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剣鬼 闘技祭準備編
シズネの本心は?
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「……ちょっと外に出てくる」
「彼女を探す気?それなら十分に気を付けなさい……別に意地悪で言っているわけじゃないのよ」
「分かってるよ」
「あ、レナ殿……」
レナは立ち上がり、部屋から退出しようとするとマリアが忠告する。しかし、レナは適当に返事を返して声を掛けてきたハンゾウを無視して部屋から出る。
「ふうっ……くそっ」
シズネが隠し事をしている事はレナも薄々とは気付いていたが、マリアに言われた事で完全に自覚してしまい、シズネを探すべきか迷う。今の状態で彼女と会えばどんな反応をするのか自分でも分からず、レナは溜息を吐きながら通路を歩く。
「シズネを探さなくちゃ……」
レナはアイリスと交信を行い、シズネの居場所を教えてもらう事にした。それと同時に彼女にもシズネの件を尋ねなければならず、アイリスならば最初からシズネが思惑を見抜いていたはずだが、どうして自分に話さなかったのかを問い質さなければならない。
『アイリス』
『はい』
交信を開始した瞬間、普段の明るい声ではなく、真剣な声音でアイリスは返事を行う。その彼女の態度から全て知っていた事をレナは悟り、苛立ちを隠さずに質問する。
『さっきの話……本当なのか?』
『はい。シズネは王妃と繋がっています』
『どうして!!……どうしてそれを最初から言わなかった!!』
『…………』
普段の彼女ならばどんな質問も即答するはずだが、今回の質問には黙り込む。その反応が余計にレナを苛立たせ、シズネの居場所を問う。
『シズネは何処にいる!!』
『それを聞いてどうするんですか?』
『それは……』
だが、アイリスの言葉にレナは言葉を口にできず、自分自身も今の状態でシズネに出会って何を話すべきか思いつかない。今まで共に仲間として過ごしてきたので彼女の事を信頼していたのだが、最初から騙すつもりで自分と行動を共にしていたのかと考えると怒りを抱く。
しかし、その一方でレナは未だにシズネの事を信じたいという気持ちもあり、彼女が本当に裏切ったのか気になった。実際の所、シズネは旅の道中で何度もレナの命を奪う事は出来た。王妃の配下として彼の事を探っていたとしても、今この状況で姿を消すような行動を取る必要性が分からない。
『アイリス……教えてよ。シズネは本当に俺の事を……』
『それは本人の口から尋ねて下さい』
『えっ?』
『会いたいんでしょう?』
アイリスの意外な返答にレナは呆気に取られるが、彼女はあっさりとシズネの居場所を伝えた。
『シズネさんはレナさんの家にいます。直接会って、話し合ってください』
『どうして……』
『私の口から彼女の気持ちを伝えても意味はないんです……本当に彼女を引き留めたいのなら、レナさん自身の口で伝えてください』
『あっ……』
レナが返事を行う前にアイリスの方から交信を遮断し、現実世界に戻ってきたレナはしばらくは立ち尽くしていたが、やがて決意を抱いたように窓の外に視線を向ける。
「行かなきゃ……」
「レナ?」
決意を抱いてレナは窓を開こうとした時、通路にスラミンとヒトミンを抱えたコトミンが姿を現す。どうやらギルド長室の前で待っていたらしく、レナの元に歩み寄る。
「どうしたの……?何か起きた?」
「コトミン……」
「ぷるぷるっ?」
コトミンとスライム達に見つめられ、レナはシズネが可愛がっていたスラミンに視線を向け、頭に手を乗せて笑顔を浮かべた。
「何でもないよ……シズネを迎えに行ってくる。ここで良い子で待っててね」
「……ん、分かった」
「ぷるんっ!!」
レナの言葉にコトミンは何かを察したように笑顔で頷き、スラミンとヒトミンも了承したように彼女の肩の上で弾む。それを確認したレナは窓を開き、人目を気にせずに外へ飛び出す――
――数分後、限界強化の魔法を使用して全力疾走で家の前に駆け付けたレナは立ち止まり、玄関口に存在する人物に気付くと、無意識に笑みを浮かべる。
「はあっ……はっ、シズネ!!」
「あっ……」
息を荒げながらもレナは家の前に立っていたシズネに声を掛けると、彼女は驚いた表情を浮かべて振り返り、そしてレナの顔を見て唇を噛みしめる。どその反応を見てレナは彼女がここに訪れた理由を察し、それでも彼女の元へ向かう。
「ここに居たんだ。探したよ」
「そ、そう……ごめんなさい。ちょっと、道に迷って……」
「シズネ」
レナはシズネの言葉が嘘である事を気付きながらも彼女の元へ近づき、そして目の前まで近づく。至近距離から顔を見つめてくるレナにシズネは戸惑うが、彼女は黙って視線を逸らす。
「ど、どうしたのよ。いきなり……近寄り過ぎよ」
「シズネ」
「お、怒っているならさっき謝ったじゃない。だから……」
「シズネ!!」
「な、何よ!!」
何度も自分の名前を口にするレナにシズネは泣きそうな子供のような顔を浮かべて振り返り、その目元には涙を浮かべていた。その表情を見たレナは目を見開き、同時に安堵した。
「何なのよ一体……どうして……どうしてこんな時に限って……」
「シズネ、教えてほしい」
「えっ……?」
シズネは今にも泣きだしそうな表情を浮かべる中、レナは彼女の肩に手を置き、彼女に尋ねた。
「俺達は……相棒だろ?」
「……えっ?」
「お父さんの仇を打つ為に俺の力が必要だと言ってくれたよね?」
「な、なにを言って……」
「だったら!!」
困惑するシズネに対してレナは語気を強め、頭に浮かんだ言葉を告げる。
「一緒に戦おう。俺と、皆と、一緒に」
「っ……!!」
レナの言葉を聞いたシズネは呆気にとられた表情を浮かべるが、そんな彼女にレナは笑顔を浮かべ、彼女の肩から両手を離す。
「ね?」
「……何よそれ、そんな事を言うためだけに……私を探していたの?」
「そうだよ」
「呆れたわ……でも」
目元の涙を拭い、シズネは笑みを浮かべて一言だけ告げる。。
「ありがとう」
心の迷いが晴れたかのように彼女は満面の笑顔で感謝の言葉を口にした。
「彼女を探す気?それなら十分に気を付けなさい……別に意地悪で言っているわけじゃないのよ」
「分かってるよ」
「あ、レナ殿……」
レナは立ち上がり、部屋から退出しようとするとマリアが忠告する。しかし、レナは適当に返事を返して声を掛けてきたハンゾウを無視して部屋から出る。
「ふうっ……くそっ」
シズネが隠し事をしている事はレナも薄々とは気付いていたが、マリアに言われた事で完全に自覚してしまい、シズネを探すべきか迷う。今の状態で彼女と会えばどんな反応をするのか自分でも分からず、レナは溜息を吐きながら通路を歩く。
「シズネを探さなくちゃ……」
レナはアイリスと交信を行い、シズネの居場所を教えてもらう事にした。それと同時に彼女にもシズネの件を尋ねなければならず、アイリスならば最初からシズネが思惑を見抜いていたはずだが、どうして自分に話さなかったのかを問い質さなければならない。
『アイリス』
『はい』
交信を開始した瞬間、普段の明るい声ではなく、真剣な声音でアイリスは返事を行う。その彼女の態度から全て知っていた事をレナは悟り、苛立ちを隠さずに質問する。
『さっきの話……本当なのか?』
『はい。シズネは王妃と繋がっています』
『どうして!!……どうしてそれを最初から言わなかった!!』
『…………』
普段の彼女ならばどんな質問も即答するはずだが、今回の質問には黙り込む。その反応が余計にレナを苛立たせ、シズネの居場所を問う。
『シズネは何処にいる!!』
『それを聞いてどうするんですか?』
『それは……』
だが、アイリスの言葉にレナは言葉を口にできず、自分自身も今の状態でシズネに出会って何を話すべきか思いつかない。今まで共に仲間として過ごしてきたので彼女の事を信頼していたのだが、最初から騙すつもりで自分と行動を共にしていたのかと考えると怒りを抱く。
しかし、その一方でレナは未だにシズネの事を信じたいという気持ちもあり、彼女が本当に裏切ったのか気になった。実際の所、シズネは旅の道中で何度もレナの命を奪う事は出来た。王妃の配下として彼の事を探っていたとしても、今この状況で姿を消すような行動を取る必要性が分からない。
『アイリス……教えてよ。シズネは本当に俺の事を……』
『それは本人の口から尋ねて下さい』
『えっ?』
『会いたいんでしょう?』
アイリスの意外な返答にレナは呆気に取られるが、彼女はあっさりとシズネの居場所を伝えた。
『シズネさんはレナさんの家にいます。直接会って、話し合ってください』
『どうして……』
『私の口から彼女の気持ちを伝えても意味はないんです……本当に彼女を引き留めたいのなら、レナさん自身の口で伝えてください』
『あっ……』
レナが返事を行う前にアイリスの方から交信を遮断し、現実世界に戻ってきたレナはしばらくは立ち尽くしていたが、やがて決意を抱いたように窓の外に視線を向ける。
「行かなきゃ……」
「レナ?」
決意を抱いてレナは窓を開こうとした時、通路にスラミンとヒトミンを抱えたコトミンが姿を現す。どうやらギルド長室の前で待っていたらしく、レナの元に歩み寄る。
「どうしたの……?何か起きた?」
「コトミン……」
「ぷるぷるっ?」
コトミンとスライム達に見つめられ、レナはシズネが可愛がっていたスラミンに視線を向け、頭に手を乗せて笑顔を浮かべた。
「何でもないよ……シズネを迎えに行ってくる。ここで良い子で待っててね」
「……ん、分かった」
「ぷるんっ!!」
レナの言葉にコトミンは何かを察したように笑顔で頷き、スラミンとヒトミンも了承したように彼女の肩の上で弾む。それを確認したレナは窓を開き、人目を気にせずに外へ飛び出す――
――数分後、限界強化の魔法を使用して全力疾走で家の前に駆け付けたレナは立ち止まり、玄関口に存在する人物に気付くと、無意識に笑みを浮かべる。
「はあっ……はっ、シズネ!!」
「あっ……」
息を荒げながらもレナは家の前に立っていたシズネに声を掛けると、彼女は驚いた表情を浮かべて振り返り、そしてレナの顔を見て唇を噛みしめる。どその反応を見てレナは彼女がここに訪れた理由を察し、それでも彼女の元へ向かう。
「ここに居たんだ。探したよ」
「そ、そう……ごめんなさい。ちょっと、道に迷って……」
「シズネ」
レナはシズネの言葉が嘘である事を気付きながらも彼女の元へ近づき、そして目の前まで近づく。至近距離から顔を見つめてくるレナにシズネは戸惑うが、彼女は黙って視線を逸らす。
「ど、どうしたのよ。いきなり……近寄り過ぎよ」
「シズネ」
「お、怒っているならさっき謝ったじゃない。だから……」
「シズネ!!」
「な、何よ!!」
何度も自分の名前を口にするレナにシズネは泣きそうな子供のような顔を浮かべて振り返り、その目元には涙を浮かべていた。その表情を見たレナは目を見開き、同時に安堵した。
「何なのよ一体……どうして……どうしてこんな時に限って……」
「シズネ、教えてほしい」
「えっ……?」
シズネは今にも泣きだしそうな表情を浮かべる中、レナは彼女の肩に手を置き、彼女に尋ねた。
「俺達は……相棒だろ?」
「……えっ?」
「お父さんの仇を打つ為に俺の力が必要だと言ってくれたよね?」
「な、なにを言って……」
「だったら!!」
困惑するシズネに対してレナは語気を強め、頭に浮かんだ言葉を告げる。
「一緒に戦おう。俺と、皆と、一緒に」
「っ……!!」
レナの言葉を聞いたシズネは呆気にとられた表情を浮かべるが、そんな彼女にレナは笑顔を浮かべ、彼女の肩から両手を離す。
「ね?」
「……何よそれ、そんな事を言うためだけに……私を探していたの?」
「そうだよ」
「呆れたわ……でも」
目元の涙を拭い、シズネは笑みを浮かべて一言だけ告げる。。
「ありがとう」
心の迷いが晴れたかのように彼女は満面の笑顔で感謝の言葉を口にした。
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