの手元に滞空する。どうしてこんな場所に彼女の精霊がいるのかと不思議に思ったが、レナは自分の周囲に複数の精霊が漂っている事に気付く。
「何だ……!?」
「ぷるぷるぷるっ!!」
周囲を取り囲むように現れた風の精霊にスラミンが警戒したように激しく震え、危険を察したレナはその場を「跳躍」のスキルを発動して飛びのく。次の瞬間、精霊が存在する場所に強烈な風の塊が通り過ぎた。
「うわっ!?」
「な、気付かれただと!?」
「馬鹿者!!口に出すなっ!!」
別の建物の屋根の上に着地したレナの前に緑色のフードでを纏った森人族の集団が現れ、それを確認したレナは咄嗟にスラミンを服の中に隠す。先程の風の塊は彼等の攻撃で間違いはなく、腰の反鏡剣を引き抜く。
「誰だ!!」
「答える必要はない……殺せっ!!」
『風の精霊よ!!』
「くっ……!?」
森人族の集団はレナに向けて杖を伸ばし、風の精霊の力も借りて「風の槍」を放つ。真面に受ければ無事では済まず、冷静に最小限の動作で攻撃を回避する。
「おっと」
「避けただと!?」
「どうして我々の魔法が見える!?」
「はあっ……?」
攻撃を容易く回避したレナに集団は驚愕するが、別に魔法で生み出した風は目視で捉える事が出来る。それにも関わらずに集団はレナが攻撃を回避した事に動揺を隠せず、その反応からレナは違和感を覚えた。
「こいつ……もしや精霊が見えるのでは?」
「馬鹿なっ!!人間が精霊を目視するなど……」
「いや、こいつには森人族の血が流れている。腐ってもハヅキ家の血筋という事か……」
「なるほど、俺の事を知った上で襲撃を仕掛けてきたのか」
ハヅキ家の名前が出た事にレナは目つきを変え、相手が自分の正体を知っていると判断し、反鏡剣を構える。精霊魔法は砲撃魔法よりも上位の存在のため、レナの初級魔法では対抗できない。しかし、魔法を跳ね返す性質が存在する反鏡剣の場合は別であり、重撃剣を発動させて手元に重力の魔力を纏わせる。
「誰だか知らないけど……喧嘩を売るなら買うぞ」
「ふんっ!!いくらハヅキ家の恥晒しが……殺せ!!」
『精霊よ!!』
集団はレナに向けて次々と「風の槍」を放つが、今度は回避せずに手元の反鏡剣を構え、戦技を発動させる。
「疾風撃!!」
「なっ!?馬鹿なっ!!」
「わ、我々の魔法を……!?」
正面から訪れた風の槍をレナは目にも止まらぬ速度で切り裂いた瞬間、周囲に風が暴発して消失する。その光景に集団は驚愕するが、更にレナは相手に向けて掌を構えて試しに魔法で攻撃を行う。
「これを使うのも久しぶりだな……火炎槍!!」
「うおっ!?」
「炎の槍だと!?」
初級魔法の火球と風圧を組み合わせた火炎の槍を解き放ち、敵の一人に狙いを定めて撃ち抜く。今のレナのレベルと魔法の熟練度ならば高レベルの魔術師の砲撃魔法にも劣らぬ威力を誇るが、向かい来る炎の槍に対して狙われた森人族は両手を差し出す。
『我を守れ!!』
「……駄目か」
森人族の肉体に渦巻きを想像させる風圧が吹き溢れ、火炎槍を正面から打ち消す。その光景にレナはアリアとの戦闘で彼女が精霊魔法でレナの初級魔法を無効化した事を思い出し、やはり普通の魔法では精霊魔法には敵わない。
「ちっ、驚かせおって……狙いを定めろ!!」
「はっ!!」
「弓矢かっ」
集団の一人に弓兵も存在したらしく、エリナのように鏃の部分に風属性の魔力を付与させ、レナに解き放つ。先ほどの風の槍よりも速度は勝るが、それでも反応できない速度ではない。
「受け流し」
『馬鹿なっ!?』
反鏡剣を構えて軽く打ち払う動作を行うだけでレナは迫りくる矢を別方向に弾き返し、その光景に森人族の集団は目を見開く。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ベルンハルト・フォン・バーデンは平穏に暮らしたい』
GamaFrog男爵家三男、ベルンハルト・フォン・バーデン。
家督継承権はなく、本来ならどこかの官職に就くか、他家へ仕えるか、婿入りするか――そんな将来が待っているはずだった。
しかしベルは少しだけ優秀すぎた。
小遣い稼ぎのつもりで始めた商売は成功し、気付けば父親より金を持ち、長男より領地経営に詳しく、次男より商売が上手くなっていた。
本人に出しゃばる気はない。
ただ普通に生きていただけだ。
それでも、優秀すぎる三男の存在は家族との距離を少しずつ広げていった。
家に居場所がなくなった。
だからベルは学園へ来た。
貴族だから一応入学した。
家にいるより気楽だったから。
静かに暮らしたかったから。
寄付金を積んで手に入れた広い寮部屋で、本を読み、昼寝をし、卒業後は適当な文官になって平穏に生きる
そのはずだった。
だが現実は違った。
男装令嬢に懐かれ。
王太子に目を付けられ。
商会には囲い込まれ。
気付けば平穏はどこへやら。
本人はただ平穏に暮らしたいだけ。
周囲はなぜか放っておいてくれない。
これは、面倒事を嫌う規格外の天才が、静かな人生を目指して失敗し続ける物語である。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
クラス全員で異世界召喚されたが、俺だけ教室に取り残されたのでとりあえず帰宅した
中山(ほ) クラス全員で異世界召喚されたが、先生と俺が残っていた。
魔法もチートスキルもステータス画面すら表示されない、ただの「残され損」
異世界に行けなかった俺を待っていたのは、世知辛い現実だった。
AI使用状況
GoogleのGeminiさん使ってます〜
誤字脱字チェックと調べ物お願いしてます
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。