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剣鬼 闘技祭準備編
足枷
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「たくっ……帰りが遅いから皆心配してたんだぞ!!」
「そうだぞ。一体何処に行っていた?」
「ごめんね。ちょっとその事についても皆に話して置きたいことがあるんだけど……その前にこの人たちの治療をしないと」
「あ~……そうしてくれると助かるわ」
レナが地面に座り込んでいるシュン達に視線を向け、特に意識を失っているガロとロウガは危険な状態だった。すぐに回復魔法を施す必要があり、レナは一人一人に回復魔法を施す。
「喰らえっ!!回復超強化!!」
「あ、ありがとうございます……」
「なんでそんなに気合入れてんだよ……すまねえ」
「ううっ……」
「ぐうっ……」
全員が戦闘職であった事が幸いし、レナが回復魔法を施すと短時間で怪我が感知する。レナが扱う支援魔法の「回復超強化」は人体の自然回復能力を高める魔法のため、回復能力が高い戦闘職の人間の場合は効果が高い(これが魔術師の場合だと効果は半減してしまう)。
シュンとジャンヌは意識が残っていたので身体が回復すると起き上がり、倒れているガロとロウガを背負う。回復魔法では体力までは戻らないため、二人もかなり消耗してるのか二人を持ち上げる際に身体をよろめかせるが、どうにか踏みとどまる。
「助かったぜ。えっと……レナだったな」
「先日ぶりですね。窮地を助けて下さり、ありがとうございました」
「さっき会ったばかりなんだけどね……」
「え?」
「いや、何でもない」
現在のレナは変装を解いており、今は普通の状態に戻っている。荷物になるといけないので武器の類も収納魔法で回収しているが、王妃の刺客から回収したマントだけは羽織っており、これを利用してジンを影から補助していた王妃に仕える側近の騎士の一人に気付かれずに近づくことが出来た。
「それで、ここで何が起きたの?私達にも説明してくれるかしら?」
「そうだよ!!なんでこんな場所で戦ってたんだよあんたら!?ていうかこいつ誰だよ!?もう訳わかんないだけど!!」
「あ~……はいはい、分かったよ。んじゃ、説明頼むわジャンヌ」
「えっ!?私ですか?」
「そりゃそうだろ。俺もお前が襲われてるのを助けただけだぞ……結局、こいつ誰だよ?」
全員の視線が地面に倒れているジンに向けられ、どうにか全員が力を合わせて捕まえる事は出来たが、尋常ではない力を誇っていた。しかも巨人族でもないにも関わらずに「鬼人化」の能力も扱えたり、囚人同然の服装も着込んでいる事から只の人間ではない事は確かだった。しかし、説明を求められたジャンヌも彼女は市場に居た人間から助けを求められて駆けつけてきたため、ジンの正体を知っているわけではない。
「説明と言われましても……私も街の人に助けを求められてこの場所に訪れたのでこの男の正体を知りません。話を聞いた限りでは大量の警備兵を殺していたとか……」
「ちっ……大方、囚人が脱走して暴れてたという所か」
「違うよ」
「え?」
シュンの呟きにレナはジンの元に近づき、完全に気絶している事を確かめると、事前にアイリスから聞いていた情報を確かめるためにジンの手首に取り付けられている足首に取り付けられた壊れた足枷を指差す。
「これ、よく見てよ。力尽くで壊されているように見えるけど、鍵穴に鍵が刺さってるでしょ?」
「あ、本当だ!!え?でも何で……」
「誰かがこいつを解放しようとしたんだよ。だけど、鍵を開ける前に暴れ出して自力で抜け出したんじゃないかな」
「ちょ、ちょっと待てよ!!こいつはどう見ても囚人だろ?誰がこいつの枷を解放しようとしたんだよ!!」
枷の鍵穴には半ば折れた状態の鍵が差し込んだままであり、少なくとも誰かが枷を解放しようとしたことは間違いない。ジン本人が枷を解放したとは考えられず、わざわざ鍵を手に入れたのならば身に付けた状態で暴れる必要がない。
「こいつは誰かに解放されようとしたけど、結局自力で抜け出してここで暴れたんだよ」
「誰かって……誰だよ?」
「共犯者がいたという事?」
「多分……その子じゃないかな」
「……なるほどな」
レナは屋根の上から降ろして地面に上に横たわらせた少年を指さし、シュンが納得したように頷く。戦闘の最中、この少年がジンを援護した事は間違いなく、彼が窮地に陥る度に邪魔をしていた。現在は気絶しているが、意識を取り戻せば情報漏洩を防ぐために再び自害を試みようとするだろう。
「確かにこの子供が戦闘で邪魔をしていた事は確かですが……しかし、どうしてレナさんはその事を知っているんですか?もしかして私達の戦闘を何処かで見ていたのですか?」
「え、いや……その辺は後で説明するよ。今はこの子を連れて急いで離れないと……」
「離れる?どうしてだよ?僕達は囚人を捕まえただけだぞ。別に何も悪い事してないんだからさ」
「そうだよ。それに確か囚人さんを捕まえると兵士の人からお金が貰えるんだよね?だったら警備兵の人が来るまで待っていた方がいいんじゃないの?」
「まあ……正論ね」
「うっ……普通はそうなんだけどさ」
レナの言葉に全員が疑問を抱き、結果的に暴れていた囚人を捕まえただけなので王国兵が訪れても何も問題はないように思えるが、実際のところは囚人を解放したのは王国の人間である王妃の命令である。ここに残れば間違いなく厄介な事態に陥る事は間違いなく、折角捕まえた王妃の刺客も何かと理由を付けて奪われる可能性がある。
「そうだぞ。一体何処に行っていた?」
「ごめんね。ちょっとその事についても皆に話して置きたいことがあるんだけど……その前にこの人たちの治療をしないと」
「あ~……そうしてくれると助かるわ」
レナが地面に座り込んでいるシュン達に視線を向け、特に意識を失っているガロとロウガは危険な状態だった。すぐに回復魔法を施す必要があり、レナは一人一人に回復魔法を施す。
「喰らえっ!!回復超強化!!」
「あ、ありがとうございます……」
「なんでそんなに気合入れてんだよ……すまねえ」
「ううっ……」
「ぐうっ……」
全員が戦闘職であった事が幸いし、レナが回復魔法を施すと短時間で怪我が感知する。レナが扱う支援魔法の「回復超強化」は人体の自然回復能力を高める魔法のため、回復能力が高い戦闘職の人間の場合は効果が高い(これが魔術師の場合だと効果は半減してしまう)。
シュンとジャンヌは意識が残っていたので身体が回復すると起き上がり、倒れているガロとロウガを背負う。回復魔法では体力までは戻らないため、二人もかなり消耗してるのか二人を持ち上げる際に身体をよろめかせるが、どうにか踏みとどまる。
「助かったぜ。えっと……レナだったな」
「先日ぶりですね。窮地を助けて下さり、ありがとうございました」
「さっき会ったばかりなんだけどね……」
「え?」
「いや、何でもない」
現在のレナは変装を解いており、今は普通の状態に戻っている。荷物になるといけないので武器の類も収納魔法で回収しているが、王妃の刺客から回収したマントだけは羽織っており、これを利用してジンを影から補助していた王妃に仕える側近の騎士の一人に気付かれずに近づくことが出来た。
「それで、ここで何が起きたの?私達にも説明してくれるかしら?」
「そうだよ!!なんでこんな場所で戦ってたんだよあんたら!?ていうかこいつ誰だよ!?もう訳わかんないだけど!!」
「あ~……はいはい、分かったよ。んじゃ、説明頼むわジャンヌ」
「えっ!?私ですか?」
「そりゃそうだろ。俺もお前が襲われてるのを助けただけだぞ……結局、こいつ誰だよ?」
全員の視線が地面に倒れているジンに向けられ、どうにか全員が力を合わせて捕まえる事は出来たが、尋常ではない力を誇っていた。しかも巨人族でもないにも関わらずに「鬼人化」の能力も扱えたり、囚人同然の服装も着込んでいる事から只の人間ではない事は確かだった。しかし、説明を求められたジャンヌも彼女は市場に居た人間から助けを求められて駆けつけてきたため、ジンの正体を知っているわけではない。
「説明と言われましても……私も街の人に助けを求められてこの場所に訪れたのでこの男の正体を知りません。話を聞いた限りでは大量の警備兵を殺していたとか……」
「ちっ……大方、囚人が脱走して暴れてたという所か」
「違うよ」
「え?」
シュンの呟きにレナはジンの元に近づき、完全に気絶している事を確かめると、事前にアイリスから聞いていた情報を確かめるためにジンの手首に取り付けられている足首に取り付けられた壊れた足枷を指差す。
「これ、よく見てよ。力尽くで壊されているように見えるけど、鍵穴に鍵が刺さってるでしょ?」
「あ、本当だ!!え?でも何で……」
「誰かがこいつを解放しようとしたんだよ。だけど、鍵を開ける前に暴れ出して自力で抜け出したんじゃないかな」
「ちょ、ちょっと待てよ!!こいつはどう見ても囚人だろ?誰がこいつの枷を解放しようとしたんだよ!!」
枷の鍵穴には半ば折れた状態の鍵が差し込んだままであり、少なくとも誰かが枷を解放しようとしたことは間違いない。ジン本人が枷を解放したとは考えられず、わざわざ鍵を手に入れたのならば身に付けた状態で暴れる必要がない。
「こいつは誰かに解放されようとしたけど、結局自力で抜け出してここで暴れたんだよ」
「誰かって……誰だよ?」
「共犯者がいたという事?」
「多分……その子じゃないかな」
「……なるほどな」
レナは屋根の上から降ろして地面に上に横たわらせた少年を指さし、シュンが納得したように頷く。戦闘の最中、この少年がジンを援護した事は間違いなく、彼が窮地に陥る度に邪魔をしていた。現在は気絶しているが、意識を取り戻せば情報漏洩を防ぐために再び自害を試みようとするだろう。
「確かにこの子供が戦闘で邪魔をしていた事は確かですが……しかし、どうしてレナさんはその事を知っているんですか?もしかして私達の戦闘を何処かで見ていたのですか?」
「え、いや……その辺は後で説明するよ。今はこの子を連れて急いで離れないと……」
「離れる?どうしてだよ?僕達は囚人を捕まえただけだぞ。別に何も悪い事してないんだからさ」
「そうだよ。それに確か囚人さんを捕まえると兵士の人からお金が貰えるんだよね?だったら警備兵の人が来るまで待っていた方がいいんじゃないの?」
「まあ……正論ね」
「うっ……普通はそうなんだけどさ」
レナの言葉に全員が疑問を抱き、結果的に暴れていた囚人を捕まえただけなので王国兵が訪れても何も問題はないように思えるが、実際のところは囚人を解放したのは王国の人間である王妃の命令である。ここに残れば間違いなく厄介な事態に陥る事は間違いなく、折角捕まえた王妃の刺客も何かと理由を付けて奪われる可能性がある。
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