202 / 2,091
剣鬼 闘技祭準備編
鬼か人か その2
しおりを挟む
「ふんっ!!」
「何っ!?」
シュンに向けてジンは拳を突き出し、先程までの無造作の攻撃に対して今回の彼の動作は無駄がなく、ボクシングのストレートのように繰り出された拳をシュンは紙一重で回避する。それを確認したジンは今度は反対の腕を構え、舌から勢いよく振り抜く。
「ぐがぁっ!!」
「こいつっ!?」
「シュン様!!」
最初の攻撃で体勢を崩しかけたシュンは二発目の攻撃を避けきれず、それを見たジャンヌが咄嗟に彼の背中を掴んで後ろに引き付ける。結果的にそれが功を奏し、下から突き上げられた拳の回避にする。
「あ、ぶねえっ!!」
「退いて下さい!!はああっ!!」
「ふんっ!!」
拳を突き上げた際に防御を解いたジンに対し、ジャンヌは旋斧を振り翳す。しかし、腹部に向けて振り払われた刃に対してジンは腹筋を固め、正面から弾き返す。
「きゃっ……!?」
「何だと!?」
「がああっ!!」
腹筋で刃を弾いたジンに対し、シュンは咄嗟に剣を構えようとしたが、二人よりも先にジンは彼等の身体に手を伸ばす。相手を掴むためではなく、ましてや拳を握りしめず、掌底を繰り出した。
「うがぁっ!!」
「ぐはっ!?」
「きゃあっ!?」
二人の身体に予想外の衝撃が身体に走り、そのまま後方に吹き飛ばされる。それを確認したジンは踏み止まり、精神を落ち着かせるように大きく息を吐き出す。
「く、くそっ……」
「これは……まさか、発徑……!?」
吹き飛ばされた二人は身体が痺れて真面に動かない事に気付き、信じられない事にジンは格闘家の「発徑」のスキルを使った事に気付く。ティナの護衛騎士であるリンダが最も得意とする戦技であり、この世界では相手の身体に衝撃を流し込む素手の戦技だが、鬼人化によって理性を失っているはずのジンが扱えるとはどちらも予想出来なかった。
「ころすっ……てき、ころすっ!!」
「なっ!?喋った!?」
「おいおい、マジかよ……血が抜けて理性を取り戻したのか?冗談じゃねえぞっ!!」
鬼人化を発動した状態にも関わらず、ジンは先ほどまでのように暴れまわる事はなく、二人を敵と認識して歩み寄る。完全に人としての理性を取り戻しており、しかも戦技まで扱う。発徑を打ち込まれたシュンとジャンヌは思うように身体が動かず、逃げる事も出来ない。
「しねぇっ!!」
「くっ!!」
「そんなっ!?」
ジンは掌を伸ばして空手の「貫手」のように構え、倒れているシュンの頭を掴み、止めを刺そうとする。その光景にジャンヌはどうにか助けようと掌を伸ばすが、先にジンの足元に近付く「影」が存在した。
「シャドウ・スリップ!!」
「うおっ!?」
「おわっ!?」
「えっ?」
シュンを抱えた状態のジンの足元が足払いを受けたように弾かれ、そのまま二人は地面に倒れこむ。何が起きたのか理解出来ないジャンヌは目を見開き、すぐに地面に視線を向け、ジンを振り払った影の正体に気付く。
「……つ、つい邪魔したけど……ど、どういう状況なんだよ?」
「貴方は……」
「だ、誰だお前っ!?」
影が伸びる先に立っていたのは杖を地面に突き立てた状態のダインの姿があり、彼はシュンがジンに殺される前に影魔法を発動させた。結果としてはシュンの命を救えたが、代わりジンの標的がダインへと移り変わる。
「じゃまを、するなぁっ!!」
「ひいっ!?」
「どけ、ダイン!!」
ダインに向けて駆け抜けようとしたジンの前に巨大な人影が現れ、大きな腕が彼の身体を捉える。ジンの前に現れたのは既に闘拳を装備したゴンゾウらしく、正面からジンの体当たりを抑え込む。
「ぐおおおおっ!!」
「ぐうっ……こ、この力は!?」
「嘘だろ!?」
だが、巨人族のゴンゾウでさえも鬼人化を発動させたジンの膂力には及ばず、そのまま巨体を持ち上げられ、身体を横に倒される。その光景にダインは驚愕し、咄嗟に杖を構えるが、先にジンが腕を振り払う。
「があっ!!」
「うわぁっ!?」
「ダ、ダイン!!」
杖を腕で弾き飛ばされたダインは尻餅をついてしまい、そんな彼にジンは憎々し気に視線を向け、右足を振り翳す。このまま叩きつけられれば即死は免れられず、ダインは咄嗟に横に転がって攻撃を回避する。
「うひぃっ!?」
「ちぃっ!!」
先程までダインが座っていた位置に右足が空振りし、意外と素早い動作で回避したダインに対してジンは執拗に足を踏みつける。必死にダインは地面を転がりながらジンの攻撃を回避するしかなく、助けを求める。
「ちょ、誰か、助けてぇっ!?」
「お、おおっ……」
「す、凄い……」
「仲間に手を出すなっ!!」
見事にジンの攻撃を回避するダインにシュンとジャンヌは呆気に取られるが、その間にもゴンゾウは起き上がり、ジンの背後から拳を叩きこむ。
「拳打!!」
「うぐっ!?」
背中にゴンゾウの右拳が衝突したジンは苦痛の表情を浮かべ、ジャンヌの旋斧を受けても弾き返した肉体に拳の跡が残る。最も致命傷には至らず、ジンはそのまま振り返って裏拳を繰り出す。
「どけぇっ!!」
「ぐあっ!?」
ゴンゾウの頬に裏拳が的中し、彼の巨体が再び地面に倒れこむ。耐久力という点ではレナ達の中でも一番を誇る彼だが、力の差はあまりにも大きく、ゴンゾウの大きな歯が口から飛び出す。
「何っ!?」
シュンに向けてジンは拳を突き出し、先程までの無造作の攻撃に対して今回の彼の動作は無駄がなく、ボクシングのストレートのように繰り出された拳をシュンは紙一重で回避する。それを確認したジンは今度は反対の腕を構え、舌から勢いよく振り抜く。
「ぐがぁっ!!」
「こいつっ!?」
「シュン様!!」
最初の攻撃で体勢を崩しかけたシュンは二発目の攻撃を避けきれず、それを見たジャンヌが咄嗟に彼の背中を掴んで後ろに引き付ける。結果的にそれが功を奏し、下から突き上げられた拳の回避にする。
「あ、ぶねえっ!!」
「退いて下さい!!はああっ!!」
「ふんっ!!」
拳を突き上げた際に防御を解いたジンに対し、ジャンヌは旋斧を振り翳す。しかし、腹部に向けて振り払われた刃に対してジンは腹筋を固め、正面から弾き返す。
「きゃっ……!?」
「何だと!?」
「がああっ!!」
腹筋で刃を弾いたジンに対し、シュンは咄嗟に剣を構えようとしたが、二人よりも先にジンは彼等の身体に手を伸ばす。相手を掴むためではなく、ましてや拳を握りしめず、掌底を繰り出した。
「うがぁっ!!」
「ぐはっ!?」
「きゃあっ!?」
二人の身体に予想外の衝撃が身体に走り、そのまま後方に吹き飛ばされる。それを確認したジンは踏み止まり、精神を落ち着かせるように大きく息を吐き出す。
「く、くそっ……」
「これは……まさか、発徑……!?」
吹き飛ばされた二人は身体が痺れて真面に動かない事に気付き、信じられない事にジンは格闘家の「発徑」のスキルを使った事に気付く。ティナの護衛騎士であるリンダが最も得意とする戦技であり、この世界では相手の身体に衝撃を流し込む素手の戦技だが、鬼人化によって理性を失っているはずのジンが扱えるとはどちらも予想出来なかった。
「ころすっ……てき、ころすっ!!」
「なっ!?喋った!?」
「おいおい、マジかよ……血が抜けて理性を取り戻したのか?冗談じゃねえぞっ!!」
鬼人化を発動した状態にも関わらず、ジンは先ほどまでのように暴れまわる事はなく、二人を敵と認識して歩み寄る。完全に人としての理性を取り戻しており、しかも戦技まで扱う。発徑を打ち込まれたシュンとジャンヌは思うように身体が動かず、逃げる事も出来ない。
「しねぇっ!!」
「くっ!!」
「そんなっ!?」
ジンは掌を伸ばして空手の「貫手」のように構え、倒れているシュンの頭を掴み、止めを刺そうとする。その光景にジャンヌはどうにか助けようと掌を伸ばすが、先にジンの足元に近付く「影」が存在した。
「シャドウ・スリップ!!」
「うおっ!?」
「おわっ!?」
「えっ?」
シュンを抱えた状態のジンの足元が足払いを受けたように弾かれ、そのまま二人は地面に倒れこむ。何が起きたのか理解出来ないジャンヌは目を見開き、すぐに地面に視線を向け、ジンを振り払った影の正体に気付く。
「……つ、つい邪魔したけど……ど、どういう状況なんだよ?」
「貴方は……」
「だ、誰だお前っ!?」
影が伸びる先に立っていたのは杖を地面に突き立てた状態のダインの姿があり、彼はシュンがジンに殺される前に影魔法を発動させた。結果としてはシュンの命を救えたが、代わりジンの標的がダインへと移り変わる。
「じゃまを、するなぁっ!!」
「ひいっ!?」
「どけ、ダイン!!」
ダインに向けて駆け抜けようとしたジンの前に巨大な人影が現れ、大きな腕が彼の身体を捉える。ジンの前に現れたのは既に闘拳を装備したゴンゾウらしく、正面からジンの体当たりを抑え込む。
「ぐおおおおっ!!」
「ぐうっ……こ、この力は!?」
「嘘だろ!?」
だが、巨人族のゴンゾウでさえも鬼人化を発動させたジンの膂力には及ばず、そのまま巨体を持ち上げられ、身体を横に倒される。その光景にダインは驚愕し、咄嗟に杖を構えるが、先にジンが腕を振り払う。
「があっ!!」
「うわぁっ!?」
「ダ、ダイン!!」
杖を腕で弾き飛ばされたダインは尻餅をついてしまい、そんな彼にジンは憎々し気に視線を向け、右足を振り翳す。このまま叩きつけられれば即死は免れられず、ダインは咄嗟に横に転がって攻撃を回避する。
「うひぃっ!?」
「ちぃっ!!」
先程までダインが座っていた位置に右足が空振りし、意外と素早い動作で回避したダインに対してジンは執拗に足を踏みつける。必死にダインは地面を転がりながらジンの攻撃を回避するしかなく、助けを求める。
「ちょ、誰か、助けてぇっ!?」
「お、おおっ……」
「す、凄い……」
「仲間に手を出すなっ!!」
見事にジンの攻撃を回避するダインにシュンとジャンヌは呆気に取られるが、その間にもゴンゾウは起き上がり、ジンの背後から拳を叩きこむ。
「拳打!!」
「うぐっ!?」
背中にゴンゾウの右拳が衝突したジンは苦痛の表情を浮かべ、ジャンヌの旋斧を受けても弾き返した肉体に拳の跡が残る。最も致命傷には至らず、ジンはそのまま振り返って裏拳を繰り出す。
「どけぇっ!!」
「ぐあっ!?」
ゴンゾウの頬に裏拳が的中し、彼の巨体が再び地面に倒れこむ。耐久力という点ではレナ達の中でも一番を誇る彼だが、力の差はあまりにも大きく、ゴンゾウの大きな歯が口から飛び出す。
14
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。